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福鉄市内線運休時の様子

 福井鉄道福武(ふくぶ)線は、沿線、主に福井市内のイベントに伴って、部分運休となる場合がしばしばある。
 利用客は不便をかこつことになる。公共交通を止めてイベントをやるのはどうかと思うし、何も電車通りを使わなくてもよさそうである。要するに、イベントをやるようなスペースが確保されていない都市計画に問題があるわけだが、それはともかく、趣味的に言うと、面白い現象が出来したりもする。
 そんな様子をちょっと見てみた。

 運休の区間は、その時に応じて、市内(軌道)線全線、市役所前以北と市役所前~福井駅前間の枝線(通称ヒゲ線)、枝線のみ、といろいろである。普通だと見られないような方向幕表示が見られることがある。

 下は、「福井新」の方向幕を出した電車である。

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 福井新(しん)駅は赤十字前に改称されたので、もうこの表示を見ることはできないが、「赤十字前」というコマも車輌にはちゃんと入っている。

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 イベントの他、工事や事故、それに豪雪などによる市内線運休の際に赤十字前(福井新)折返し運転が見られる。市内線全面運休のときは、代行バスなどが運転されることも多い。
 下は、福井マラソンで市内線が全面運休したときの代行タクシー案内である。フェニックス通り自体が通行止になるので、代行バスではなく、裏道を行くジャンボタクシーになるようで、福井駅前も東口発着である。

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 ただし豪雪の場合だけは、バスの方が大変な状態なので、当然代行バスはない。

 一方、部分運休の場合は市役所前折返しが発生する。「市役所前」の表示も、通常ダイヤでは使われないが、ちゃんと入っている。

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 ただし、高床車にはこのコマはないので、フロント窓に紙の札で行先を表示する。

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 運休している最中の、電車が来ない田原町(たわらまち)駅を覗いてみた。
 逆光で読みにくいが、運休を知らせる立札が立っている。しばしば運休があるから、これも普段から用意されているようだ。

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 運休は終日でなく、昼間から夕方の一定の時間であることも多い。その場合、運用の都合で田原町での滞留が行われる。その車輌はホームではなく奥に引き上げられている。
 田原町は一面一線の棒線駅だが、奥に一編成分の線路があるのである。発車順序を替えて折返す際などに使用されている。

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 田原町駅の隣は、古くはバスの車庫があったそうだが、車庫が大土呂に移転し、跡地は払い下げられてコンビニになっていた。駐車場の一隅が、従前どおりバスの回転地・乗降場を兼ねていた。
 このコンビニに回数券販売なども委託されていたのだが、近年になって閉店してしまった。実は通りを挟んだ向かい側に、地元のコンビニがあり、ここは手作り惣菜も売っていて、イートインスペースもあるという、充実した店である。その至近とあっては、いかにチェーンのコンビニといえど、商売は厳しかったのだろうか。
 コンビニはなくなったが、その跡地の跡地でバスが転回することに変わりはない。もっとも、乗場はフェニックス通り上のバス停に移ったようである。

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 さて、市役所前でも、普段と異なる風景が見られることがある。

 市役所前~田原町と駅前枝線の両方が運休になる場合は、全ての便が市役所前折返しとなるので、渡り線を使って着いた電車から順に発車させていけばよい。
 ところが、枝線のみの運休となると、少しく話がややこしくなるのである。
 昼間パターンでは福井駅前経由で越前武生(えちぜんたけふ)~田原町を往復する普通電車ばかりなので、駅前枝線往復を省略して田原町直行とする。これも、市役所前で時間調整停車をするだけなので、さほど問題はない。

 しかし、急行が入る朝夕パターンでは、手がかかることになる。
 通常の朝夕パターンは、急行が福井駅前折返し、下り普通電車は田原町行直行、上り普通電車は田原町発福井駅前経由越前武生行、となるのが基本である。しかも、上り普通電車が市役所前上りホームから枝線に入った直後に、枝線から出てきた上り急行が下りホームでスイッチバックの後、この上りホームに入ってきて、接続をとるようになっている。田原町・仁愛女子高校からの急行利用の便を図っているのだ。
 駅前枝線運休時にこの接続を確保しようとすると、手数がかかるわけである。枝線に入れない急行は当然市役所前折返しなので、下りホームで降車を扱った後、渡り線で上りホームに移る。その後田原町からの上り普通電車が来るが、急行がいるのでホームに入れない。さりとて、普通電車を先にホームに入れてしまうと、この普通電車が通常な駅前枝線を往復する間、時間調整でこのホームに居すわることになるので、急行の乗車扱い・発車ができなくなる。
 それで、どうしても臨時ホームの設置が必要になるのだ。

 ということで、夕方、急行の運転が始まる直前になると、保線係員が出て、上りホームの交叉点を挟んで北側に、臨時ホームを設営する。ホームといっても、路上に大きめのまな板のような物をおいただけだが、ステップから路面に直接降りるのは段差が大きすぎる。前扉の所にだけ台が必要になる。

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 さて、実際の発着の様子を見てみよう。
 急行が市役所前に着き、渡り線で上りホームに入った。

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 続いて田原町からの上り普通電車が来て、臨時ホームに前扉を合わせて停まる。急行に乗継ぐ客が降りてくる。普段は車掌として乗務する係員が待機している。

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 交叉点の真ん中を渡ることになるので、係員が安全を確認しながら乗客を上りホームに誘導する。軌道上を歩くわけである。

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 そして急行が発車した後、普通電車が前進して上りホームに入り、時間調整停車となるのである。
 そうしているうち、下り普通電車が到着したりもする。高床車と低床車が並ぶと親子みたいである。

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 まあこれ、時刻や運用を変更して上り急行を田原町発にするなどすれば臨時ホームは要らない気がするのだが、それも案内が煩雑になってしまう。このような手間をかけて通常に近いダイヤを維持しようとする福鉄は、なかなか律儀である。

(平成24年9月執筆)

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