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広電1150形(元神戸市電)と電車のレストラン

 広島に来たときは、事情が許す限り、平日朝広島駅前の電停に暫く立つことにしている。そういう時間帯しか動かないような古い電車が見られるかも知れないからだ。
 一番の目あては元神戸市電の570形と1150形であるが、各一輌しかないので、出会う確率は低い。何にしろ旧型なので予備車のようなもので、車庫で寝ていることの方が多いようだし、動いていたとしても、広島駅前に入らない系統で運用されているかもしれない。広電の運用は車種を固定はしていないので、どの系統に入るかの予測は難しい。あてどなく立ち尽くして待つしかないのだ。
 前回来た時は、570形に辛うじて乗れたが、1150形は見かけなかった。できれば今回、神戸市電の最後にして最高峰の車輌とも言われた1150形に乗りたいのだが。

 元西鉄の電車が来た。連接車に挟まれて折返している。 

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 でも神戸のは来ない。
 元大阪市電と元京都市電が並んだ。

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 でも神戸のは来ない。
 出発線に電車が輻輳して、入ってくる電車が見えにくくなってきた。その時。 

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 あれっ? 向こう側に見えかけてるのは…? 

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 おお! これが元神戸市電の1150形である! 5号線だが「宇品(うじな)二丁目」の行先を出しているので、途中止りで入庫するのだろう。まさに朝ラッシュ限定運用に入ったわけだ。
 早速5号線の乗場に急ぐ。途中まででもいいから、乗ろう。これを逃せば今度いつ会えることやら。

 さっきと反対側の顔を撮り、列の後ろに並ぶ。入口扉脇には神戸生まれであることを示す銘板がある。
 ロマンスカー以降確立された、いわゆるヨーロピアンスタイルである神戸市電の標準デザイン、滑らかな曲線が縁取り窓を大きくとった流麗な車体を誇るのだが、そのスタイルの現役車輌は、今やこの一輌だけである。もう一輌の570形はそのデザインが定着する前の車輌だから、ちょっと見た目が異なる。
 惜しいかなこの電車は、広島と姉妹都市提携を結ぶハノーバーのPR塗装になっている。これを神戸市電カラーにしてくれたら、色形ともに神戸市電のよき時代を伝えることができるのだが。570形は神戸市電カラーで走っているのだし。
 しかし、贅沢を言うべきではなかろう。この車輌を廃車せずに使ってくれているだけでも、広島電鉄に感謝しなければならない。

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 5号線の沿線には学校が多いので、朝は学生で混雑している。最初は坐れなかったが、だんだん空いてきた。
 最後部の座席に坐ると、運転台がよく見える。車内の佇まいなどもスマホに収める。神戸市電、という眼で見ると、カードリーダーなどが似つかわしくない。

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 名残惜しいが、宇品二丁目で追い出される。電車は少し進んだ所で折返す。こういう比較的狭い道で路上折返しをする姿は、いかにも路面電車という感じがする。それを1150形で見られるのだから、途中止りも塞翁が馬ではある。交通量がさほどでない区間だからできるのだろう。この5号線は区間便だが、昼間の3号線もここで折返している。
 まず、南行軌道を少し進んで停まる(写真下の左)。そして運転士さんが手前の運転台に移ってきて、渡り線で北行軌道に渡る(写真中)。回送となって宇品二丁目を通過、千田町(せんだちょう)の車庫に向かう(写真右)

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 1150形が見えなくなるまで見送った後、わたしは後続の電車で広島港まで行き、発着する船や電車を眺めて時間を潰した。そして昼前になると、また電車に乗って広電(ひろでん)本社前までやってきた。実は、1150形は前座で、ここに来るのが今日の主目的である。

 下の写真は、広電の本社ビル(左の建物)側から南東方向を見たところである。お分かりだろうか。向かいのスーパーに巻きつくようにして電車が停まっているのが。

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 反対側から本社ビルを望むと、下の左の写真のようになる。右は、この電車から奥にある車庫を遠望したところだ。

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 この黒っぽい電車は、広電が経営する「トランヴェール・エクスプレス」という電車を使ったレストランなのである。これが開店したと聞いたのが、今回広島に来た一つの理由である。
 建物の側にある「ビストロ・トランヴェール」という店が本体で、電車はその別棟という扱いのようだ。電車の入口に立つと、「ビストロ…」から係員が出てきて、席に案内してくれる。料理も「ビストロ…」で調理したのが運ばれてくるようだ。

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 この電車は、広電がドイツのドルトムント市の路面電車車輌を購入したもので、実際に営業運転していた。やはり外国製の電車は何かと扱いにくいのか、だんだん使われなくなり、ついに廃車となったが、その車体をこうして別の商売に活用しているのだ。
 だから、車内には、食堂の建物としての飾りつけや表示、広島電鉄としての掲示、ドイツ時代の掲示、といろいろ入り乱れている。内装は、かなり手を入れて、欧風に加え高級感を演出している。一番奥には、会議や宴会にも利用できる個室まである。

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 これだけ綺麗にしてもらったら、ぜひ走ってほしいと思うのだが、残念ながらレールは本線とつながっていないし、鉄道車輌としては既に籍がない。

 テーブルから外を見ると、現役の電車が次々走っていく。
 メニューを渡された。昼の献立は限られている。わたしは、パスタランチを選んだ。

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 パスタもパンも、適度な量でランチとしては十分である。味もよかったし、もちろん居心地も抜群だ。

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 いつか夜のパブ営業にも来てみたい。
 が、予約がなかなか取れないのだという。

(平成24年9月乗車・訪問)

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