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「スーパービュー踊り子」の準食堂車

 わが国では、食堂車という存在はまことに稀少になってしまった。本来の意味での食堂車は北海道方面の寝台列車にしか残っていない。
 だから、列車に乗りながら飲み食いするのが大好きな乗り鉄としては慢性的な欲求不満があるのだが、それゆえに、「本来」でなくても食堂車に類するものがあると聞けば、利用してみたくなる。

 その一つが、東京と伊豆とを結ぶ特急「スーパービュー踊り子」のラウンジである。上り下りそれぞれに乗る機会があった(写真下は、品川駅に入線してきた下り「スーパービュー踊り子」)

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 下りでは1号車、上りでは2号車に乗る。いずれもダブルデッカーのグリーン車であり、号車を乗り分けたのは、それぞれ一人席が進行方向右側にくる席を選んだ結果である(写真下は2号車の一人席)。「スーパービュー踊り子」グリーン車は、JR東日本にしては珍しく、横三列のゆったりしたシートになっている。横四列ではグリーン料金を払う気がしないが、これなら値打ちだ。

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 乗り込むときは、ドアの所に客室乗務員が立ち、一人ずつ切符をチェックする。これがあるから車内での検札はない。またそのために、一部の扉(窓のある扉)しか開かない。終着駅での下車時や、間合いで通勤ライナーに使用するときなどは、すべての扉が開くようで、その旨案内がある(写真下の左は車内側から撮った窓のない扉の案内。中は終着駅で開いた窓のない扉。右は窓のある扉)
 

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 さて、グリーン車の階下は、2号車がグループ用のコンパートメント、そして1号車が問題のラウンジとなっている。
 席に着き、発車すると、すぐに客室乗務員がおしぼりを配りがてらウェルカムドリンクの注文をとりに来る。オレンジジュース、ホットコーヒー、お茶などから選べ、もちろん無料である。ほどなくそれが届く。
 ウェルカムドリンクをいただくのもそこそこに、階下のラウンジに行ってみる。一輌の半分くらいしかないし、1階なので見晴らしはきかないが、こういうスペースを設けてくれているだけでもありがたい。グリーン車のシートだから坐っていてもそれほど疲れないし、乗車時間もそれほど長くない。とはいえ、ちょっと気分を換えることができるのは、いい(写真下はいずれもラウンジ内の様子)

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 ソファには肘掛けを拡大したような感じのちょっとしたテーブルがあり、紙ナプキンなども置いてあるので、ここだけ見ると、いかにも食堂車という気がする。
 ビールのポスターもある。ここで注文すると、グラスに注いでくれるのだろう。カウンターは、車内販売やサービスの基地となっていて、客室乗務員が絶えず出入りするので、あまり落ち着かない。そのせいか、それほど長居する客はいないようだ。

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 メニューは、ほぼ車内販売と共通なのだが、わずかにラウンジ独自の食事メニューもある。その最たるものがビーフカレーである。食堂車らしさを味わえる、温かいものだ。もとよりレトルトを温めているのだろうが、贅沢は言えない。下りではこれを注文した。
 味はとびきり美味しくもなくさりとて不味くもなく、無難なものだったと思う。何よりも走る列車の中でこういうものが食べられるだけで楽しい。

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 上りでは、サンドイッチを頼んでみた。これもラウンジではちゃんと皿に盛りつけてくれる、と聞いていたからである。すると、サンドイッチにはカツサンドと普通のハムとチーズのサンドイッチがある、と言う。おやつのつもりなのでカツはちょっと重たく、後者を所望した。
 併せてアイスコーヒーを注文しようとすると、
「ホットでしたらウェルカムドリンク扱いで無料になりますが」
 と言う。ウェルカムドリンクはおかわり自由だったのである。せっかくなので、そうしてもらう。
 ほどなく運ばれたのは、期待に反して箱入りのままのサンドイッチであった。

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 箱のまま、とは言っても、コンビニなどのような透明プラスチックではなく、イラスト入りの紙箱なので、それなりに雰囲気はある。
 「普通の」サンドイッチ、とのことだったが、味は普通よりかなりよかった。ハムが四切れ、チーズが二切れ、それらの具とバター・マヨネーズ以外に何も入っておらず、またパンも質が高い。上品なサンドイッチだ。

 満足して席に戻ろうとすると、デッキにカウンターがあった。ここが客室乗務員の定位置のようだ。もっとも、二輌に二人という贅沢な配置にもかかわらず、客室乗務員は何かと忙しく、ここにいることはあまりなかったようである。

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 停車駅が近づくと、このデッキに客室乗務員がスタンバイする。降客を見送り、鄭重に礼を言うばかりか、ゴミまで引き取ってくれる。

 このラウンジは、あくまでグリーン車専用のものである。この列車ではグリーン車と普通車の間は通り抜けができず、扉では客室乗務員のチェックがあるから、グリーン客が完全に隔離されている。その意味でも一般的な食堂車とは遠く、むしろホテルのエグゼクティブラウンジに近い性質なのだが、対象人数を限っているからこそ、このサービスが維持できるのだろう。
 リゾート列車ならではのラウンジサービスを、いつまでも続けてほしいものだ。

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(平成23年9月・24年3月乗車・利用)

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