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可部線廃線跡かつ新線予定地

 広島県のJR可部(かべ)線は、広島の次の横川(よこがわ)という駅から分岐して可部まで14.0キロを運行している短い支線である。可部は広島市内ではあるが、郊外の副都心としてまとまった街をなしている。
 かつての可部線は、この先にも伸びていた。蛇行する太田川を忠実に三段峡(さんだんきょう)まで遡っていたのである。しかし、可部から先は閑散路線であったために廃止が取り沙汰されるようになり、平成15年に廃止された。廃止区間は46.2キロにも及んでいた。

 しかし、廃止区間のうち付け根のだいたい一駅分は、可部市街の中であり、人口密度も低くはない。それで、いろんな曲折はあったが、復活することが決まった。一旦廃止されたJRの路線が復活するというのは、初めてのケースである。
 興味深いので、現地がどんな具合なのか、見に行ってみた。

 まず、広島から可部線の電車に乗って、終点可部に着いた。JR西日本は味気なくも、車輌の塗装を一色で済ませてしまおう、という方針をとっている。その方が経費節減になるというのは分かるが、世知辛い。車輌は鉄道の顔ではないか。
 それはともかく、広島付近の電車は黄色に塗られるようになった。

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 可部駅のホームの付け根に改札があるが、線路は行き止まりではなく、奥へ伸びている。これが、かつて先まで路線が伸びていた名残である。だから、駅舎から駅前広場には踏切を渡らないと出られない。が、この踏切には営業列車は通らない。
 

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 廃止区間に向かう線路が存置されているのは、廃止当初から件の区間の復活話がくすぶっていたからでもある。
 路線が長かった頃の可部線は、この可部までだけが電化されていて広島の郊外電車だったが、ここから先は非電化でディーゼルカーがとことこと走る純然たるローカル線であった。
 それでも、前述のように、可部の次の河戸(こうど)駅付近までは家が建て込んでいて利用が見込めるため、河戸までを電化して残してほしい、という運動は、部分廃止のずいぶん前から続いていた。廃止されてしまったら、夢が絶たれたと考えるのが普通のところ、運動は続けられた。
 結局、広島市が線路や駅を整備し、JRが運行を担当するかたちで、平成27年度に復活することがほぼ決まったのであった。

 さて、わたしがこの河戸まで行こうとしてまずとまどったのは、河戸という停留所を通るバス、つまり廃止区間の代替となるバスが、一日数本しかなかったことである。鉄道を復活しようとしているにしては、需要が少ないようにも思う。
 可部からのバスに僅か五分ほど乗って、降り立ってみると、河戸は狭い丁字路の片側にのみポールが立つわびしい停留所であった。
 

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 車線が分かれていないバス道の南側を並行して線路が走っていた。踏切跡に行ってみると、河戸駅のホーム跡がそのまま残されている。駅の両側に踏切はあり、線路をまたいだ行き来も盛んだったようだ。

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 実際に再延伸されるのは、この旧河戸駅までではなく、もう少し先の亀山団地付近までで、そこに新たに駅を造るのだという。なるほど、バスが行った方角を見ると、マンションなどが建ち並ぶのが見える。
 そしてその新駅と可部駅との中間に、もう一つ駅を設置する計画だという。となると、復活してもこの旧河戸駅ホームが使われるわけではないようだ。

 ここから、バス道を歩いて可部駅の方に戻っていく。
 道沿いの店の駐車場がそのまま線路跡に続いているような箇所もある。
 

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 国道54号のガードをくぐる箇所では、線路跡を跨いで通ることもできる。自然発生的な踏切として地元の人の通路になっている。
 

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 とまあ、こうやってぶらぶら歩くうち、十五分もかからずに可部駅付近に出た。

 想像していたよりかなりあっけない。果たしてこの程度の距離を、わざわざ復活させる必要があるのか、という疑問は禁じ得ないが、地元が費用を引き受け、JRが承諾している以上、余所者のわたしがとやかく言うことではない。何であっても、線路が増えることは喜ばしい。
 なお、「復活」といっても、書類手続上は、路線が一旦廃止されて影も形もなくなった所に、改めて「新線」を建設するというかたちになる。だから、廃止前のこの区間にわたしは乗ったことがあるのだが、それとは関係なく、開業すれば改めて乗りに来ないと、完乗タイトルが維持できないことになる。
 二年後の再訪を愉しみにしたい。

(平成25年8月訪問)

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