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東武博物館

 東武系のホテルに泊まった時に招待券をもらったので、標記博物館を見学することにした。こういう博物館があることを知らなかったが、それほど古いものではないらしい。東向島駅の高架下にあるので、都心からも近い。

 ここへ行くのに山手線の日暮里から入ったので、京成関屋から東武の牛田へ徒歩で乗り換えたのだが、これがまた珍妙な乗換えであった。 

 何にしろ、両駅は道路を隔てて向かい合っており、徒歩連絡というほどの距離もないのである。108211384108211371これより遠くても同じ駅名を名乗っている乗換駅はいくらでもあり、同じ名前にしないのは、大手私鉄同士の意地なのか、あるいは荒川放水路の工事で線路が付け替わった結果が放置されているのか、定かではない。いずれにしても遠く大正から昭和初期の話なのだが(写真右の左は牛田駅構内から見た京成関屋駅。右の右は両駅の間にあるコンビニ。店名は両駅の顔を立てている)

 
 牛田から普通電車で二駅浅草方面に乗った所が東向島である。降りてみると、どこにでもある下町の駅である。早速博物館の中に入ってみる。
 高架下だから狭苦しい感じかと思ったらそうでもなく、けっこう歩きまわれる。

 入場してすぐの所に鎮座しているのは蒸気機関車だ。B1型と呼ばれるもので、もちろん東武で使われていたのである。蒸気機関車というと国鉄としか思わないわたしには新鮮な展示物だ108211362 108211360
 しかも、これは一日に何度か機関士の扮装をした係員が運転台に乗り込み、動輪を回して汽笛を鳴らしたりもする、半動態保存である。回し始めには機関車の前の腕木式信号機がばちゃんと下りるところが細かい。

 他にも各時代の東武車輌が展示されている。
 わたしが興味をそそられたのは、昭和四十三年に廃止された日光軌道線の連接車である。東武日光駅から馬返までの、日本一高い所を走る路面電車とも言われた路線だ。108211180
 ここを走っていた電車は、一部が岡山電気軌道に譲渡され、今も現役であるばかりか、一輌は日光時代の塗装に復元されている。だからわざわざ保存車を見なくてもいいようなものではあるが、ここにあるのは連接車である。
 昭和二十九年に製造されたものだから、稼働したのは僅か十四年でしかなく、鉄道車輌としては異例の短命である。わざわざ連接車を造る、というのは、単車では捌ききれないほどの乗客があったということでもあり、それがたった十四年で路線廃止とは、社会情勢の激変のあらわれにほかならず、モータリゼーションの急速な進展に驚かされる。どことも路面電車は斜陽期にさしかかっていたので、連接車は引き取り手がなかった。それも哀れだ。
 車内に入れるようになっていて、シートにも坐れる。高架下からはみだすように置いてあるので、窓からは館外の一般道路が見えている。電車の外観を見たり撮ったりするのも、館外からがよい。10821174

 大正十三年に東武鉄道が初めて電化(浅草(現・業平橋)~西新井間)された時に導入された電車もある。これも中に入れるが、意外にシートのクッションがよく、坐り心地がなかなかである。
 車内の装飾なども、国鉄とはちょっと違う独自のカラーが出されていて、昔の私鉄はいいな、と思う。

 歴代の優等列車用の車輌もある。
 戦後間もない頃に造られた半流線型の特急車輌は、平成の初めごろまで現役だったので、わたしも晩年の姿を知っている。それだけ車輌を大切に整備して使っていたのだと思われ、そういうところも私鉄らしい。10821160 10821192_2
 車内には転換式クロスシートが並び、多客期に通路に出されていたという補助席も一席セットされている。

 一世代前の特急車輌で、国鉄「こだま」型に匹敵する名車だったDRCも、カットボディながら車内に入ることができる。
108211260  なまじ現代の車輌に近いからか、座席などは古い車輌に比べて却って見劣りがする気がする。それでも、関西でもこの東武特急のTVコマーシャルは流れていたので、映像の形でなじみ深い車輌で、懐かしい。

 
 鉄道以外に、系列会社の交通機関も多少は展示されている。
 バスの展示というと、ボンネットが通常だが、適当な車輌がなかったのか、ここはキャブオーバーバスである。10821170 10821162
 が、これはこれで貴重だ。それまでボンネットとなっていたエンジンの上まで運転台を伸ばして収容力を増した、いわば現在の箱型車体のリアーエンジンバスへの過渡的なタイプのバスなので、わざわざ保存している所は少ない。
 わたしの幼い頃にもキャブオーバーバスはまだ走っていたが、車内の雰囲気など、あまりよく覚えていない。運転台の脇にこんなに大きな出っ張りがあったのだなあ、と思う。また、バリアフリーなどという思想は影もない時代なので、出入口のステップは、段がかなり高い108211361

 この他、ロープウェイの搬器も置かれている。

 模型のジオラマももちろんあるし、シミュレーターの種類が豊富で、実際に動かしてみる体験が手軽にできるのは、特筆するべきであろう。

 中二階を利用して、実際の線路と電車の足回りを観察できるようになっている通路もあるのが面白い。ここからは建設中のスカイツリーも望める。

(平成22年8月訪問)

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