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東京駅構内の大駅弁店

 既にいろんな所で話題になり、報道もされているが、東京駅改札内に、日本最大の駅弁売場が誕生している。
 もっとも、それでは日本第二位、すなわちそれまで最大だった駅弁売場はどこか、と訊かれても、誰も答えられない。要するに、駅弁など小さなスタンドで売るのが当たり前であって、「大規模」にしよう、という発想そのものがなかったのである。

 こういう面白いのはほっとけないし、東京駅だからこそできることだ。覗かずにはいられない。昨年の夏、上京した折に立ち寄ってみた。

 ホームの下を横切る広い通路の一画に、この駅弁店「祭」があった。こういう店が開店すると、これができる前は何の店だったっけ、といつも考える。のだが、いつも思い出せない。
 多くの人が店内にいて、見て回るのも大儀だ。

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 何にしろ、ここには全国の駅弁が集まっているのである。デパートの駅弁大会のようだが、ここはこれが常態なのである。
 デパートだと、各地の駅弁業者が出張ってきて各ブースで駅弁を製造直売するのが普通だ。しかしここでは、その場で調整している弁当はごく一部で、ほとんどは現地から運び込まれたものである。弁当のような保存の利かない商品がこのように集められるのは、新幹線を初めとする高速列車網が全国にいきわたった恩恵である。あまり距離が遠いものは飛行機で運んでるのかもしれないが。

 まさに目移りばかりするが、わたしは、当面行きそうにない地方から選ぶことにし、夕食用と夜食用とを物色する。
 しかし、陳列は地方別ではなくジャンル別、つまり、海鮮ものなら海鮮もの、サンドイッチならサンドイッチばかり、ばらばらの地方から集めたのがまとめて置いてある。ちょっと見ただけではどこの駅弁か分からないものも多い。それだけに探索が愉しい。

 店を三度くらい周回した末、わたしは鳥取の「カレーメンチカツサンド」と高松の「讃岐でんぶく ふぐ弁当」を選んだ。どちらも聞いたことのない駅弁である。

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 ホテルに持って帰り、開けてみる。まず、「カレーメンチカツサンド」からである。
 まい泉のカツサンドに代表される、シンプルな味付けのカツサンドが流行りだが、カレーメンチカツとは、そのバリエーションとしてもユニークだ。
 これは、大方のカツサンド同様、いわゆる「空弁」として有名になったらしい。なんでカレーか、というと、鳥取県はカレーの消費量が日本一なのだという。それも知らなかった。

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 普通の豚カツとは違い、ミンチなのでさっくり噛み切れて食べやすい。マヨネーズでぎとぎとしていないのもいい。カレーのルーが挟まれているというわけではなく、カレー風味のソースが塗ってあるだけなので、刺戟が強すぎず、すっと喉を通る。
 そして忘れてはいけないのがパンの味である。具にいくら手をかけても、それに負けるパンでは、全体の仕上がりが台無しになるところだが、さすがにきめが細かい、香りのいいパンが使われている。

 次に、「讃岐でんぶく ふぐ弁当」の方である。
 讃岐といえばうどんという印象が強すぎるが、瀬戸内海に面した県だから、当然いい魚が揚がる。ふぐも隠れた名産なのだという。
 そのふぐが、形をこれでもかと様々に変えて、小さな輪っぱの中に散りばめられている。わたしはやはり、ご飯に載った唐揚げが気に入った。最も美味しい唐揚げはふぐ、ふぐの最も美味しい食べ方は唐揚げ、と思っているので、駅弁で気軽に口にできるのは嬉しい。

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 炊き込みご飯の量は多くなく、おかずは魚と野菜が大半なので、胃に重くもなく、若いうちだと物足らないと思っただろうが、今なら十分だ。

 たまたま買った二つの駅弁は大当たりだった。全商品を制覇することなど考えていないし、毎日東京駅を通って通勤する人でもなければそんなことは無理だろう。しかも、半月ぐらいごとに、商品は入れ換えるという。
 しかし、それはまた、いつ行っても未知の駅弁が待っているということでもある。出かけるのが億劫な人にも、舌の旅ができる店である。

(平成24年8月訪問)

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