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JR筑豊線DENCHA

 「電車」「気動車」「客車」と区分されてきた鉄道車輌だが、その区分がこのごろはかなり怪しくなってきた。「電車」は架線から集電してモーターを回すもの、と決まっていたが、蓄電池式の電車が実用化されるようになった。他に、ディーゼルエンジンで発電してその電気でモーターを回す、という車輌もあり、こういうのは「電車」なのか「気動車」なのか、微妙なところになる。
 蓄電池の車輌は、電気だけで動くから「電車」であることは確かなのだろうが、架線がないのに「電車」が走ることには、やっぱり違和感がある。

 その蓄電池式電車が走るようになった線区の一つが、JR筑豊線である。ここの蓄電池式電車は、DENCHA(でんちゃ)という愛称が付けられている。幼児語のようで、口にするのがやや恥ずかしいが、考えてみれば、電源たる電池を車輌そのものに搭載している、というのは、プラレールと同じ原理であるから、ちょうどいいのかもしれない。
 もっとも、本来は「UAL ENERGY CHARGE TRAIN」の略なのだそうだ。

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 DENCHAの始発駅となる若松(わかまつ)駅は、北九州市内ではあるが、小倉(こくら)からJRで行こうとすると、遠回りの折尾(おりお)経由になってしまう。わたしは、小倉駅新幹線口から市バスで若松に向かうことにした。
 市バスの乗り場がどこなのか、すぐには分からず、駅前をうろうろした。乗継ぎ時間が僅かなので焦ったが、なんとか乗り場を見つけ、ほどなくバスが来た。

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 小倉付近は西鉄バスのエリアだからか、若松営業所行のバスは駅前と次の病院近くの停留所にだけ停まると、若戸大橋を渡って若松区に入るまでノンストップとなる。若戸大橋を渡るのは初めてだ。どんづまりの若松駅へ行く機会自体が少なく、これまではJRで往復するか、戸畑(とばた)から渡船で若松半島に至ったかであった。
 大橋通(おおはしどお)りという停留所で下車、交叉点を渡ればすぐに若松駅だ。「若松駅前」という名でもよさそうな停留所だが、地方にはときどきこういう不可解な命名がある。

 十七年ぶりくらいの若松駅は、キュービックで無機質な駅舎に変貌していた。
 改札口前には、DENCHAの導入にあたり、案内の掲示がなされている。DENCHAは昨年10月に運行を開始しているが、この3月改正から、若松発着の全ての列車がDENCHAになり、ディーゼルカーが追放されたのである。

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 ホームには、既に直方(のおがた)行のDENCHAが入線している。
 清潔感と清新さを強調した塗装で、いかにもJR九州らしい。2輌連結で、半自動ドアである。半自動ドアは初めての導入らしく、さきほどの掲示にも注意事項が書いてあった。

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 車内は残念ながらロングシートだが、背もたれも高く坐り心地には配慮されているし、二~三席ごとに仕切りが付いていて、それなりにプライバシーも尊重されている。
 そういう座席配置はこれまでの車輌にもあったが、見馴れないのは連結部分である。従来の電車では、連結部分はロングシートだったりトイレだったりするのだが、かなり大きな機器、というか、おそらくバッテリーが鎮座している。

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 少々圧迫感もあるが、明るい塗装やディスプレイによって緩和されている。

 走りだしてみると、普通の電車と変わらない順調な加速で、モーター音も通常どおりなので、全く違和感がない、というより、架線のない区間を走っていることを意識するとそれが違和感になる。
 これも「電化」されたことになるのだろう。これからは、「架線電化」と「車輌電化」に分けて考えなければならない時代なのだろうか。
 この区間の駅間距離は、都市部らしく二キロ前後と比較的短い所が多い。わたしが初めて乗った時のように、ディーゼル機関車に牽かれた客車がのそのそ走っていたことの方が不自然と言えば言える。客車の時代は、若松~折尾間を二十分ほどかけて走っていたが、加速のいいDENCHAは、駅が一つ増えたにもかかわらず、十六分ほどで走破する。

 途中の奥洞海(おくどうかい)駅では、多少半自動ドアにとまどう人も見られたが、スムーズな乗降がなされている。男子中学生の集団などは、新しい車輌に感激の表情を隠さない。
 二島(ふたじま)駅では降りる人も多い。北側にイオンがあるのだ。それ以上に乗ってくる。その次は、平成15年に新設された本城(ほんじょう)駅である。スロープ付で傾斜の緩い跨線橋が設けられている。 周囲は集合住宅なども多く、スポーツ施設などもある。

 すぐに折尾駅に着く。折尾は、高架の鹿児島線と地平の筑豊線とが立体交叉し、さらに両線を直通する列車のためのホームもあったりして、複雑な構造になっている。これを改善する工事が行われている。
 直方行DENCHAは地平の2番線に停車する。折尾からは架線があるので、畳まれていたパンタグラフが上がる。
 反対側の1番線には、若松行のDENCHAが到着した。床下もやはりバッテリーだらけだ。こちらはここから架線のない区間に進むため、パンタグラフが畳まれる。充電の都合があるのか、直通する電車も、この折尾で必ず数分以上停まるダイヤになっている。

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 これでDENCHA試乗も果たせたので、鹿児島線に乗換えて小倉に戻ろうと思う。
 高架ホームに上がってみると、昔ながらの駅弁立売りのおじさんが声を張り上げていた。ここで売れるとすれば、大分行特急「ソニック」に乗ろうとする客だろうか。今は「ソニック」が来る時間帯ではないので、声への反応は鈍い。

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(平成29年3月乗車)

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