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トワイライトエクスプレスの不祥事

 寝台列車の最高峰と目されるJR西日本の「トワイライトエクスプレス」(大阪~札幌)食堂車において、レジに入れるべき売上金を従業員が着服していた、ということが報じられた。 ㈱ジェイアール西日本フードサービスネットの彩図に謝罪の文章がある。

  http://www.jwfsn.com/twilight_exp_o.html

 大好きな「トワイライトエクスプレス」であり、お世話になった食堂車なので、なんとか弁護したいのだが、どう考えても弁護の論理が思い浮かばない。やはりこれはいけない。

 学生時代にアルバイトしていた乏しい経験で言うと、食堂車のクルーというのは、一定期間固定したメンバーで勤務するため、チームワークが非常によい。それは温かいサービスを提供するために必要なことであるが、不正の温床にもなりやすい、という危険も孕んでいるのだろう。
 食堂車という職場は、かなりの激務である。単に調理・配膳するだけでも大変なのに、それを揺れる列車内でするのである。まして「トワイライトエクスプレス」は夜行列車といっても午後の早い時間に出発するので、昼食(喫茶)~ディナー~パブタイム~朝食と四食のサービスをこなさねばならない。その他にも細々としたサービスがある。それを往復二晩続けて一行路だ。清算で損金が出ると、私金から弁済しないといけない。それで特別高い給金というわけでもないから、チーフが部下のことを思いやり、損金の埋め合わせをさせてやろう、という情をもっても不思議ではない。

 事情は分かるのだが、やはり手段がまずい。コーヒーがおかわり自由であるため、残量と売上とを照合できないのを利用して、サロンカーでの売り上げをレジでなくポケットに入れたわけである。あまり罪の意識もなかったのかも知れない。
 部下を思いやるなら、チーフが身銭を切って食事でも奢るとかすればよかったのである。それでは現金が入らないというなら、職員手作りの記念グッズなどを作り、車内で販売し、その売上を職員のものとするとか。これももちろん規則違反だが、そういうことを認めるよう会社と話をつけてもよいし、そうでなくても自分で汗をかいた物を売るなら、罪も軽い。コーヒーは会社が仕入れ、会社の器具を使い、会社が水道代や電気代を負担して沸かしたものである。その売上金を丸ごといただいたのでは、歴然たる窃盗と言わざるを得ない。

 わたしも「トワイライトエクスプレス」には何度も乗っているが、サロンカーでコーヒーを頼んだことはなかった。食堂車で食事した後、「コーヒーはサロンカーの方でお飲みになりませんか?」と誘導されたことはあるが、コーヒーの代金も含めてレジで払っているから、大丈夫だろう。

 懸念されるのは、せっかくのJR西日本の花形である「トワイライトエクスプレス」のイメージダウンである。食堂車はこの列車のまさに看板でもある。せっかく鉄道旅行の楽しさ、優雅さが定着してきたのに、客離れや、まさかとは思うが食堂車の営業中止などにつながらないよう、切に願っている。
 関係した職員は乗務させていない、ということだが、では誰が乗務しているのだ。現場経験のある管理職だろうか。ウェイターはまだしも、コックの代わりがそう簡単に手当てできるとは思えない。あるいは、コックは調理場の中にいるから不正には手をそめていないのだろうか。

(平成17年12月執筆)

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