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札幌市交通資料館と新低床車

 初秋の北海道旅行で、札幌市交通資料館に立ち寄った。

 ここは、知る人ぞ知るという施設なので、わたしも何度も北海道、そして札幌に来ていながらこれまで訪れなかったのは迂闊だったが、意外に展示内容が充実しているのだという。

 地下鉄南北線の自衛隊前で降り、改札口を出たが、左右どちらの出口から行けばいいのか、よく分からない。
 何となく高架に沿った道を歩いて行くと、フェンスが開いた所があり、そこから入ればいいらしい。どうにも素朴な施設である。

 砂利道を歩いていくと、高架下に無造作にバスなどが置かれている。

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 年代順に並んでいるというわけではなさそうだが、説明板が掲げられていて、バスのドアが開いているので、車内を勝手に見ていいらしい。

 下左の写真が比較的新しいタイプのバス、右はボンネットバスの車内である。ボンネットバスの床面はデッドスペースが多いようで、これは現代のノンステップバスに通じるものがある。

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 バスのエリアからさらに進むと、玄関口があった。
 この中に、模型や各種物品が展示されていて、係員も詰めているが、大した規模ではない。
 

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 地下鉄や市電の車輌も展示されていると聞いたのだが、見あたらない。どうしたことか、と外に出てみてあたりを見回すと、さらに先の方の高架下、一般道路を渡った先に、それらしき影がちらりと見えている。
 ずいぶん細長い敷地で、全長だけでいえば、大阪・弁天町の交通科学博物館に匹敵するかもしれない。

 地下鉄のゾーンに辿り着いた。
 札幌の地下鉄が独特のゴムタイヤ式であることは知られているが、何のために敢えてこういう特殊な方式にしたのかは、わたしもよく知らない。急坂を登攀できたり加減速機能を高めたりすることはできるが、札幌で特にそれが必要とも思えない。雪害を防ぐため地上区間も線路をドームで覆っているが、これも通常の鉄軌道でもできることである。

 ともあれ、下左は昭和46年開業当時の車輌である。特徴ある車輌なので、写真でよく見た覚えがある。曲面となったフロントガラスと大きな窓は、市電とも共通する札幌スタイルと言えるだろう。
 右は、「すずかけ」と呼ばれる試作車である。新たな方式だけにいろいろと試験をくり返したのだろう。鉄道車輌には見えない。トレーラートラックのような武骨さである。こんな実験をしてまでゴムタイヤに拘ったらしい。

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 市電のゾーンに進む。
 まず、下左の写真は、札幌市電らしい「ささら電車」、すなわち除雪車である。
 右は、大正7年、札幌市電が発足したときの車輌で、10形と呼ばれる。まだ、後の札幌市電スタイルにつながるような形状はない。
 

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 札幌市電の一つの特徴だった「連結車」も展示されている。
 写真下の左は、連結運転用のトレーラー、つまりモーターが付いておらず自走できない車輌である。ラッシュ時のみモーターの付いた電車と連結され、引かれるか押されるかして大量輸送に貢献したわけだが、連結や解放の手間が嫌われ、試作車だけに終わった。その車がこれである。
 写真中は、代わって登場したタイプで、A800形と呼ばれている。これは連結した状態が作りつけになっていて、車輌の継ぎ目に台車を配している。こういう構造の車輌は、一般には連接車と呼ばれるのだが、札幌市電では同じく「連結車」と表示された。
 写真右は、その車内である。車掌台が意外に広く、ちょっとしたカウンターのようなものまで設えられている。あまり他で見ないつくりである。

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 そして、写真下は、これまたユニークな存在である「路面ディーゼルカー」である。
 昭和三十年台、急速に発展する市街に追随するため、路線の延伸を急いだ札幌市電は、非電化で路線を開業し、そこにディーゼルカーを走らせて急場を凌いだのである。こんなやり方は他都市にはみられなかったし、従ってこの路面ディーゼルカーも、札幌独自の車輌なのである。
 ここに展示されているのは、ディーゼルカーのなかでも最も新しい型である。やがて電化工事が完成すると、ディーゼルカーも電装改造を受けて電車に生まれ変わったりしたが、その頃には既に路線縮小の計画も取り沙汰されるようになっていて、この車輌は改造されることなく、実働わずか七年で廃車となった。ゆえに、そんなに傷んでいない。
 車体デザインは、窓が大きく曲線を強調した札幌スタイルの、一つの完成形である。
 

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 この他、市電の全盛期を支えた当時の主力車輌も保存されている。
 

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 いろいろな車輌を面白く見学できた。わたしはフェンスの切れ目から一般道路に出て地下鉄の高架の下を抜け、反対側に出た。来た時と異なるルートで自衛隊前駅に戻った。
 一路線だけ残った現役の市電も見ておきたいので、地下鉄で都心のすすきのまで行く。市電の一方の起点がすすきのなのである。

 札幌市電にも最近になって超低床電車が登場した。他都市のものと同様、低床構造とした都合で、連接車となった。資料館で見たような連接車は、市電の利用客減少と路線縮小に伴い、昭和51年に使われなくなっていた。それ以来の復活である。連接車を示す「A」が 久々に形式番号に付き、A1200形というのが正式な形式名だが、一般には「ポラリス」という愛称で親しまれている。
 下は、東屯田通で待ち受けているところに接近してきたポラリスである。
 
 
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 しかし、東屯田通あたりは郊外に属し、住宅街といっていい。ちょっとこういう最新の低床電車が場違いな感じもする。
 終点の西4丁目で改めて眺めてみると、やはり都心のビル街にこそこの電車が似合っていると思う。

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(平成26年9月訪問・乗車)

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