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北陸線にみる列車遅延処理三題

 北陸線でたてつづけに三度経験した雷鳥系特急を中心とする列車遅延とその処理のありようについて、経験したままを記録するとともに、少しばかり意見を述べた記事である。


 所用で神戸に出かけた。JRを利用したのだが、大雪やそれから派生した事故などのため、ダイヤは終日乱れていた。その隙間を縫うように乗ってきたのだが、いろいろ感じるところがあった。

 鯖江8時21分発米原行普通は、意外にも定刻にやってきた。昨夜も雪が降ったのになかなかしっかりしている。そう思って乗り込んだが、次の武生で早くも遅れが出はじめる。
 通常は武生で特急「しらさぎ54号」米原行の待ち合わせのため約6分停車するはずだが、隣のホームを駆け抜けたのは特急「サンダーバード6号」である。三十分近く遅れているようだ。続けて特急「雷鳥8号」大阪行が入ってきて、ホームにごった返す客を乗せ、出て行く。自由席には立客もある。この「サンダーバード」と「雷鳥」は、本来福井でこの普通を抜いているべき列車だ。そして所定の待ち合わせ列車「しらさぎ54号」がやっと来て、続けてこの普通も発車した。二十分ほどの遅れだ。
 その後山間部にかかると、速度が落ち、敦賀では切離し作業のため停車時間を切り詰めることもできず、三十分ほどの遅れとなって長浜に着く。
「JR琵琶湖線も大幅に乱れております。彦根・京都方面にお乗換えの方も、米原まで行ってお乗換えになることをお勧めします」
とのアナウンスだが、わたしは新快速でないと意味がないし 、トイレやATMに行ったりする都合もあるので、長浜で下車。

 接続する新快速は所定より一本後の10時46分発の姫路行となる。折返しとなる上りが十分ほど遅れたので、三分遅れで長浜を発車。すぐに次の新快速とすれ違い、続けてさっきの米原行が米原から折返し近江今津行となった列車ともすれ違う。やはり三十分ほどの遅れだ。名古屋からの特急「しらさぎ3号」富山行は一時間以上の遅れとなっており、まだ姿を現さない。
 米原に着くと、驚いたことに、向かい側ホームに寝台特急「出雲」出雲市行が停車している。客も乗っているようだ。米原は停車駅ではないが、所定ダイヤなら二時三十分頃の通過となるはずで、約八時間半の遅れということになる。関が原越え区間は夜間ずっと抑止がかかっていたのであろうか。夜が明けてしまえば、このまま運転を続けるより、新幹線と特急の乗継ぎの方が早く山陰方面に着くはずで、普通なら乗客をそちらへ誘導するものだが、新幹線もべた遅れで、そうもいかないのだろう。来年三月改正での廃止が昨日公式発表された列車がこのありさまとは、なにか象徴的だ。珍しいので新快速のドアから「出雲」をカメラに収めたが、20051223111255 ヘッドマークも雪に染まって読み取れない。

 新快速は、米原で数分停車して八分程度の遅れとなり、東海道線を下る。石山で動きかけた電車が停まり、ドアを開け閉めする。
「石山駅で駆け込み乗車をされたお客様にお願いします。駆け込み乗車は大変危険です。他のお客様のご迷惑にもなります。絶対にお止めくださるよう、お願いいたします。石山駅での駆け込み乗車のため、列車はさらに遅れまして、およそ十分遅れで発車いたしました…」
 このところ、JR西日本は駆け込み乗車抑制にこうした厭味放送作戦をとっているようだ。

 湖西線から合流する高架線路に、「雷鳥16号」大阪行らしい電車が停まっているのを横目に山科駅に入る。この先、「雷鳥」と新快速とは同じ線路を走ることになる。
 それにしても、特急を待たせて新快速を先に通すとは、列車の格から行けば逆さまだ。米原でも「出雲」より先に出たわけである。関西における新快速のこうした厚遇は国鉄時代から一貫している。新快速こそが看板列車である、という誇りが大阪鉄道管理局からJR西日本に受け継がれているのだろう。大阪駅の発車時刻をみても、毎時0分といういちばんいい時刻の発車は昔から新快速である。特急や急行を追い抜く新快速も珍しくなかった。現在でも12時00分に上り新快速と寝台特急「トワイライトエクスプレス」札幌行が同時発車するが、京都には新快速が先着する。
 その思想が運転整理にも通底しているわけだが、この先、特急からの意趣返しのようなめに遭うことになる。
 京都を発車しても、あまりスピードが上がらない。
「前を走っております特急列車が、速度を落として運転しております。このため、この列車もこれ以上速度を上げることができません。新大阪付近までこの速度が続きます」
とのことで、一旦追い抜いた各駅停車にまた追いつかれたりしながら新大阪には十六分遅れで到着。隣のホームには「サンダーバード14号」らしい列車が入っている。これが「速度を落として運転して」いた特急らしい。床下に付着した雪が巻上がって窓ガラスを割ったりする事故を防ぐために、徐行していたのだろう。

 十六分遅れると、ホームには次の新快速に乗るつもりで来た人も待っている。乗降に時間がかかっては駅間で飛ばして回復する、の繰返しで、遅れ時間はなかなか縮まらないまま、十三時五分頃明石に着き、下車。

 帰りは、神戸市内で所用をこなしながら大阪駅に向かう。快速電車・各駅停車も少しずつ遅れている。
 券売機で19時27分発特急「サンダーバード45号」富山行の武生までの特急券を買って十九時十五分頃ホームに上がると、発車案内には17時42分発「サンダーバード39号」魚津行が出ている。これがまだ発車していないようだ。自由席の乗車口にはそれぞれ電車二輌分くらいの列ができている。
「「サンダーバード39号」は、折返しとなります列車が二時間近く遅れましたため、発車が遅れております。現在、車庫で車内整備を行っております。間もなく車庫を出る予定です。発車は十九時二十七分頃になります」
 つまり、45号のダイヤで運転しようということらしい。しかし、あくまで39号なのだから、45号の特急券では自由席にしか乗れない。自由席に今からでは坐れない。わたしは乗車を諦め、次の列車を待つことにする。
 「サンダーバード39号」は、自由席はデッキにはみ出す立客が出る盛況、指定席はガラ空きできっかり十九時二十七分に発車した。見通しがよくなったホームを歩き、わたしは「雷鳥」の自由席乗車位置に並んだ。45号の発車がいつのことか分からないので、次の所定18時12分発「雷鳥41号」金沢行の自由席に乗ることにしたのである。
 案内放送では、41号はやはり車庫で整備中で、発車は二十時八分になる、とのことである。20時08分は「雷鳥47号」金沢行の発車時刻である。わたしは憮然とする。

 このように特急が大幅に遅れた場合、後の列車の所定発車時刻に合わせて運転するのは、JRがよく使う手である。運転する側としてはこれがやりやすいのだ。予め引いてあるスジ(ダイヤ)に乗せて運転すれば、途中の追越し・交換・接続なども変更する必要がなく、手間が省けるからだ。
 しかし、客の立場としては、一刻も早く目的地に着きたいわけである。準備ができ次第一分でも早く出発させるのがサービスではなかろうか。それに、後の列車の所定時刻よりも早く着くことは絶対にないわけでもある。回復運転をしても定刻には戻せないにせよ、遅れを取り戻すことを放棄する姿勢はどうなのだろう。
 わたしが白けるのは、39号にしても41号にしても、意図的に後の列車の時刻に合わせたことは明白なのに、それを表明することなく、遅れた結果たまたまその時刻になったかのように案内することである。舞台裏が分かってしまうマニアは僻目になる。

 「雷鳥41号」は定刻のような二十時八分に発車した。自由席は九割がた埋まっているが、指定席はがらがらである。それは当然で、「雷鳥41号」の指定券を持って駅に来た人の多くは、もっと前の遅れた特急の自由席に乗ったに違いないからだ。そして本来ならこの時刻である47号の指定券を持った人も、41号である以上、指定席には坐れない。なかには、放送をよく聞かず、あるいは聞いても何号であるかなどに注意を払わず、47号の指定券でこの41号の同じ席番に坐ろうとする人もある。これは問題だ。律儀に41号の指定券を持って41号を待っていた人がいるかも知れず、席が重複してトラブルになりかねない。
 がら空きだからほっといても何とかなると思っているのだろう。しかし、指定券を持った客に対する措置をきちんと決めて案内するべきである。例えば、47号の指定券の人には指定の席番に、それ以外の列車の指定券を持ったわたしのような客は指定席車の空席に坐ってよい、というようにである。あるいは、新幹線が大幅に乱れたときにやるように、思い切って普通車全車自由席にするのも一考だ。そうすれば立客も出なくて済む。

 新大阪で接続待ちのため五分ほど停車する。特急「はるか50号」米原行が遅れているのだ。「はるか50号」と「雷鳥47号」とが接続をとっていることは、迂闊にも知らなかった。時刻表を見るとなるほどそうなっている。
 これで遅れが二時間を超えた。特急料金は二時間以上遅れた場合は払い戻しとなる。しかし、こういう運転のし方だと、問題が微妙になってくる。
 案の定、鯖江に着いたのは二十二時五分、41号の定刻より二時間四分の遅れである。

 鯖江駅の改札では、41号の特急券を持っている人には払戻しをしている。これは当然だ。自由席特急券はそのまま回収して払戻しなし。自由席の客は何号であろうと乗れればいいわけで、47号に乗るつもりで駅に来た人も多いから、実害はないだろう、ということだろう。わたしの45号の特急券も払戻しはなかった。まあ、わたしの場合は武生までの特急券で鯖江に降りたのだから、厳密に言うと武生~鯖江間の繁忙期特急料金1440円を追加徴収されても文句は言えないので、別にいいのだが(日頃から便宜上武生と鯖江は一体のように運用されているのでもちろん何も言われない)。
 特急が利用できる往復割引きっぷの類を持っている人にも払戻しはない。
 しかし、やはりおかしい。時刻表の営業案内には、「特急・急行列車が2時間以上遅れて到着した時は、特急・急行料金の全額が払いもどしになります」と明記されている。自由席だからどうとか、他の列車の特急券だからどうとかいう除外はない。現に41号の指定券を持った客もいる以上、自由席の客のなかにも41号に最初から乗るつもり(車内待ち合わせとか何かの都合で)だった人がいるかもしれない。二時間以上遅れた特急に乗っていた人は、全員を特急券払戻しの対象にするべきである。往復割引きっぷはしかたがないだろう。特急料金は込みの切符であり、特急券部分と乗車券部分が分かれていないから、特急料金だけを払戻しようがない。

 いろいろ釈然としないが、とにかく今日中に帰れたのはよかった。

(平成17年12月23日乗車)


 

 昨日も夜遅く大阪から鯖江に帰ろうとし、またまた雪害による遅延に出くわしてしまった。「列車遅延と処理」に書いた状況に似てくるが、微妙に異なる。

 今回は、二十時半過ぎに新大阪から乗ろうとし、20時57分発最終の「サンダーバード49号」の敦賀までの特急券を買ってホームに降りた。が、発車案内には「サンダーバード49号」がない。しばらく待っているとアナウンス。今日も北陸地方からの特急が遅れたため、折返しとなる下り特急も一時間程度遅れる、と言う。「サンダーバード45号」の発車時刻が定まり次第放送する、というのだが、「サンダーバード45号」は定刻19時31分である。既に一時間以上過ぎている。

 二十一時を過ぎてようやく、「サンダーバード45号」は二十一時二十五分ごろ発車の見込み、とアナウンスが入った。待合室に坐って待っているが、待合室にはスピーカーがなく、ホームの放送が聞こえない。これでは意味がない。放送がかすかに聞こえはじめると、待っている人はみなドアを開けて寒い外に出る。
 さてわたしは思案のしどころだ。鯖江に帰るのに、「サンダーバード49号」の特急券を敦賀までにしたのは、「サンダーバード49号」が武生にも鯖江にも停まらず、敦賀で福井行最終の普通電車に二十五分待ちで接続するから、それに乗って帰るためである。しかし、二十一時二十五分の発車だと、「サンダーバード49号」の定刻からも二十八分遅れることになり、この普通電車には間に合うかどうかが微妙になる。それくらいなら普通電車が待ちそうに思うが、確信はもてないし、雪のためにさらに遅れるかもしれない。敦賀のような中途半端な所で足止めになっても困る。
 もっとも、「サンダーバード45号」なら武生には停まるので、武生で降りてもよい。しかし武生駅からタクシーという散財はあまりしたくない。
 それでわたしは、少々帰る時間が遅くなるが、後続の所定20時12分発「雷鳥47号」を待つことにした。これなら鯖江に停まる。

 ところが、二十五分が近づいても、まったく「サンダーバード45号」が来る様子がない。アナウンスでは、大阪駅で車輛点検中と言う。大阪駅のホームに出る前に基地で点検すればよさそうなものだが、一刻も早く発車させたくて焦ったか。
 とうとう、「サンダーバード45号」は不具合のため車輛を交換して運転する、という報せが入った。大阪駅では既に客を乗せていたのだろうし、それでも交換しなければならないとは、よほど重大な問題なのか。

 二十一時四十五分頃になって、やっと「サンダーバード45号」入線の放送だ。わたしは見送るつもりだが、どんな乗り具合かとホームに出てみた。
 すると、入ってきたのは「雷鳥」用の車輛ではないか。ヘッドマークも「雷鳥」である。これは「雷鳥47号」ではないのか? そう思ってわたしは咄嗟に待合室から荷物を持って来ると、自由席に飛び乗った。列車はすぐに発車。
 しかし車内放送では、
「遅れております「サンダーバード45号」富山行です。本日は雪害のため列車が遅れまして、また車輛不具合のため「雷鳥」編成に変更して運転となりまして、ご迷惑をおかけします」
と言う。
 「サンダーバード45号」なら鯖江には停まらない。この列車の後に「雷鳥47号」を運転するのだろうか。しかし、「サンダーバード45号」の車輛が不具合を起こしたからといって、急に別の車輛をスタンバイできるとも思えない。この編成こそ、「雷鳥47号」に充当するはずの編成だったに相違ない。この後に急遽「雷鳥」編成をもう一組整備して仕立てることも不可能ではなかろうが、既に最終列車の所定発車時刻を過ぎたこの時間帯にそこまでするとは思えない。「雷鳥47号」は運休になるはずだ。さて困った。鯖江までJRで行けるかどうか、覚束なくなってきた。

 車内改札に来た車掌さんに、「鯖江に行きたいのですが」と話し、いろいろなことを確認してみるが、要領を得ない。敦賀からの普通列車の接続も分からない。不確定な情報が多いのだろう。ただ、鯖江に停まらないのか、という問いには明確に「停まりません」と言う。とりあえず特急券を武生までに変更してもらい、追加料金を払う。
 しかしおかしな話だ。いかにこの列車が「サンダーバード45号」であっても、当然「雷鳥47号」に乗るつもりだった客も多数乗っていたはずで、それらの客の便宜を考えれば、「雷鳥47号」を運休するのであれば、「雷鳥47号」の停車予定駅にも全て停車するべきだろう。具体的には鯖江・芦原温泉・松任の各駅だ。「サンダーバード45号」が壊れたせいで「雷鳥47号」の客がとばっちりを受けるのは筋違いだ。
 ただ、12月24日の時と違うのは、「サンダーバード49号」の特急券を持っていたわたしを、車掌さんが指定席車に誘導したことである。わたしのブログを読んだわけではなかろうが、そうすることで自由席車の必要以上の混雑を防ぐのはいいことである。ただし、それは乗る前に案内するべきことだろう。荷物を持ってやおら移動する。無論、移動を強要されたわけではないので、動きたくなければ自由席車に坐ったままでもよかったのだが、誘導の趣旨に賛同するから動くことにしたのだ。

 暫くすると、車掌さんがわたしの側に来て、
「敦賀で普通電車が接続待ちすることが分かりました。よろしければ先ほどの料金をお返ししますので、敦賀で乗り換えてください」
と言う。それはありがたいが、確かに普通電車は待つのでしょうね、と念を押し、言葉に従う。

 敦賀に二十二時五十八分頃に到着すると、向かい側に普通電車が停まっている。デッキで件の車掌さんに「お気をつけて」と見送られ、普通電車に乗り換えようとして、「サンダーバード45号」をふと振り向き、わたしは、これは珍しい方向幕だな、と気づいてケータイのカメラに収める。「雷鳥」編成には「サンダーバード」のコマはないので、しかたなく「特急 雷鳥 富山」と表示している。現在の「雷鳥」は、大阪~金沢間のみの運転になっているので、通常見られない表示である。20060108231149

 待っていたのは22時35分発の福井行で、既に二十五分ほど遅れている。「サンダーバード45号」が出た後、すぐ発車するのかと思ったら、五分も経たないうちに「サンダーバード49号」が入ってきてすぐ出て行った。わたしが乗るはずだった列車だ。こんなにすぐ後に続いているとは思わなかったが、これで「雷鳥47号」が運休したことがはっきりした。
 二十三時三分頃に普通電車は発車し、わたしは鯖江に二十三時四十分頃に着いた。ほっと一息だが、芦原温泉と松任はちゃんと救済されたのか、気になるところだ。

 そして、特急券の払戻しについて案内は全くなかったのは前回と同じだ。「サンダーバード45号」は二時間以上遅れたのだから、それに乗っていた客の特急券は払戻さねばならないはずだ。

(平成18年1月8日乗車)


 

 今日も今日とてダイヤ混乱に巻き込まれた。

 関西から福井までの帰り、関西空港から(飛行機でどこかに行っていたわけではない)特急はるか26号サンダーバード91号とを新大阪で乗り継いで帰るつもりでいたところ、予定とは全く違う旅程になった。
 そこでは列車遅延時の処理について、JRの関係者がこのブログを読んでいるわけではあるまいが、このシリーズで(たびたび遅延に出会すので、シリーズにすることにした)提言してきたことが実現している一方、まだまだと思えることもあった。

 関西空港13時16分発のはるか26号に乗る予定をしていたが、これは新大阪での乗り換え時間が九分しかなく、ちょっと不安な感じがする。サンダーバード91号は指定券を取ってある。幸いはるかは三十分毎に運転されているので、一本早いのに乗れたら乗ろう、と思って早めに駅に行ってみる。
 と、「はるか」はまもなく発車、というアナウンスがホームに響いている。十二時二十五分頃である。もう12時16分のはるか22号は出て46分のはるか24号はまだ来ていない時間のはずなのに、おかしいな、と思ったが、ともかく早いのにこしたことはないだろう、と停まっている「はるか」の自由席車に飛び乗った。すぐに発車したが、日根野でやはり遅れているらしい関空快速を抜いて阪和線に入ると速度が落ちた。
 車内放送によると、これは十分遅れのはるか22号ということだった。JR京都線で発生した人身事故の影響で、関西一円のJR線のダイヤに乱れが生じている、という。ひと昔前なら、阪和線は紀勢線以外の線に直通していなかったから、東海道筋の事故に影響されることなどあり得なかった。複雑な運転系統をとるようになって、多様なニーズに応えているのはいいが、こういう時には脆い。
 阪和線は過密ダイヤなので、線内運転の普通電車などは定刻に走らせているようだ。そうすると、遅れて走る特急は、所定の駅で普通電車を抜けず、おそらく所定の一本後の普通電車の後追い運転になって、のろのろになるのだ。待避線のある駅でやっと普通電車を抜いて速度が上がるが、じきに一本前の普通電車に追いついてしまい、また牛歩運転になる。天王寺では遅れは十三分に増大、環状線に入るといよいよ過密ダイヤなので、もっとのろくなって、西九条では二十分遅れになった。ここからは特急しか走らない梅田貨物線を順調に走ったが、新大阪に近づくとみるみる速度が落ち、淀川鉄橋の上で停まってしまった。十三時二十八分頃である。
 新大阪駅は、「はるか」・「くろしお」など阪和・紀勢線直通特急の発着できるホームが一線しかない。つまり京都方面も関西空港・紀勢方面も同じ線に発着するのだ。所定ダイヤでは絶妙なやりくりをしているが、ダイヤが乱れてしまうと、ここが大ネックになってしまう。このはるかが停まっている地点も、新大阪のホームに入るのを待つというにはあまりに手前過ぎる。鉄橋の上で停まっているのは気持ちのいいものではない。しかも並行する東海道線(JR京都線)の線路を新快速や快速や普通電車が次々追い抜いていく。
「ただ今、新大阪駅のホームにスーパーくろしお号が停車しております。しばらくお待ちください」
と放送が入る。どっち向きの「スーパーくろしお」かな、と考えていると、十三時三十二分頃、右窓を新大阪を出た「オーシャンアロー」が通りすぎていった。新大阪13時06分発オーシャンアロー17号新宮行のようだ。何だ、「スーパーくろしお」と違うがな。でもこれで新大阪のホームが空いたから、もう動くだろう、と思ったら果たして動き出した。が、駅の手前でまた停まってしまった。どうも、この列車の前にもう一列車いたらしい。12時49分新大阪終着のスーパーくろしお12号が先行しているはずで、車掌さんが「スーパーくろしお」と言ったのはそれのことのようだ。だったら、さっきの「停車しております」は間違いである。
 それから十分経っても停まったままで、放送は、
スーパーくろしお号が新大阪にまだ停車しております。スーパーくろしお号が発車した後、この列車が新大阪に入ります」
と言う。待ってる列車があるのに、何でそんなに長く停まっているのか、と訝しむ。何度か同じ放送が繰り返されるうち、十三時四十三分頃、今度は右窓を「はるか」が過ぎていくではないか。13時15分発のはるか31号関西空港行のようだ。スーパーくろしおが回送で発車してホームを空けないと、はるか31号も新大阪に停まれないはずで、してみると、この列車よりもはるか31号を優先したらしい。これから関西空港に向かう列車の遅れを極力少なくしたい気持ちは分かるが、どうも釈然としない。車内放送はずっと「スーパーくろしおが停まっていて…」と繰り返していたのだ。他の列車を優先したことを知らせて僻ませないための配慮かもしれないが、情報は正確に伝えた方がよい。

 結局四十分ほど遅れて十三時四十七分頃に新大阪に着いた。これなら西九条で環状線に乗り換えた方が新大阪には早く着いただろうが、まあそうであったとしても、結果は同じであるが。
 はるかが着いたのと同じホームの反対側が北陸特急の発着線だ。発車案内を見ると、次の発車は13時35分発新快速近江塩津行、その次は13時16分発雷鳥89号金沢行、と表示されている。新快速は既に発車時刻を十分以上過ぎているが、到着までにまだ十五分ほどかかると案内がある。そもそも休日の新快速は通常なら隣のホームに発着するはずだから、相当な乱れ方である。そして、表示とは裏腹に、11時46分発のサンダーバード19号が車庫を出て大阪駅に向かっている、今度の北陸方面はこれになる、と放送している。これは現場も混乱していて、いつ何が来るか分からないような状態のようなので、わたしはホームに荷物をおいて腰を下ろし、すぐに動けるように待機した。

 混雑していたホームにいた客はほとんど新快速を待つ客だったようで、新快速が二十五分遅れで発車すると、ホームは閑散としてしまった。十四時頃に13時49分着の白浜からの特急くろしお14号が到着した。この列車は折返し14時03分発くろしお19号白浜行になるのだが、降客が終わると直ちにドアを閉めて超早業で車内清掃や座席の整備を行い、再びドアを開けると、十四時五分頃にはとっとと発車して行った。慌ただしいことだ。
 入れ違いにサンダーバード19号が入ってくる、という案内がある。
「間もなく、11時46分発サンダーバード19号、およそ百四十分遅れて到着いたします。なお、この後の北陸方面特急列車も二時間程度遅れる見込みでございます。各列車の特急券をお持ちのお客様も、この列車へのご乗車をお考えください」
 お考えください、という案内は初めて聞いた。あくまで客の責任で決めろ、ということらしい。ちょっと無責任な感じもする。
 そして、以前の記事で指摘した、定刻は過ぎているがまだ来ていない列車の指定券を持っているわたしのような客に対する案内は、大いに進歩していた。
「この後の特急、サンダーバード21号25号雷鳥89号などの指定席特急券をお持ちのお客様で、このサンダーバード19号にお乗りの方は、とりあえず自由席車にご乗車いただき、車内で車掌にご相談ください。指定席に空席がありましたら、ご案内いたします」
 これは的確な案内である。ただ、このホームの状況を見ても、前回までの経験に照らしても、指定席には空席があると察せられる。二時間もホームでぼーと待っている人など今どきいるはずもなく、サンダーバード19号の指定券を持った客のほとんどは米原回りなど他の方法を考えるか旅行を諦めるかしたのであろう。大阪駅も京都駅も同じ状況と推測される。
 一応自由席車の付近で待っていたが、入ってきたサンダーバード19号は案の定指定席車はがら空きである。ご相談するまでもないので、わたしは躊躇なく指定席車に乗った。
 車内放送では、この忙しいのにいちいちご相談を受けてられないとばかり、
「他の特急列車の指定券をお持ちの方は、指定席車の空席にお坐りください。ただし、途中駅からサンダーバード19号のその席の特急券をお持ちのお客様が乗ってこられましたら、席をお譲りください。サンダーバード19号の特急券をお持ちの方が優先でございます」
と指定席を開放した。これも的確である。
 結局前の列車が遅れていたおかげで、わたしはもともと予定して指定券を用意していたサンダーバード91よりも数分早く武生に着くことができた。ただ、わたしが持っていたのは鯖江までの指定券なのだが、サンダーバード19号は鯖江通過なのである。他の特急の指定券を持っている客がたくさん乗っていると分かっているのなら、可能性のある列車の停車駅全てをカバーするかたちで臨時停車するべきではないだろうか。

 根本的によく分からないのは、始発駅を出る時点で二時間以上遅れると分かっている特急を、なぜわざわざ運転するのか、という点である。十四時ちょうど頃に大阪を出たのだから、例えば13時42分発のサンダーバード25号が二十分たらず遅れているということにして運転し、サンダーバード19号を運休にしてはいけないのだろうか。放送で百四十分遅れなどと連呼するのも印象が悪いし、特急料金を払っている客全員に払い戻さねばならない。

 まあ今回のわたしはほとんど実害がないというか、考えていたよりも早く快適に旅行できたわけだが、それは結果論であろう。改善するべき点は改善していってほしい。

(平成19年7月16日乗車)

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