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2006年1月10日

第7日

気仙沼~(気仙沼線)~前谷地~(石巻線)~石巻~(仙石線)~仙台~(東北本線東北新幹線)~(北)福島~(東北本線)~岩沼~(常磐線)~平~(磐越東線)~(北)郡山

前日

 気仙沼発7時12分、気仙沼線小牛田(こごた)行普通列車が発車した。南気仙沼で多くの客が乗り、座席が半分程度埋まる。わたしのボックスには母娘二人連れが坐った。
 その後も客は増えつづけ、あまり降りる客はいない。どうも皆仙台に買い物に出るらしい。近在はクルマ、仙台には列車と使い分けているのだろうか。気仙沼線は昭和52年開通の比較的新しい線なので、トンネルの連続で直線的に線路が敷いてあり、所要時間は短い。
 気仙沼線の起点で、石巻(いしのまき)線に連絡する前谷地(まえやち)に、8時58分着。ここで降りるべきかどうか、なかなか難しい問題である。

 というのは、ここから仙台までは、二通りのコースを取れるのだ。最長片道切符なのだから、距離の長い方を行けばよい、と思われるだろう。ところが、前谷地~(石巻線)~小牛田~(陸羽東(りくうとう)線)~古川(ふるかわ)~(東北新幹線)~仙台のルートと、前谷地~(石巻線)~石巻~(仙石(せんせき)線)~仙台 のルート、営業キロは偶然だが両方とも同じなのである。唯一無二のはずの「最長」片道切符ルートが二手に分かれるとは面白いが、なにか得心いかない感じもある。
 JR路線の距離にも実キロと営業キロとがある。実キロは文字どおり実際の線路の長さであり、営業キロは運賃のレートを適用するために定めた距離だ。実キロと営業キロとは通常一致する。が、例外的に、運賃計算を簡略化したり適正価格にしたりするため、実キロと異なる営業キロが定められることがある。
 新幹線もその一例である。新幹線は直線的短絡的に線路を敷設しているので、並行する在来線より当然実キロが短い。それでも新幹線の営業キロは並行する在来線に合わせてある。
 いろいろ難しいが、はっきりしているのは、切符の値段を決めるための計算に使うキロ数と、実際に乗るキロ数とは、必ずしも同じでない、ということである。そうなると、最長片道切符の旅の定義もはっきりしておかねば厳密にルートを一本に定められない。
 わたしは熟慮の末、「考え得る最長営業キロのルートの切符で、極力長い実キロの片道ルートに乗る」ことをわたしの最長片道切符の旅とした。「切符の旅」を標榜するからには、まず切符の最長が優先されるべきだと考える。この規定に従い、函館本線が二つに分かれる大沼~森間でも、どちらを通ってもいいし運賃も同じなのだが、距離が長い方の渡島砂原(おしまさわら)廻りで走る「はまなす」に乗ったのだ。真夜中に眠って通るだけだからどっちでもいいようなもんだが。
 となると、実キロが営業キロよりかなり短いはずの東北新幹線を経由するルートより、在来線のみのルートをとる方が、実際に乗車する実キロが長いはずである。

 そういうわけで、仙台から先のルートも新幹線になるのでつながりもいいにもかかわらず、新幹線経由を捨て、前谷地で石巻線の8時03分発下り女川(おながわ)行に乗り換えた。
 2+1の横三列のボックスシートに改造された車輌であった。二人ボックスで乗り合わせたおばさんと向かい合ってしゃべるのも、何か怪態な気分だ。

 石巻(いしのまき)着9時26分、以前はここは改札を出ないと乗り換えられなかった。石巻線と次に乗る仙石線とは同じ石巻駅なのに別の駅舎だったからだ。仙石線は私鉄を国鉄が買収した路線なのでそうなっていた。現在は仙石線の線路を石巻線の方の駅に引き込んで、改札口も統合されている。
 通勤型電車の快速「うみかぜ6号」に五十分乗れば仙台だ。仙台駅のホームも、東北本線などとは少し離れた場所にあり、長い連絡通路で結ばれている。

 仙台からは東北新幹線11時04分発「やまびこ110号」に二駅先の福島まで乗る。
 新幹線には乗らんと言ったばかりだろうが、との声が聞こえるが、お待ちいただきたい。今度は片道切符の規則の問題である。

 原則として、新幹線と並行在来線とはまとめて一本の路線と見なされる。だから片道切符では、並行する区間でどちらか一方を通ってしまうと、いま一方はもう通れなくなる。
 しかしあくまで原則であり、例外がある。並行在来線と離れた所にある新幹線の駅の前後の区間は新幹線と並行在来線とをそれぞれ独立した路線と見なすことができる、と何ゆえにか定められているのだ。
 仙台~福島間には白石蔵王(しろいしざおう)という新幹線独自の駅があるので、この例外規程が適用される。それで、まず新幹線で福島まで行き在来線(東北本線)で戻ってくることで、距離を伸ばすことが可能になるのだ。

 11時28分に福島に着き、逆方向の下り仙台行普通列車でとって返すが、車内は込み合って駅弁も食べられない。このまま仙台まで行っては同じ駅にぶつかるので、岩沼(いわぬま)で降りて常磐(じょうばん)線に抜けることになる。岩沼着12時36分、常磐線は十一分前に出たばかりで、次の列車は五十六分待ちだ。岩沼の町に出てみると、立派な待合室のあるJRバスの停留所があったので、そこで駅弁を食べた。
 13時32分発の平(たいら)行は六輌連結だが、仙台からの買い物帰りの客で込んでいた。そこそこの大きさの町が次々現れ、乗り降りが激しい。
 平に16時05分着、僅か三分待ちで磐越東(ばんえつとう)線の郡山(こおりやま)行に乗り換えると、昨日と同じ新型のディーゼルカーだった。三春駒の里である三春(みはる)を経て、郡山着17時42分。

(つづく)

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