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福鉄の装飾電車

 平成20年末から21年初頭にかけ、福井鉄道が装飾電車を運転した。旧型(高床)連接車である200型の一編成にクリスマスと正月に因んだ飾りつけを施したものである。期間中は毎日同じ列車にこの編成を充当し、夜はライトアップした。
 当初は年末のクリスマス装飾だけが発表されていたのだが、「好評につき」運転期間を延長することになった、と報じられた。そして、正月向きの装飾に少しずつ模様替えしていったのだが。ただ、手回しのいい発表と装飾の入れ換えをみると、どうも最初からそういう予定だったのではないか、とも思われる。8z281665

 ともかく、珍しい試みなので、クリスマス版と正月版の過渡期に、この装飾電車に乗ってみることにした。
 西鯖江駅で夕方の下りを待ち受けると、200型がやってきた。何やら車内で光っている(写真右)

 

 

 車内に入ってみると、連接面を中心になかなか派手に飾られている。が、それ以外の部分はそれほどでもない。やはり営業列車だから、あまり座席や吊革を塞ぐような大がかりなものにはできないのだろう。
 天井からは「Merry Christmas」と電光の飾りが付いた大きな紙がふわりと垂らされている(写真左の左)。かと思えば、窓や網棚には正月の飾りも見うけられる(写真左の中・右)。沿線の子どもたちが描いた電車のぬり絵も花を添えている。8z281705 8281841 8z281664

 

 

 電車が駅を数えていくにつれ、明らかに装飾電車が目的で乗ってきたとみえる客が増えてくる。子供連れが多い。集客効果は十分にあるようである。
 そして、かざりつけをあれこれ評定したり、撮影したりしている。

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 連接側の窓には、かなりの数の電球が使われている。子供もこれに目を奪われている(写真右)
 これらの電球はもちろんLEDなので、電気代もかからないし、熱ももたず安全だ。

 

 派手な演出ばかりでなく、細かいところにもいろいろな遊び心がある。
 連接部分にはさりげなく靴下がぶら下げられている(写真左の左)。クリスマスのアイテムであるほかに、福鉄電車にも多くの人に乗ってほしい、という願いが込められているのであろうか。8z281683 8z281660_2
 そして、吊革には雪を模した綿が付けられている。ぎりぎり吊革の機能を損なわない程度にである(写真左の右)

 

 

 今度は車端の運転台側に目を移す。
 客席との間の仕切り板にも、やはり「Merry Christmas」の飾りつけ。そして運賃箱にはさりげなくクリスマスツリー。隅々まで神経が行き届いている(写真右)8z2817528z281712

 

 

 こうした飾り方を見ると、実用と見栄えのぎりぎりのせめぎ合いが窺える。
 というのも、この装飾は、福井鉄道から地元の福井高専に依頼があり、高専の学生会が応じて施したものなのである(写真左)。学生側の、もっと派手に飾りたい、という希望と、福鉄側の、そこまでされると運行・接客に支障する、という意向とを摺り合わせながら、お互いに臍を噛む思いで一つ一つを取り付けていったのではなかろうか。8z281794
 報道では、福井高専が担当したのがクリスマスのものだけのように読み取れる。正月の飾りは福鉄側が独自に付け加えたのかもしれない。
 いずれにせよ、福井高専のクレジットは、探さないと見つからないほど控えめに記入されているので、装飾が高専の手になることを知らずに観賞している客も多いのではないか。ここに写真を載せてその名を知らしめておくことにする。

 サンタさんと凧の同居という心地よい違和感を乗せて、電車は市内線に入っていき、行き交うクルマからの視線も集めはじめた。 

 なお、この装飾電車の運行が終了した後も、水仙の季節になると、車内に水仙が飾られた「すいせん電車」が運行されるなど、新しい試みがなされている。さらに、現在は電車を使った企画自体を公募している。いずれも、再建に向けた積極策の一環であろう。
 いろんな奇策をも講じ、集客に努めてほしいものである。

(平成20年12月・21年1月観察)

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