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竹田城跡訪問~ 「天空バス」と「はまかぜ」など

INDEX
1.はじめに
2.竹田
(たけだ)駅まで
3.「天空バス」で山へ
4.城に登る
5.「天空バス」もう一周して駅に戻る
6.「はまかぜ」で帰路


1.はじめに

 竹田城を初めて訪れたのは、「誰かと乗った播但(ばんたん)線」の記事に記したように、中学校の部活で行った実地踏査の時であった。 それからも、播但線に乗るたびに懐かしく山上の石垣を眺めた。
 知る人ぞ知る山城で、観光地というほどでもなかった。そう思っていたのだが、ここ数年、アニメに出てくる城になぞらえ「天空の城」、あるいは、日本のマチュピチュなどとも呼ばれて、急激に注目を集めているのだ、という報道が目に入り、驚かされた。

 昨年からは、休日に城まで登るバスが運行され、竹田駅に特急が臨時停車する、という勢いになっている。想像もつかなかった竹田城の急成長ぶりを確かめに、再訪する気になった。9月の休日に出かけてみた。
 
 

2.竹田駅まで

 往時は地平の駅だった姫路(ひめじ)も、高架になった。その北端、すなわち姫路城寄りのホームから播但線に乗る。「城」という概念もかなり広汎なもので、姫路と竹田とではまるで異なる。
 播但線を走る列車も変わった。旧型客車やディーゼルカーが幅を利かせていたのが、途中の寺前までは電化されて電車になっている。
 大阪近郊の通勤輸送に使われていたおなじみの形式の電車だが、僅か2輌の短い編成で、ワンマンカーとなっている。そして、生野(いくの)銀山に因み、「銀の馬車道」と記されたラッピングが施されている。派手すぎず、いい感じである(写真左は姫路駅で発車待ちの電車。右は寺前駅に到着した電車)

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 寺前(てらまえ)駅のホームには段差があって、スロープで行き来できるようになっている。ここは電化区間の終点なので、電車とディーゼルカーを乗継ぐ駅であり、電車の方が床が高いのである。もっとも、必ずしも高い側に電車、低い側にディーゼルカーが入る、というわけでもないようだ。

 和田山(わだやま)行のディーゼルカーに乗換え、生野の峠を越える。但馬の国に移って、円山川(まるやまがわ)沿いを日本海に向けて下る。
 青倉(あおくら)を過ぎると、左前方の山に城の石垣が見えてくる(写真左)。一旦はその山の麓を回るので見えにくくなるが、竹田の町に入ると、違う角度から見上げられる(写真右)
 

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 竹田駅に近づくと、席の半分くらいを埋めていた客の、そのまた半分くらいが立ち上がった。 いかにも山登りという出で立ちの人も多い。若い女性もいるのは意外だし、何より普通列車でもこれだけの観光客を運んで来るのか、と認識を新たにする。どうも何もなかった昔の竹田城を思い描いていたらだめなようだ。
 ホームにも看板が掲げられ、特急停車に対応して足元にペインティングもなされている。

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 小さな駅舎には、観光案内所が入っていて、地元のボランティアらしいおばさんが三人ほど、客に応対している。パンフレットを配布したり、城へ行く方法を指南したりしている。わたしも「天空バス」のことをいろいろと訊いた。駅前では臨時の弁当販売も行われている。
 駅は手狭なので、バスは入ってこられない。前の四つ角を左に折れた所に、観光客向けの臨時運行を行っている「天空バス」の乗場がある。

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3.「天空バス」で山へ

 発車時刻が近づくと、案内の女性係員がバス停にやってきたが、名札を見ると、JRの職員である。地元の全但バスが運行する「天空バス」だが、運転日は特急臨時停車の日に合わせているし、一連の観光客対応のとりくみは、JR主導なのだろうか。

 到着したバスは、各地のコミュニティバスなどでよく使われている小型の車輌であった。山道や街中は、こういう車輌でないと走れないのだろう。
 

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 「天空バス」は、竹田駅・「山城の郷」・竹田城跡・まちなか駐車場を巡る一方循環で運行されている。
 座席がちょうど塞がった程度で竹田駅前を出て、狭い道を北に向かう。文字通りの城「下」町であり、また宿場でもあった竹田の街並みは、それ自体見歩く価値のあるものだが、とにかくわたしを含めた乗客の意識は、とりあえず城である。
 町を外れると、西側の山に向かう。途中、播但連絡道路をくぐるが、この道路の高架は、欧州の古い鉄道橋を思わせるようなアーチの連続になっている。竹田城を意識したデザインなのかどうかはよく分からないが、ちょっと珍しい景観である。
 

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 バスは、竹田城の玄関口として設けられている拠点・休憩施設である「山城の郷」に向かって坂道を昇っていく。が、この道路が大渋滞している。この先の駐車場に入る順番待ちのクルマ群である。バスもその列の後ろにつく。竹田城で渋滞が起きることも驚きだが、これではバスの定時運行も難しいだろう。
 そう思ったら、警備員さんが近づいて来て、運転手さんと二言三言交わすと、バスはクルマの列を追い抜きながら昇りはじめた。対向車を止めたのを確認し、バスを優先して通すのである。こういう措置に抵抗がないまでの世間になったことは、ひとまずめでたい。

 わたしはとりあえず「山城の郷」で下車する。降りる時に運転手さんに一日乗車券を所望すると、二つ折りの切符の日付部分を削ったうえで渡してくれた。
 「山城の郷」から、今昇ってきた道を見下ろすと、相変わらずクルマが連なっている。
 

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 「山城の郷」には、飲食店や土産物屋、それに資料の展示室なども設けられている。トイレもあるが、使用時間が通常の観光地とは異なる。早朝から使えるのは、城が雲海の中に浮かび上がる日の出前後に城へ登る客が多いからである。

 わたしは、レストランで早めの昼食をとることにした。

 「山城の郷」のレストランは、明るい窓から陽が差し込み、木製のテーブルとカウンター席の坐り心地もよい。団体やグループ向けの座敷もあって、意外に収容人員が多い。
 早速メニューを広げる。

 牛・豚・鶏と三種の肉が、それぞれ地元産のもので料理に仕立てられている。畜産が盛んな但馬らしい。
 但馬牛は以前道の駅で食べたし、但馬鶏の唐揚げは寝台特急「トワイライトエクスプレス」の中で酒のつまみにした。それで今回は、八鹿(ようか)豚のとんかつ定食にした。柔らかく癖のない肉で、なかなか美味しかった。
 

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 再び「天空バス」に乗って城跡に向かうことにするが、昼近くなって、京阪神からクルマや特急列車で到着する客が増えてきたようである。この山城の郷で「天空バス」を待つ人も多い。竹田駅から上がってきたバスは満席である。
 全但バスの係員が、「この後にもう一台来ます」と案内してくれる。バスを大型化できないので、続行運転で客を捌いているようである。
 続行のバスはこの山城の郷始発だが、それでも坐ることはできなかった。

 下車した竹田城跡の停留所は、中腹の第二駐車場に設けられている。ここから上は、徒歩でしか登れない。登り口には杖も用意されている。

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4.城に登る

 一列になって、下りてくる人と譲り合いながら、狭くて険しい山道を登っていく。前の人について行くしかないので、自分のペースは守れない。曲がり角で列を避けて一休みする年輩の夫婦などもいる。二十分弱、黙々と昇り続けて、ようやく城に到達する。駐車場から上は、極力手を加えず、元のままの姿を残している。
 城跡で見た機械文明の所産は、このAEDくらいである。場違いな感じだが、あれだけ急峻な山道だから、体調を崩す人もいるかもしれず、妥当な配置である。
 

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 山頂に拡がる城跡だから、どっちを向いても眺望が開けている。
 城跡から東側を見下ろすと、竹田の街である(写真左)。播但線の線路も見えている。反対側からは、「山城の郷」も見える(写真中)。こんなに登ってきたのか、と思う。南方向は、山に挟まれた円山川の上流域が奥へとつながっているのが見える(写真右)。どちらを向いても山がちの立地である。

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 しばらくの間、山城の佇まいを味わって、と言いたいところだが、とにかく人が多いので、落ち着いて雰囲気を愉しむわけにはいけない。ひと通り見回って、早々に下山することにする。
 また譲り合いながら山道を下る。石を積んだり木の枠を埋め込んだりして階段状に整備してくれてはいるが、下るのはなかなか怖い。転ばないように慎重に進む。登ってくる人から道を訊ねられたりするが、一本道だから迷いようはない、と安心させてあげる。「あとどれくらいですか」と訊く人もいる。

 竹田城跡のバス停まで戻ってくると、ここでも「天空バス」を待つ人が多い。列について待っていると、少々遅れ気味で、バスが入ってきた。この便は三台での続行運転である。今度はどうにか坐れた。 

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5.「天空バス」もう一周して駅に戻る

 もう一度「山城の郷」で一息つきたいのだが、一方循環だから来た道を戻ることはできない。が、そういう客も想定して、バスは竹田駅止りではなく、もう一度山城の郷まで行ったところで終点となる。
 わたしも竹田駅を通り過ぎ、終点まで乗った。同様の人が数人いる。

 また「山城の郷」のレストランに入り、アイスコーヒーを注文する。帰りの列車で食べる軽食も仕入れておこうと思い、壁にお品書きが貼ってあるサンドイッチの持ち帰りを所望した。
 ところが、おばちゃんウェイトレスは、愛想はすこぶるいいものの、テイクアウトはできない、と答える。サンドイッチなんてテイクアウトのためのメニューだろう、と思うが、意外である。
 それなら、と但馬牛バーガーのテイクアウトを頼む。これは確かホームページにテイクアウトが可能である旨書いてあったと記憶するからである。しかしこれも持ち帰りはできない、と言う。記憶違いだったか。テイクアウトできるメニューは無いのか、と訊ねても、ない、とのことである。
 しかたなく、建物の前に出ている露店で、但馬牛の牛丼を次善の策として購入した。持ち歩いてから開けたので、食べる時には温泉卵が崩れて中心からずれてしまっていたが、味はよかった。
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 帰ってから「山城の郷」の公式彩図を確認すると、遺憾ながら、やはり但馬牛バーガーはテイクアウト可と明記されている。あてにして来る客もいるのだし、立地上、他に選択肢も乏しいのだから、自ら発信した情報のとおり運用してほしいものである。

 再び「天空バス」に乗り、竹田城跡を経由して街に戻る。今度はまちなか駐車場で下車する。ここは、「山城の郷」や中腹の駐車場の混雑を緩和するために設けられているものである。ここでクルマを降りて「天空バス」で城に登ることが推奨されているのである。

 竹田の街をぶらぶらと歩きながら駅に向かう。大した距離ではないが、宿場町のムードは味わえる。
 

6.「はまかぜ」で帰路

 竹田駅の待合室は、間もなくやってくる特急「はまかぜ4号」を待つらしい客でいっぱいになっている。委託の窓口も、列ができている。普通列車で和田山に一駅移動し、山陰線で京都や城崎(きのさき)などに帰る人もいるようだ。
 十分前頃から改札が始まり、係員が案内にあたるが、ほとんどの人は自由席に乗るようである。竹田駅に「みどりの窓口」はないので、指定券はすぐには発行できないのだ。帰りの時間を決めずに来ているのか、あるいは、「はまかぜ」など大して込まないことを知っているのだろうか。わたしは予め特急券を買ってあるので、それを見せると、
「足元1番、あ、指定ですね、失礼しました。6番でお待ちください」
 と案内される。

 ホーム先端の1番の所には列ができたが、6番の方に向かったのはわたしの他もう一人だけである。この人も6号車指定席に乗るのか、と思ったら、写真撮影のためだったようである。
 ほどなく踏切の音が聞こえ、「はまかぜ4号」が入ってきた。竹田城跡のヘッドマークを付けている。乗り込んだのはわたし一人、乗ってみたら6号車は無人であった。結局、三(さん)ノ宮(みや)まで6号車を借り切ることができたが、休日にこの乗車率ではちょっと心配である。夏とはいえ、休日の午後の列車に、城崎方面から帰る客はいないのだろうか。

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(平成25年9月訪問・乗車)

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