« 仙台市営地下鉄東西線 初乗り | トップページ | そんなに寂しくない新十津川駅 »

2016年1月 5日

急行「はまなす」~ いろんな最後

 正月の北海道旅行は、急行「はまなす」で北海道に入ることにした。

 これまでも何度か「はまなす」に乗ったが、福井から「はまなす」を利用しようとすると、従来は旧特急「白鳥」のダイヤを辿って日本海沿いに進むことになる。旧「白鳥」はかつて、大阪と青森の間を結ぶ超長距離列車であった。が、直通利用も少なくなったため、系統分割されて廃止となった。しかし、各区間でそのダイヤを引き継ぐ列車が運転されていたので、福井からは、金沢・新潟・秋田で乗換えて四本の特急を乗継げば、青森で「はまなす」に接続したのであった。
 しかし、この乗継ぎも、北陸新幹線の金沢延伸によって、ついに成り立たなくなった。並行在来線が第三セクター化されて特急が廃止されたりしたからだ。

 結局、北陸新幹線と東北新幹線とを大宮で乗継ぐ方が早くなった。しかたなくそのルートで新青森に向かう。それはそれで面白いルートだが。
 惜しいのは、東北新幹線が新青森まで延長されても、「はまなす」は昔ながらに青森始発であることだ。新青森から青森へ、一駅普通電車で移動せねばならない。新青森始発にすればいいのに、という声も少なからず上がっていた。

 しかし、青森に着いてみれば、やっぱり始発駅はここでないといけない、という気になる。
 連絡船はとうに廃止されたが、その桟橋にもつながっていた長いホーム、そこに体を横たえて悠然と客を待つ「はまなす」、この光景は、まさに夜汽車の始発駅であり、歴史に裏付けられた風格がある大駅でこそ醸すことのできるムードだ。新青森のような急ごしらえの狭いホームでは貫祿負けするだろう。

161042272

 「はまなす」は、三月の北海道新幹線開業とともに廃止されることになっている。この廃止は、いろいろなものの終焉を意味する。JRの定期急行列車、JRの定期客車列車、「ブルートレイン」の名を体現する列車、開放型寝台、予約なしでふらっと飛び乗れる夜行列車…、札幌と本州を直結する列車、など、実に多くの「最後」を担って「はまなす」は走り続けている。

 わたしも、三月までもう北海道に行く予定もないし、「はまなす」に乗るのもこれが最後になろう。
 
161042271 161042261 161042262

 風雪厳しい北の大地を走るためか、客車はずいぶんくたびれた感じがする。わたしの寝台は増21号車の上段が指定されていて、その番号どおり、増結車である。年末年始の多客期なので増結しているのだろう。増結車はかなり綺麗に整備されている。
 今日は座席車も増結されていて、全部で十二輌もつないでいる。最大輌数での運転であり、青函トンネル開通直後のブームの頃を思わせる編成だ。

161042264 161042268 

 増21号車の寝台に行ってみると、年輩の男性から、席を交代してくれないか、と頼まれた。お孫さんと二人で乗ったのだが、満席のため席が離ればなれになってしまった、とのことである。こっちは一人旅で、お安いご用である。移動先はくたびれた2号車だが、寝るだけだから、乗ってしまえば外装の剥げ具合などどうでもよい。
 かくして、わたしの生涯最後に乗った開放型寝台車は、オハネ24 503となった。同じ区画の人と「こんばんは」「よろしく」などと挨拶を交わしてベッドにもぐり込むのも、開放型ならではだが、そんな旅情も過去のものになるのだろう。

 のりつぶしに勤しんでいた頃にはしょっちゅう乗っていた開放型寝台の佇まいも、もう見納めなのか、と思う。楕円形のベッドライトや、壁から引き出す通路の椅子、かつては当たり前にあったものが、消えようとしている。

161042273 161042281 161050572

 固定された三面鏡が待つ洗面所や銀色の陰影がついたステンレス製便所、そんなものまで、最後と思うといとおしく見える。

161042360 161042362

 昂奮に一睡もせず札幌まで行った人も少なくないのだと思うが、わたしはそこそこでベッドに横になる。寝台車は寝てなんぼの車輌だ。
 開放型寝台は、空いていれば下段の方が勝手がいいのだろうが、満席状態だと上段の方が落ち着くようである。カーテンを閉めてしまえば物音も気にならないし、通路上の荷物棚も含めて占有空間が広くとれる。

 客車独特の余韻ある揺れ方を背中から感じながら、寝たような寝ないような、つまりはいかにも夜行列車らしい一夜を過ごし、「はまなす」は定刻に札幌に到着した。十二輌もの編成だから、途中の駅では一部の車輌のドアが開かなかったはずである。
 向こうの端が見えないほど長い夜行列車というのも近年は珍しい。

161042265 161050661

 改札を出ると、「はまなす」の到着案内が出ていた。出迎えの客のため、こういう掲示があるのは、まだまだ長距離輸送に鉄道が生きている証拠だろう。 

161050671

 わたしは構内で荷物を預け、次の行動に移る。

(平成28年1月乗車)

|

« 仙台市営地下鉄東西線 初乗り | トップページ | そんなに寂しくない新十津川駅 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。