« 臨時寝台特急「サンライズ出雲91号」 | トップページ | 寝台特急下り「カシオペア」 »

上野東京・北陸新幹線・地鉄初乗りなど

 今年(平成27年)の3月14日改正に伴い、新たにできるものもあって、完乗タイトル奪還のために、そぞろ乗りをしないといけない。

 それで、神戸からの帰途、東京廻りといういびつなコースをとることにしたのである。

 品川(しながわ)のホテルに一泊した後、朝の品川駅に出た。もちろん、今回開通した上野(うえの)東京ラインに乗るためである。
 もっとも、上野東京ラインは、元々ある路線に線路が増設されて、運転系統が変わっただけなので、新たな区間が開業したわけではない。だから、完乗タイトルには影響がないのだが、首都の心臓部に新たな線路が敷かれる、というのは滅多にないことだし、興味深い。やっぱり乗ってみようと思った。

 品川で「上野」という行先を見るのは、何とも新鮮で、これも見慣れればどうということはなくなるのだろうが、どうも「上野」というと、東北・上越(じょうえつ)方面からの列車の行先という観念が染みついている。特にラッシュ時は、従来東京行だった東海道線(湘南(しょうなん))電車に、上野行が多くなった。尾久(おぐ)の車庫に入るからだろうが、南側からの上野行にはまだまだ抵抗がある。逆に、常磐(じょうばん)線方面からは品川行が多くなった。

153230891b

 もちろん、東海道線から上野を通り過ぎて、東北・高崎(たかさき)線に直通する列車も多い。わたしは、その一本である籠原(かごはら)行に乗ることにした。長距離だし、景色もしかと見たいので、グリーン車の二階に席を占めた。

 神田(かんだ)を過ぎるあたりから、上野東京ラインの線路はかなり高い位置を走るようになる。スペースがないので、新幹線の上を高高架で通しているのだ。
 その分眺めはよく、スカイツリーの先端部もよく見えている。掘割を渡ったりするうち、新幹線から少し位置がずれ、「はやぶさ」などの新幹線列車も眼下に見える。
 

153230962 153230963 153230964

 新幹線は秋葉原(あきはばら)から地下に潜る。上野駅の新幹線ホームは地下にあるからである。それで空いた所に、上野東京ラインの複線が下りて行く。秋葉原付近の賑やかな街並みがやはり眺めよい。

153230965 153230966

 各方面からの列車がこの上野東京ラインに集まってくるので、けっこう高頻度で列車と擦れ違う。JR、特に東日本は、新たな路線や運転系統では、当初は用心深く控えめな運転本数にし、利用客の反応を見ながら徐々に増やしていくことが多いのだが、今回はいきなり飛ばしている感じである。
 ただ、まだまだ人々の行動様式が大きく改まるところまではいっていないのか、各列車はそんなに込んではいないようだ。この籠原行も、東京でどっと空いて、上野から多く乗ってくる。

 乗換えのため熊谷(くまがや)まで来てホームに降りてみると、いつか人身事故で高崎線に大幅な遅れが発生していた。
 こうなると、ダイヤの混乱を波及させないため、直通運転を中止する、という対応がとられる。本来は東京経由小田原(おだわら)行の列車が、上野止りに変更されている。当初、上野行なのに列車種別が「上野東京ライン」と表示されていて、禅問答のようになっていたが、おかしいと思ったのか、すぐに「普通」に変わった。 

153231181 153231182

 さて、高崎に移動し、ここから北陸新幹線に乗る。
 長野までは既設の区間で、もちろんとうに乗ったことがある。車輌も長野以南に先行投入されていたので、やはり先日乗っていて、目新しさはない。
 しかし、改めて車内を観察すると、座席の間隔がゆったりしているし、背凭れの頭の部分が上下に動いて頭にフィットするよう工夫されているのは、最新の車輌という感じがする。普通車でも全席にコンセントが整備されたのも、時代である。
 
153231394 153231762

 「はくたか」に乗って、高崎から北陸新幹線に入る。この列車で富山まで行く。
 長野県に入り、軽井沢(かるいざわ)に停まる。この辺から、右窓にはまだまだ雪を頂いている浅間山が荘厳な姿を見せる。 

153231391

 佐久平(さくだいら)、上田(うえだ)と停まって、長野に着く。
 ここからが、いよいよ新開通区間で、わたしの完乗タイトル奪還が始まる。
 長野を出たところで車輌基地が右手に見える。国鉄製の近郊形電車が憩っているほか、写真では見えにくいかもしれないが、奥の方には横須賀(よこすか)色の荷物電車や、国鉄オリジナルカラーの特急形電車も停まっているのが見える。なかなか国鉄要素の大きい車輌基地だ。やがて、新幹線自身の車輌基地のエリアに入るが、そこは地下に潜って抜けるので、それを見ることはできない。 

153231461

 開通区間最初の駅は、飯山(いいやま)である。旧信越線からは外れ、支線である飯山線で少し入った所にある駅である。新幹線どころか、飯山線には特急も走ったことのないので、新幹線の駅ができたのは破格の扱いである。東北新幹線の古川(ふるかわ)と似た境遇だ。
 飯山は一応市制が敷かれているが、人口は二万人余り、特に大きな都市ではない。地形の関係で新幹線が通ったのは、天佑であろう。 

153231470

 飯山から山地をトンネルで抜ける。このため、かつてはスキー列車が多く終着した妙高(みょうこう)高原の駅を新幹線は通らず、同駅はしなの鉄道とえちごトキめき鉄道、両第三セクター鉄道が接続するだけの、ローカル駅になってしまった。
 この妙高高原の他、新井(あらい)・高田(たかだ)・直江津(なおえつ)と主要駅が並ぶ旧信越線だが、そのいちいちに付き合うわけにいかない新幹線は、このエリアの中ほどにある旧脇野田(わきのだ)駅でえちごトキめき鉄道と交叉し、ここに上越妙高駅を設けることとなった。
 駅名に「上越」が付いているが、上越新幹線とは無関係である。ここの上越は、新潟県すなわち「越後」を京都に近い方から「上越」「中越(ちゅうえつ)」「下越(かえつ)」の三地域に分けたうちの最初のものを指す。対する新幹線名の「上越」は、「上野国(こうづけのくに)」と「越後国」とを結ぶ線という意である。だから、上越妙高へ行くのに上越新幹線に乗ってはならない。取り返しがつかない、というほどではないが、かなりの遠回りを強いられる。
 トンネルを抜けると、まさに雪国で、長野県側は晴れていたのに、一気に空が曇り、田畑は白く染まっている。

 上越妙高は追越し可能な二面四線の構造になっている。ホームの両側に柵が設けられて、展望はきかない。ここで、速達型列車の「かがやき」に抜かれる。長野でこの「かがやき」に乗り換えれば、富山には早く着いたのだが、わたしは各駅をしっかり観察するため、敢えて「はくたか」に乗り通しているのだ。
 やがて、「かがやき」がホームに面した線路を通過していく。あまりに速いから、写真に撮っても「かがやき」の車輌は霧のように危なっかしい。

 上越妙高を発車すると、線路に設けられたスプリンクラーが、激しく水を吐いている。 

153231471 153231472 153231473

 ワゴンサービスが回ってきた。わたしは、パウンドケーキとコーヒーのセットを買った。
 在来線の特急ではどんどん車内販売が縮小されている。せめて新幹線では愉しみたいものである。
 座席にはワゴンサービスのメニューが入っていて、分かりやすい。 

153231474 153231475 153231491

 列車はまた長いトンネルに入るが、それを抜けた能生(のう)あたりで、初めての日本海が一瞬だけ見える。
 さらに、糸魚川(いといがわ)に近づくと、高架線路だけに、海岸までの距離はあるものの、海を見わたせるようになる。今日は曇っているが、天気のいい日なら、碧海の眺めがすばらしいものとなろう。

153231480 153231490

 黒部宇奈月(くろべうなづき)温泉駅に停まる。ここは、富山地方鉄道との連絡駅である。
 富山地方鉄道の方は「新黒部」という駅名である。同鉄道は終点が宇奈月温泉だから、ここの駅名を新幹線に合わせるわけにはいかなかった。
 黒部宇奈月温泉は、新幹線の駅名としては最も長い。 

153231560

 黒部宇奈月温泉を過ぎ、魚津(うおづ)あたりでもちらちら海が見える。今後、新幹線の車窓から蜃気楼が見えたりすることもあるのだろうか。

 富山で、わたしは一旦途中下車する。やはり、完乗タイトルを奪還するために、立ち寄らないといけない。
 「ますのすし」の売店がホームにあるのがいかにも富山らしい。ここから金沢までは、区間運転の「つるぎ」もあるので、若干運転本数が増える。「つるぎ」の折返しは、外側の線路どちら側でも行われるようだ。ホームから南側を見下ろすと、これから乗ろうとする富山地方鉄道市内線の、富山駅乗入れのため新たに敷かれた線路が見える。

153231591 153231592 153231590

 ホームから階段でコンコースに下りる。
 なかなかコンパクトながら、落ち着いたデザインがなされている。
 改札を出ると、右側が在来線の改札で、新幹線から乗換えるにも、一旦改札を出なければならず、中間(連絡)改札はない。旧北陸線の方が第三セクター鉄道のあいの風とやま鉄道になったので、こっちが主役で、高山(たかやま)線をひき続き運営するJR西日本が、看板の隅に追いやられている。
 片隅には、水道水を飲める設備がある。立山(たてやま)の雪解け水を水道水にしている富山は、水の美味しさが自慢なのだ。

153231593 153231661 153231595b

 新幹線から正面に進むと、市内電車の乗場である。全く段差なく行き着けるようになっているのは、現代のデザインである。
 高架下のコンコース至近まで市電が乗り入れるのは、画期的なことで、LRT整備に積極的な富山だけのことはある。
 この市電乗場に面して、バルコニーのような高い空間があり、テーブルと椅子が並んでいるのが見えたので、カフェかと思ったが、階段を昇ってみると、フリースペースであった。ここから市電を眺めることができる。
 現在のところ、富山駅電停は行き止まりとなっているが、在来線の富山駅が高架になれば、ここから北へ線路を伸ばし、北口に発着する富山ライトレールと直通運転する予定だ。

153231597 153231596b 153231594

 環状線のセントラムと呼ばれる電車が富山駅電停に入ってきた。この富山駅電停に電車を引込むために新設された線路が、新開通区間である。完乗タイトルのため、ここを乗らなければならない。
 が、富山駅電停からは、電鉄富山駅・エスタ前(旧・富山駅前)電停、新富町(しんとみちょう)電停、両方向に出られるように線路が敷かれている。どちらに向かうのが正式な新線なのか、手許に資料のない素人には分からない。分からなければ、両方乗るしかない。それには、環状線で一周して戻ってくるのがちょうどいい。 

153231663

 そうやって戻ってきた。電鉄富山駅・エスタ前から右手を見ると、新たな富山駅ビルの全容が見える。

153231682

 再び富山駅電停に入ったところで下車する。開通以来初めて乗ったらしい若い女性客が、
「えー、何これやばい。金沢みたい」
 と、きれいなコンコースを見て感嘆している。

 富山駅電停では、1系統(富山駅~南富山駅前)が折返す他、2系統(大学前~南富山駅前)にとっては途中電停だが、双方向ともここで進行方向替えをするし、3系統(環状線)もここに入って進行方向が変わる。
 だから、発着線が二線ではなかなか手狭に感じるほど、電車はひっきりなしに出入りする。渡り線がクロスしていて、それを使って電車を捌いている。
 電鉄富山駅・エスタ前から南富山駅前方面と、新富町から大学前および環状線方面と、二つの方向に出て行く線路は交叉点の少し手前で分岐する。分岐から交叉点までは、電車一編成分の長さがある。だから、片方面の電車が信号待ちをしていても、それに支障されることなくもう一方面の電車が発車できるようになっている。さっきの環状線が発車するときも、信号待ちの間に南富山駅前行が横をすり抜けて先に出て行った。写真のように、両方面の電車が並んで信号待ちする様子が見られることもある。
 こういう効率のいい運用が可能な路面電車の配線は、欧州あたりにはよくあるらしいが、日本では初めてだと思う。この交叉点の信号はけっこう変わるまでが長いので、いい設備である。 

153231693 153231686 153231684

 これで、富山地方鉄道の未乗線もつぶした。新幹線に戻って、残り区間に乗ろう。

 再び改札を入ってホームに上がると、金沢行「つるぎ」が入っていた。12輌編成だが、それほどの客も見込めないので、乗車できるのは1~6号車である。うち4輌が自由席だが、たった二駅で終点になる列車だから、そんなに込まない。わたしは三人掛けを独り占めできた。 

153231761

 「つるぎ」が富山を発車すると、まもなく右手に、富山新港に架かる新湊(しんみなと)大橋が遠望できる。日本海側では随一の斜長橋である。

153231760_2

 新高岡(しんたかおか)では富山より多くの人が乗ってきたが、それでも座席は三割も埋まっていない。新高岡はJRの支線である城端(じょうはな)線と連絡する駅で、従来からの高岡駅へは城端線で一駅、僅か1.5㎞である。それくらいなら、なんとか高岡駅に乗り入れられなかったのか、と歯痒い。
 倶利伽藍(くりから)峠をトンネルで抜ける。すぐに金沢である。
 「つるぎ」として金沢に着いた編成は、すぐに側面表示が「はくたか/東京」に変わった。「つるぎ」はあまりにささやかな列車なので、専用編成を用意するのではなく、東京~金沢間列車の間合いを利用して運転されているのだ。 

153231774b_2

 金沢駅もまたいろいろ変わってきれいになっていたが、第三セクターのIRいしかわ鉄道となった在来線津幡(つばた)方面の列車は、従来のJRのままであり、変わり映えがしない。国鉄製の電車もそのままの塗装で用いられていた。
 この駅には中間改札もあった。これで未乗区間がなくなったわたしは、安心して福井方面の在来線特急に乗継いだ。

(平成27年3月乗車)

|

« 臨時寝台特急「サンライズ出雲91号」 | トップページ | 寝台特急下り「カシオペア」 »