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しまなみ海道のバス

 明石(あかし)海峡~鳴門(なると)のルートや瀬戸(せと)大橋は何度も通ったのだが、しまなみ海道だけは一度も通ったことがなかった。瀬戸大橋は鉄道併用橋だから、鉄道旅行をしていれば自然に通る。そして、関西、殊に神戸で過ごした時期も長いから、四国の特に東部への行き来は自然に大鳴門橋を渡ることになる。
 しまなみ海道にだけ縁が薄かったのである。

 ここを通るバスにずっと乗ってみたいと思っていながら機会がなかった。この夏、やっと福山(ふくやま)から松山までの「キララエクスプレス」に乗ることができた。

 事前予約も受け付けているが、まあなんとかなるだろう、と福山駅に降り立った。
 高速バスの待合所の中に券売機があり、ここで便と座席を指定した乗車券を手にした。指定された席は「06席」とあるが、普通に考えると、これは通路側の席だろう。結構込んでいるんだな、と少々落胆しながらバスを待つが、発車時刻が近づいても、それほど多くの人は集まってこない。十数人というところだ。途中の停留所から乗る人が多いのかもしれない。

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 本四バスの車輌が到着し、運転手さんが降りてくる。
「ご予約の方からどうぞ」
 というが、わたしが「ご予約の方」に当てはまるのかどうか、分からない。座席の指定まで受けているのだから該当するのだろう、とこの切符を見せると、
「お名前は」
 と訊かれる。券売機で買ったのだから、名前など登録していない。切符を見せると、
「今買われたんですね。ちょっと待っててください」
 と言われ、コンビニなどで発券したクーポンを持っている人が、優先されて改札を受けている。次にわたしのようなのが乗り込み、最後に飛び込み客、という順である。
 しかし、乗り込んでも座席番号などどこにも書いていない。どこが06番が分からないから坐りようがない。わたしは前扉まで戻り、運転手さんに質すと、
「座席は自由です。お好きな所へどうぞ」
 と言う。ならなんで座席を指定した切符を発行するのか。よく分からないが、運転席直後の席がなぜかまだ空いているので、そこに席を占めた。

 福山駅前を発車したバスは、目的地に背を向けて、東に向かう。インターチェンジの位置の関係のようだが、山陽自動車道に乗るまでに、市街で何カ所かで客扱する。あまり乗る客はいなかったが、一般道最後の停留所である広尾(ひろお)では数人が乗車した。待合所もある所で、路線バスとの乗継ぎ地点になっているのだろうか。
 福山東インターから山陽自動車道に入り、西に向かう。「はかた」号が給油した福山サービスエリアを横目に走り、次の福山西インターで、早くも高速を下りる。それなら、一般道を走って来てもよかったのではないかと思うが、市街東部の各停留所に停まることも意味があるのだろうか。そこからは国道2号のバイパスに入って、新尾道(しんおのみち)駅に向かう。
 もともとしまなみ海道は「尾道・今治ルート」と呼ばれていたくらいで、本四連絡のバスとしては、この新尾道駅が本来の起点と言ってもいいくらいだろう。ここでも数人が乗り、二十人くらいの乗りになった。

 バイパスを戻り、西瀬戸自動車道に入る。ここからがいわゆるしまなみ海道となる。一般道の尾道大橋と並行して新尾道大橋が架けられており、向島(むかいしま)へ渡る。向島には向東(むかいひがし)・向島の二つの停留所があるが、ここからもそれぞれ一人が乗る。道路は対面通行の片側一車線となり、交通量は少ない。
 因島(いんのしま)に渡ってみても、島内二つの停留所でそれぞれ乗車がある。次の生口島(いくちじま)も同様だが、まず停まる瀬戸田(せとだ)バスストップは、本来瀬戸田と呼ばれる町や港とは反対側にある。しかし、瀬戸田といえば生口島のこと、として定着しているためにそういう命名になったのだろう。実際生口島全体の大字が瀬戸田と一応なっている。島をさらに進んだ南端の停留所も、やはり瀬戸田パーキングエリアという名である。高速バスは大概、乗車エリアと降車エリアが劃然と分かれているものだが、生口島の二停留所に関しては、乗降ともに可、となっている。
 瀬戸田パーキングエリアでは、
「多々羅(たたら)大橋を歩いてお渡りになる方は、こちらでお降りください」
 とのアナウンスが入った。各橋を徒歩でも自転車でも渡れる、というのが、他の二ルートにはないしまなみ海道の魅力だ。多々羅大橋が、広島・愛媛両県の境となる。

 その先の大三島(おおみしま)・伯方島(はかたじま)には停まらない。別系統のバスが担当するのだろう。既に今治(いまばり)市内となる大島(おおしま)に停まると、しまなみ海道最長の橋となる来島(くるしま)海峡大橋となる。三つの吊橋から成り、かなりの高度から海峡を見下ろすことができる。もっとも、乗り慣れた人が多いのか、カーテンを引いたままの人が多い。

 来島海峡に突起のように出っ張った半島に渡り、いよいよ四国である。しまなみ海道の終点である今治インターで下りるが、意外にも国道196号を西進する。
 わたしは、てっきり内陸部の松山自動車道に乗るのだと思っていたのだが、こちらでは一般道で松山に向かうらしい。途中北条(ほうじょう)に停まる都合もあるのだろう。おかげで、瀬戸内海の青を右窓に堪能しながら進むことができる。左側には予讃線が並行しており、二輌編成の普通電車が追い越していく。
 北条からは松山北条バイパスと呼ばれるしっかりした道路にはいり、松山市街に向かう。バイパス沿いは、広い駐車場のある飲食店やら電器店やら、典型的な郊外の様相を見せる。やがてバイパスから逸れて松山駅前に至った。

 市内電車の姿が見えはじめると、やはりそれに乗ってみたくなる。バスの終点は伊予鉄の松山市駅前だが、わたしはJR松山駅で降りて、電車に乗り換えることにした。 
 

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(平成25年8月乗車)

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