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残り僅かな国鉄特急色

 クリーム地に濃い紅色のラインが入っているのが、国鉄特急電車の標準色であった。昭和33年に、東海道本線の特急「こだま」として国鉄初めての特急電車が登場したときから、その配色が守られてきた。この色は、ディーゼル特急にも踏襲されたし、私鉄にも模倣された。国鉄の古き佳き時代を象徴するような配色である。

 JRになってから、次々新型の特急車輌が登場し、国鉄時代の車輌も塗り替えられたりして、この色を纏った特急電車がかなり少なくなってきた。それでも、少数残ったこの塗色を懐かしみ愛好する人も多い。
 その数少ない車輌をここ数年見かけてきた記録である。

 この記事の他にも、臨時急行「能登」や快速「あいづライナー」などで国鉄特急色の車輌に出会った記録を記事にしているので、併せて参照されたい。

 国鉄特急色の電車が、まさに特急運用で気を吐いていた、その最後の牙城ともいうべきだったのが、北陸本線の「雷鳥」系統であった。最後まで9輌の堂々たる編成が、全て国鉄特急色で闊歩していた。
 最後の頃は大阪~金沢という短い区間に押し込められてしまっていたが、かつては新潟まで足を伸ばしていた。臨時特急「ふるさと雷鳥」として、多客期のみ大阪~新潟の運転があった時期もある。
 下の写真は、平成20年春に、加賀温泉駅で見かけた「ふるさと雷鳥」である。

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 写真では分かりにくいかもしれないが、その姿には、向かいのホームで見ていた客も、絶句していた。
「走らせすぎやろう…」
 と呟く人もいた。側板は波打ち、塗装はいたるところでひび割れ剥げ落ちていた。わたしも、見ていて痛々しくなった。「ふるさと雷鳥」は、確かこのシーズンを最後に運転されなくなった。

 この頃、大阪や京都から山陰方面に向かう特急電車は、下のような塗色の車輌が多かった。 

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 これは大阪~天橋立間を走っていた特急「文殊」で、多分平成22年2月に篠山口で撮ったものだと思う。
 JR西日本の統一イメージに則った塗色だが、地味だし、あまりこの車輌に似合っていなかったこともあり、あまり人気はなかった。それで、国鉄特急色の車輌がその後増えていった。

 それで、「雷鳥」が引退した後も、大阪まで行けば、国鉄特急色の車輌を見ることも多くなった。

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 上の左側は、平成23年春、福知山線の特急「こうのとり」に使われていた振子電車である。急曲線を高速で通過できるように開発されたのが振子電車で、福知山線が電化された時にも、曲線の多い同線にぴったりの車輌として導入される構想があったと聞くが、国鉄の緊縮財政で見送られた。
 この写真の時に使われていたのは、新型車輌を入れるまでのショートリリーフのような投入で、紀勢本線で使い古した振子電車を回してきたものだ。地上設備が整備されていないので、当然振子機能は停止して運用されていた。
 右側もほぼ同時期の「こうのとり」だが、これは振子電車ではなく、電化当時から、古くは「雷鳥」などに使っていた車輌を改造して福知山線で正規の運用をされていたものだ。福知山線は、電化時期が遅かったのが仇となり、このように中古車輌が多くあてがわれてきた。気の毒な路線だ。
 いずれも新大阪駅での撮影である。

 下は、平成24年の1~2月に大阪駅で写したものである。やはり「こうのとり」に使われている。

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 見るだけでは面白くないので、先日(1月)に乗ってみることにした。
 京都から福知山へ向かうことにし、特急「きのさき」に乗った。これも振子電車である。
 先に述べた時期の振子電車は一旦臨時運用を終えていたが、再びこのタイプが入るようになった。先の「雷鳥」改造タイプの車輌が、いよいよ老朽化してきたので、新型車輌が揃うまで、振子電車がつなぎをするらしい。

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 これが福知山に着いた。福知山では、大阪と京都をそれぞれ起点とする特急が、相互接続して乗客の便を図っている。このため、けっこう長く停まることも多い。

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 向かいの上りホームにも、国鉄特急色が入ってきた。大阪行の「こうのとり」である。あちらは振子でないタイプだ。このタイプは、今月で引退してしまった。
 国鉄特急色が二本並ぶ、というのも最近はなかなか見られないことである。

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 と思っていたら、乗ってきた「きのさき」と接続する大阪からの下り「こうのとり」がホーム向かい側に到着して、なんと国鉄特急色三本並びとなった。こんなのも今のうちである。

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 さて、この日はその後天橋立から大阪に向かった。
 定期列車では、この区間に直通はないのだが、休日を中心に福知山折返しの「こうのとり」が天橋立まで臨時延長されていたのである。
 車輌はやはり振子タイプの電車で、下は天橋立で発車を待つ「こうのとり」である。

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 「こうのとり」というのは、豊岡にある施設で人工飼育や繁殖に取り組んできたことに因む愛称だから、福知山や天橋立に発着する列車には相応しくないのだが、いつも言うように、JRはそういうことにこだわらない。

 わたしはグリーン車に乗ったのだが、このグリーン車も改装されている。
 横三列シートでシートピッチも拡げられている。それはいいのだが、そうなると窓割りと席が合わなくなってくる。目の前が窓枠、という席がでてきかねないのだが、グリーン車でそれはさすがにまずいと思ったのか、不自然なまでにピッチが広い部分がある。前の席のレッグレストに足が届かないので、足置きをわざわざ設置している。

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 こういう、いろんな意味でつぎはぎだらけの国鉄特急色車輌だが、まだ踏ん張っている。次第に動態保存的な走らせ方が増えてきたが、今ならまだ乗れる。

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