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宮島フリーパスで山に登る

 広島電鉄では、「宮島(みやじま)フリーパス」という切符をこの3月まで発売していた。

 3月末をもってこの切符の発売は終了してしまったのだが、これはこの時期全国各社でみられた現象である。
 つまり、消費税率アップに伴って各種切符の値段も見なおされたわけだが、それを機に、大幅なリストラが行われもしたのである。売れ行きがいま一つの切符や、手間がかかる割に儲からない切符などが、大幅に切られてしまったのである。
 この「宮島フリーパス」は後者ではないかと思われる。

  「宮島フリーパス」は、広島電鉄の鉄道・軌道全線と宮島口~宮島間の宮島松大だい(まつだい)汽船、それに宮島島内のロープウェーが二日間乗り放題で、2000円という値段だったのである。
 ロープウェーの普通運賃は往復1800円もしたし、それに乗るには確実に船にも往復乗船する。船の普通運賃は往復で340円であったから、それだけで元をとれることになる。あとは電車に乗れば乗るほど得になるわけだが、二日有効なので、一日めに宮島まで往復して十分に元をとり、二日めは広島市内の電車を乗りあるいて観光、などとすれば、値段の倍以上分活用することも可能である(現在は各社運賃が変わっている)。
 それで、ちょっと気前がよすぎたという判断だったのではないか。系列会社とはいえ、船とロープウェーと広電で収入を分配せねばならないし、そういうのが煩雑でもあったろう。

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 フリーパスが廃止になるからというわけではないが、発売終了ぎりぎりの3月末、このパスを使って宮島を訪れた。そして、以前の記事にあったハノーバー電車や元神戸市電への乗車も、同じくこのパスを使ったのである。

 宮島口に着いたわたしは、松大汽船の乗り場に行った。その名も「宮島」という船が着岸している。十分ほどの乗船なのだが、船内には各社のWi-fiが整備されている。 

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 JRの宮島連絡船も並行していて、港に出入りする様が見える。春休み期間なので、双方とも臨時増発をしてフル稼働である。JRの方は、宮島大鳥居のそばへ迂回する航路をとっているが、今回はパスを活かすため、松大汽船で往復する。 

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 宮島へは数回渡ったことがあるが、ロープウェーで弥山(みせん)に登ったことはなかった。今回はそれを志したのである。
 ロープウェー乗り場が既に山の中腹にあるので、坂を登らねばならない。それで、厳島(いつくしま)神社の山側から送迎バスが出ている。フェリーの桟橋から出さないのは、それでは宮島の商店街を歩いてくれなくなるからであろう。
 しかしわたしは、商店街は帰りに覗くとして、桟橋からタクシーに乗ってロープウェー乗り場まで登ることにした。タクシーも出払っていて、十分ほど待たされたが、無事乗ることができた。タクシーは、人通りの多い商店街を避け、狭い山道を辿って、ロープウェー紅葉谷(もみじだに)駅に横付けしてくれた。送迎バスも駅のそばまでは上がってくれないので、これは助かる。 

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 ロープウェーは、途中の榧谷(かやたに)駅で乗換えとなる。榧谷までは循環式といって、小さなゴンドラが頻繁に行き来する、スキー場のリフトのような方式である。だいたい一分の間隔で運転していた。混雑時は相乗りになるが、そうでなければグループ別に載せてくれる。
 谷を渡るゴンドラ群は、なかなか壮観だ。

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 榧谷まで十分ほどで着く。ここで乗換えである。榧谷付近には何もないので、導かれるまま乗り換える以外にない。
 ここからは交走式といって、大きな搬器が二台、同時に両端駅を出発して中間地点で行き違う。これの方が、一般的なロープウェーとして親しまれているだろう。 

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 これに乗って四分ほどで、終点獅子岩(ししいわ)駅に着く。
 獅子岩駅には、カフェがあったりして、登山の拠点としての整備がなされている。駅舎内には「恋人の聖地」と題するモニュメントがある。ハート型を捺した紅葉饅頭を作れるコーナーなどもある。
 駅舎の周囲には景観を愉しみながら散策できる道もある。歩いての登山が面倒な客は、ここで引き返しても満足感が得られるようになっているのだろう。弥山の本堂までは、山道を二十分ほども歩かねばならない。

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 わたしは頑張って本堂まで行ってみることにした。
 気温は低いのに下着には汗がじっとり滲んできた頃、やっと本堂に着いた。本堂にはちゃんと賽銭をあげてお参りしたが、その向かいにある「消えずの霊火堂」にも惹かれた。弘法大師がこの地で修行した時以来消さずに火が保たれているのだという。
 そして、この堂の前にも、「恋人の聖地」というプレートが飾られている。ここが本当の聖地で、獅子岩駅のは出先機関ということらしい。なるほど、こういう山上に聖地を設定しておくと、若い男女が集まってくるという寸法であろう。
 もっとも、ここが恋人の聖地であることには、格別の由来があるわけではない。全国の観光地を「恋人の聖地」に仕立てるプロジェクトがあるのだそうだ。「恋人の聖地」に指定された場所は全国に百カ所以上もあるので、そんなに遠出しなくても行き着ける、とも言える。
 弘法大師が立てかけた杖が根づいて花を咲かせるようになった、と伝えられる錫杖の梅につぼみがつきはじめていた。こういう梅の風情もだんだん解する歳になってきた。 

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 この本堂前のスペースは、かなり狭い。だいたいの人はロープウェーで来るので、さっきから同じような顔ぶれしか見ない。それにも飽きてきたし、日が傾いて汗がひくとますます寒くなる。
 そろそろ山道を戻って下山しようと思う。

(平成26年3月訪問)

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