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交通科学博物館おなごり

 大阪・弁天町にあった交通科学博物館が、平成26年4月6日で閉館した。
 高架下と線路脇の狭いスペースを利用した施設だが、小学校時代(当時は「交通科学館」だった)から何度も通って思い出深い。閉館の声を聞いて駆けつけた人も多いと思うが、わたしも閉館前の休日と平日、二度にわたっておなごりの訪問をした。

 その時のことを記すが、とにかく親しんだあの雰囲気を記憶に留めるべく、写真をたくさん撮った。それをできるだけご紹介していき、文章は最小限にする。

  休日に訪れた時は、10時の開館と同時に入るつもりで着いたのだが、9時50分頃にはもう百人以上の人が並んで開館を待っていたのである。その行列の場所からも、大きなガレージとその中の車輌が見えた。  

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 右側は湘南形とも呼ばれる80系電車で、電車のなかではわたしが最も好きな形式である。ただし、これは最初期のタイプで、マイナーなモデルチェンジをくり返して、やがて半流線型の前面になっていく。それこそが好きなのだが、半流線型の車輌はどこにも保存されていない。

 平日の午後にいった時には並ばずに入れたが、平日といってもなかなかの賑わいであった。修学旅行の中学生グループもいた。

 日曜日には、時期により保存車輌の内部公開が特別に行われていた。この日はエアロ・コマンダーというタイプの軽飛行機の操縦席に入ることができ、これの前にも列ができていた。 

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 このように、鉄道だけでなくいろいろな乗物が展示されている。
 自動車のコーナーには、昔からのバイクの移り変わりを示す展示、丸っこいスバルからオート三輪など古めかしいクルマの展示などがあった。

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 昔のバイクを見ると、まさに「原動機付自転車」という名がぴったりだったことが分かる。

 また、国鉄ハイウェイバスも中に入ることができた。こちらは列はなかったので、ゆっくり見学した。

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 そしていよいよ鉄道の展示を見る。
 やはり交通科学博物館の顔といえば、新幹線0系である。入口に近い側は壁ぎりぎりに先頭車が置かれていて写真は撮りにくいが、奥側はスペースが十分にあった。昭和五十年台頃によく見られたパタパタしき行先表示器も、脇に展示されていて、操作もできた。
 新幹線と並んで、入口近くには、「こだま」型特急電車のカットボディもある。

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 こういうカットボディこそが、いかにも博物館らしいのだが、大阪環状線のオレンジ色をした通勤電車のボディも、ずっと昔からある。これは車掌さんのように扉が開け閉めできるようになっていた。
 その横には模擬改札口なども設けられている。
 昭和三十年台頃の鈍行客車を再現したモックアップもあり、これには老夫婦が懐かしそうに長く見入っていた。

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 そういう史料的価値のある展示も多い。
 壁には、日本最古の鉄道トンネルである石屋川トンネルの記念パネルも飾られていた。東海道線住吉~六甲道間にあったトンネルで、天井川の川底を抜ける短いものである。高架化によってこのトンネルはなくなったが、似たつくりの住吉川や芦屋川のトンネルは現役である。

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 また、昔の列車、急行列車が主だが、珍しい列車愛称を示す愛称板(ドア脇に差し込まれていたもの)がたくさん展示されていた。わたしはほとんど乗ったことも見たこともなく、時刻表の文字で知るのみの列車たちである。

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 休憩室に足を踏み入れる。日曜日はここで駅弁販売も行っていた。子供の頃に比べれば椅子や内装が綺麗になっている。飲物の自動販売機も多数並んでいる。

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 屋外に出ると、イベントや講演会に使われるホールの入口がある。昔ここで『魔法使いサリー』の映画を観たことがある。乗物の展示に飽きた子供を接待するためにそんなのを上映していたのだろうか。脇に、ガラスに守られた蒸気機関車「義経」号が保存されているのも見える。
 ここで、元大洋ホエールズ選手の屋舗要氏による講演が行われる、というポスターが貼られていた。スポーツ音痴のわたしでも屋舗氏の名前くらいは知っているが、SLの写真家に転向していたことは知らなかった。
 入口から見えたガレージの反対側から中に入ることができる。こちらには紀勢線特急「くろしお」にも使われた流線型のディーゼル特急などが顔を覗かせている。

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 ガレージの中にはさきほどの80系電車などもあるが、普段は中に入ることができない。しかし窓から車内の様子は窺える。
 昭和初期の食堂車も、同様にテーブルの並んだ様子が分かる。

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 もう一輌食堂車がある。ブルートレインの最初の型である。
 ここは実際に食堂営業を行っていた。これは大宮の鉄道博物館でも行っていないサービスである。
 例によってカツカレーを注文したが、まあ味はびっくりするほど美味しいというものでもない。子供向けなのだろう。

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 館内に戻り、人気の模型パノラマ室を覗くと、ちょうど運転時間中であった。
 現在はこれを上回る規模のレイアウトが各所にあるが、往時はなかなか見られないものであった。
 車輌基地の部分は、一輌だけで留置されている車輌があったり、異なる形式の車輌が連結されていたり、となかなかリアルに表現されている。 
 もちろん、夜や朝の演出もなされ、寝台列車が駆けめぐる。
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 パノラマ室の脇には小さなドアが設けられている。気づきにくいが、旧い電機機関車の鼻先が、そのドアを指し示している。この機関車は昭和初期に作られ、当時の電化区間で急行列車などを牽引した花形機関車である。

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 そのドアを出て歩道橋で道路を渡って隣の区画に行くと、そこは第二展示場と呼ばれる所である。
 ここは、信号関係の施設およびディーゼル機関車が展示されている。

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 機関車のなかでもなかなかかっこいいスタイルのDD54形というのが目を引く。ドイツ製の高性能車だが、故障が多かったため、ピンチヒッターでSLが復活したりした。
 この機関車のすぐ向かいが男子便所になっていて、鏡ごしにDD54と顔を突き合わせて手を洗うかたちになるのが面白かった。

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 だいたいひととおりの展示物を観た。
 平成28年には京都の梅小路にある蒸気機関車館をグレードアップした新博物館に統合発展して再オープンする予定である。待ちきれそうにないような先の話だが、過ぎてしまえばすぐなのだろう。

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(平成26年1・3月訪問)

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