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近江塩津駅待合室

 滋賀県の北端に位置するJR近江塩津(おうみしおつ)駅は、湖西(こせい)線が北陸線に合流するジャンクションである。
 特急に乗っていると、ここには停まらないので、意識せずに通りすぎてしまうが、「青春18きっぷ」などで普通列車の旅をしていると、ここで乗換えることが多くなる。北陸線の敦賀(つるが)方面は県境を越えることになるから、地元客の流動は少なく、北陸線長浜(ながはま)方面と湖西線近江今津(いまづ)方面とを往来する客が多い。
 しかし、その長浜方面と近江今津方面とを直通する列車は、スイッチバックを要する駅の構造もあって、朝夕の数本のみである。その不便をいささかでも補うため、両方面の接続は概して優先されている。
 ただこれが旅行客となると、県境を越えて敦賀方面へ移動することになる。昼間のダイヤだと、近江今津方面と敦賀方面とは新快速が直通するので問題ないが、長浜方面と敦賀方面との行き来は、ここで乗換えなければならず、その接続も悪い。

 周囲に何もない町外れの駅で途方に暮れる乗換え客をもてなすため、以前からこの駅では、待合室で簡易的な食堂営業が行われている。委託された駅の窓口と、食堂の厨房とが一体化している。

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 料理の腕を振るい接客に当たるのは、地元の学校給食の調理に従事していたおばさんたちである。それで、店の名も「給食屋さん」となっている。乗換え待ち時間の長い昼間ダイヤの時間帯に営業しているのだ。
 駅の狭苦しい乗換え通路の突き当たり、駅の出口付近に看板が出ている。

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 わたしも時々ここで時間つぶしと腹ごしらえを兼ねてお世話になっている。
 以前は地元のお菓子なども売っていたと思うが、現在はうどんとコーヒーだけのシンプルなメニューになっていた。

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 下りは、毎時37分頃に米原方面からの終着列車が着き、敦賀行が毎時01分に出る。上りは、毎時39分頃に敦賀からの列車が着き、米原方面の始発列車は05分に出る。それぞれ半時間足らずの待ち時間で、何もせずうち過ごすには長いし、ゆっくり食事を楽しむには短い。
 そこで、うどんということになるのだろう。きつねうどんとかきあげうどんの二種類がある。

 わたしが上り新快速から降りて「給食屋さん」に入ってみると、昼に近いからか、下りで来た先客が数人いる。それはいいのだが、皆が時計を気にしはじめている様子だ。わたしも、かきあげうどんを注文した。
 駅のうどんというと、立食いのそれを想像し、注文から一分ほどで出てきそうだ。それが、なかなか出てこないのだ。痺れをきらした客の一人が、「できてる分からもらっていいですか」などと厨房に声をかけ、おばさんが「あ、今できますから」などと答えている。

 そんなに手間がかかるのは、こういう感じで出すからである。

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 いろんなおかずが載った小皿と、漬物、それにご飯まで付いている。おかずは、たぶん日替わりなのだろうが、天ぷらや豚カツ、こんにゃくおでんなどがごく少量ずつ盛り合わせてある。心尽くしの料理でなんとか旅人をもてなしたい、というおばさんたちの心意気なのだろう。
 味は、とびきり美味しいというものではないが、素朴な料理は心休まる。何より、ここでこれ以外に時間を満たすことができないのだから、贅沢は言えない。
 とはいえ、二十分少々の時間をもてなす、という趣旨なら、シンプルにうどんだけを出した方が喜ばれるのではないか、とも思う。食べる時間は十分弱しかないのだ。

 ちょっとばかりの文句はあるにせよ、この鄙びた駅に食堂があるだけでも珍しくありがたいことだ。これからも、鈍行旅行者のひとときを癒す存在でありつづけてほしい、と願っている。

(平成29年3月訪問)


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