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奥越の駅二題~ 九頭竜湖と勝山カフェ

 初夏に福井県東部の奥越と呼ばれる地域に出かけてみた。

 「青春18きっぷ」の発売が始まり、常備券(いわゆる「赤券」)を買おうと思ったのが、出かけるきっかけであった。赤券は何かとマニアに人気だが、北陸に住んでいると、自然に赤券を買うことが多くなる。北陸線には売っている駅が多いのである。
 ただ、越美北線(九頭竜線)の終点の九頭竜湖駅では買ったことがなかった。一度買ってみようと思う、というか、こんなことでもないと九頭竜湖まで行かないのである。大野まではまだ行く用事もあるのだが。

 福井から午前中の九頭竜線に乗って、一時間半強かかって九頭竜湖に着いた。九頭竜線自体も、約半数の列車は越前大野折返しとなるから、九頭竜湖まで来る列車は一日五往復のみである。
 越美北線は、国鉄の開通させたローカル線としては比較的新しく、この九頭竜湖駅が開業したのは昭和47年である。だから、駅舎もそんなに古いイメージではない。

 この駅には何度か来たことがあるが、その多くは、岐阜県側の美濃白鳥からJRバスで県境の油坂峠を越えて来て、列車に乗り継いだのである。あまり乗継ぎ時間もなかったので、あんまり駅を観察したことがない。
 といっても、今回もこの列車が折返す十二分間しか滞在しない。目当ての「青春18きっぷ」は無事入手できたので、駅前広場を散策する。現在はJRバスの乗入れはなく、大野市営のコミュニティバスの乗り場がある。

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 駅前広場の右手には、道の駅を兼ねた観光案内所がある。地元の物産なども販売しているが、それほど品数は多くないし、すぐ口にできるような食べ物も売っていない。

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 今乗ってきた列車の中に戻る。運転士さんは、特に怪訝な顔もせず、観音開きの扉を開けてくれた。すぐ引返す客は珍しくないのだろう。こういう新しいタイプのディーゼルカーだが、扉は手動になっているのである。
 このディーゼルカーは、越美北線開業五十周年を記念した塗装が施されている。これは沿線の一乗谷遺跡をイメージしたラッピング車輌である。車内にも塗装の説明が掲示されている。

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 せっかくの飾りつけだが、残念ながら越前大野まで客はわたし一人であった。こういう超閑散としたローカル線の味わいも久しぶりである。
 越前大野で下車すると、駅前からすぐにバスの便があった。これで勝山に向かう。えちぜん鉄道の勝山駅に開店したというカフェを訪れたかったのである。
 大野と勝山とを結ぶバスにも何度か乗ったが、寄り道して高校のすぐ前に新設された停留所に停まるなど、細かな改善がなされていた。

 勝山駅前でバスを降りると、すぐ前に古風を残しつつもきれいな駅舎が待つ。この駅舎と駅前広場は、昨年(平成25年)に再整備されたばかりである。再整備の直後にも訪れて、記事にしている。
 その駅舎、待合室だったスペースを一角が、カフェになっている。巨大なサイフォンが迎えてくれる。

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 店内には、勝山駅とえちぜん鉄道の歴史を示すパネルと展示物がある。カフェになる前から展示してあったものであろう。それを見ながらお茶を飲むことができる。

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 メニューはほぼドリンクで、固形物はケーキが数種類のみである。カレーやサンドイッチなどの軽食がないのは残念である。ただ、電車の待ち時間をつぶす、という趣旨だとすれば、最大でも三十分だから、これでいいのかもしれない。

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 わたしはケーキとコーヒーを注文することにした。薩摩芋のパイとコーヒーのセットがカウンター席に届いた。
 カウンターと言っても、窓に面していて、電車やバスの出入りを眺めることができる。あのテキ6の保存展示場も正面に見えるが、遺憾ながらテキ6にはカバーが掛けてあり、よく見えない。

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 電車は最初から一本遅らせるつもりだったので、ゆっくり四十分ほど滞在した。三人の従業員がいたが、制服も清潔で、なかなか洗煉された接客であった。

 狙ったわけではないが、やって来たのは七夕アート電車であった。その旨のヘッドマークが付いている。

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 福井工業大学デザインアート学科の学生がデザインしたものだという。
 天井や座席の背凭れに、細かい手が入れられていて、目を愉しませてくれた。

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 近すぎてなかなか出かけられない奥越の旅は、その距離に似てこぢんまりとした心地よい印象を残してくれた。

(平成26年7月訪問)

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