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JR吾妻線付け替え

 万葉線の高岡(たかおか)駅乗入れ以来、約半年ぶりに、完乗タイトル防衛の必要が生じた。JR東日本吾妻(あがつま)線の一部が、ダム工事のため付け替えられることになったためである。
 吾妻線全体としては0.3キロ短くなるのだが、岩島(いわしま)~長野原草津口(ながのはらくさつぐち)間は明らかに新たな線路が敷かれるわけで、途中にある川原湯(かわらゆ)温泉駅も、従来と異なる場所に移転する。これはやはり、乗りなおさなければならないであろう。

 10月の中旬に、宿泊地の東京から日帰りで出かけることにした。ホテルの最寄り駅に行ってみると、山手(やまのて)線ホームにいきなりやってきたのが、ちょっと変わった電車であった。

 東京駅開業100周年を記念した、赤レンガ色の電車である。運行を始めたばかりだし、山手線に運用されている編成数はかなり多いので、まさか見られるとは思っていなかった。なかなか幸先がいい。

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 高崎(たかさき)線の普通電車で高崎まで行く。
 ここで早昼の時間になったので、以前から評判を聞いていたカツ丼の店を訪れ、昼食とする。
 群馬あたりはソースカツ丼が主流だそうだが、この店のカツ丼は和風だしのカツ丼である。福井には醤油カツ丼も出てきたが、それとも違う。醤油の味は利いているものの、だしの香りがまさっている。これが不思議に、わたし好みの香ばしいタイプの衣とよく合っているのである。これも大いに満足する。

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 駅に戻って、普通電車に乗る。高崎から奥へ行く各線には、オレンジと緑の昔ながらの湘南塗色のまま、国鉄形電車がまだ頑張っている。

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 これに乗ろうとしたが、遺憾ながら入線直前まで何輌なのか案内がなく、アナウンスで3輌だと聞かされ、わたしを含め、4輌の乗車位置で待っていた客が嫌そうな顔をして並びなおす。
 しかし、電車全体はそれほど込んでいないので、どうにか坐れた。上越(じょうえつ)線を北上し、渋川(しぶかわ)から吾妻線に入るが、客はほぼ減る一方で、具合のいいことに、付替え区間の手前にある中之条(なかのじよう)まで来て、進行右側の四人掛けボックスを独占することができた。

 岩島を過ぎると、旧線跡が分かれてゆき、新線に入った。しかしほどなくトンネルに入ってしまう。新たに掘られた八ツ場(やんば)トンネルである。
 「八ツ場」の名を聞けば、思い当たる人も多いだろう。かなり進捗していたダム工事が、民主党政権に替わった時に、凍結されたのが、ここである。結果的には、民主党政権の清新さを演出するため、公約遵守のシンボル的に使われたことで、地元も吾妻線も翻弄されたことになる。国土交通大臣が、鉄道ファンで知られる前原誠治(まえはらせいじ)氏であったのは皮肉なことであった。
 自民党政権に戻って、工事は再開され、計画どおり吾妻線も移設されることとなったのである。使われなくなる旧線の途中には、日本一短いトンネルとして知られた樽沢トンネルがあったことでも話題になった付替えである。
 その筋の人たちが、樽沢トンネルの現役の姿を目やカメラに収めようと、付替え直前にはかなり集まっていたようだ。トンネルは7メートル余りの長さしかなく、電車1輌の半分にも満たないため、電車が通過する際の光景はユーモラスなものだったが、わたしはトンネルに格別の関心を持っていなかったので、付替わってから乗りに来れば十分、と考えたのである。トンネル跡自体は現在も残っていて、クルマでそばまで行くことはできるそうだ。

 掌を返すように、4キロ以上もある長いトンネルとなった八ツ場トンネルをやっと抜けると、川原湯温泉である。
 川原湯は、温泉街自体がダムに水没することになるので、まるごと高台に移転することになった。この移転の段取りも既に進んでいたため、ダム工事凍結が揉める原因ともなった。現在も新温泉街は完成に至っていないが、ともかく駅も移転して新しくなった。
 線路のバラストもまだ白く、初々しい。ホームの設備なども快適に使えそうである。

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 川原湯温泉を出てまた長いトンネルに入る。これは川原湯トンネルである。それを抜けると、すぐに元の線と合流し、長野原草津口に着く。
 長野原草津口のホームは一面二線だが、列車の行違いはできない。南側の線路は行き止まりで、終点の大前方面に抜けているのは北側の一線だけなのである。吾妻線列車の一部がここで折返すためにこういう構造になっているのだが、駅舎を建て替えた関係でこうなったらしい。
 駅付近には見事に何もない。店も家もなく、駅前広場に草津(くさつ)温泉などと結ぶバスが発着するだけである。駅舎にも売店があるだけで、食事などをする設備はない。
 こういう姿になったのも、ダム工事の関係だということで、この駅も何かと振り回されているようだ。

 わたしもこれで目的を果たしたので、ここからひき返すことにする。東京への切符を予め買ってあるが、この付替えを機に、吾妻線は東京近郊区間に組み入れられた。ということは、山手線内までの切符は、途中下車不可、当日限り有効、となるはずである。しかし、わたしの切符は2日間有効で途中下車もできる。

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 なぜこうなるのかよく分からない。確かに購入したのは付替え前だが、有効開始は付替え後を指定している。こういう場合は付替え後のルールが適用されるのではなかろうか。まあ、わたしもここに来るまで思い至らなかったのだが。

 帰りは特急に乗る。元々常磐(じようばん)線で走っていた特急車輌が転属してきたものが、特急「草津」に使われている。指定席は六割くらいの乗りであった。

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 途中下車可の効力を活かし、わたしは途中の大宮(おおみや)で降りた。自動改札機でも引っかかることはなかった。
 降りたのは、鉄道博物館に立ち寄るためである。この時期、特別展である「鉄道王国とやま」展が行われていたのに興味を惹かれたのだ。間もなくの北陸新幹線金沢開業に協賛したもので、富山高専鉄道部が模型レイアウトを出展しているのも、興味深い。同じく期間限定のレストランメニューである、スフレセットも味わって帰った。

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 単なる乗りつぶしでなく、なかなか充実した鉄道旅行となったことである。

(平成26年10月乗車)

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