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東京駅ラウンジから函館ゆきグランクラス

 飛行機に乗り慣れると、空港のラウンジも使い慣れる。
 航空会社が独自に設けているラウンジもあるし、いわゆるカードラウンジなら、ちょっとした規模の空港には必ずある。サービス内容や、有料・無料の区別は、空港によって少しずつ違うが、フリードリンク(アルコールは有料だったりなかったり)はだいたい共通している。ラウンジによっては、コピーやファックスが利用できたり、軽い朝食を提供していたり、シャワーまである所もある。

 こういう空港ラウンジを使うにつけ、駅にもこんなラウンジがあれば便利なはずなのに、と慨嘆せざるを得なかった。特にラウンジサービスが活きるはずなのは、夜行列車である。
 夜行列車に乗るまでの間、あるいは朝降りてから、中途半端な待ち時間が生じることが多い。早朝深夜の時間帯なので、適当な店が開いていなかったりする。そこで駅に、ちょっと呑んだり食べたり、身支度を整えたり、あるいはテレビや新聞など観ながら情報収集したりできる場所があれば、時間とエネルギーを有効に使える。そうなれば、夜行列車も十分ビジネス需要に堪えるのではないか。
 夜行列車の中で食事が提供されたり風呂に入れたりするのは、情緒的には趣があっていいのだが、そういうサービスを提供する場としては、走る列車に連結するより、夜行の発着する主要駅に施設を作っておいた方が、どう考えても効率的だろう。ラウンジ単体で運営するのが難しいかもしれないが、主要駅に併設された鉄道関連会社系列のホテルやレストランとタイアップもしくは一体化した運営をする方法もある。
 そうすれば、夜行需要もここまで落ち込まなかったのではないか。

 そんなことを歯がゆく考えていたわたしだが、皮肉なことに、夜行列車がほぼ壊滅状態になったタイミング、平成27年12月に、遂に駅のラウンジが誕生した。
 東京駅の「ビューゴールドラウンジ」である。

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 名前からしてJR東日本の運営だと分かるが、八重洲中央口の向かいにあるこのラウンジは、主に同社の「ビューゴールドカード」の所有者向けのものである。しかし、例外的に新幹線のグランクラスを利用する場合は、同カードの会員でなくても利用できる、という。会員でないわたしが使うには、それをやるしかない。
 なかなか機会が巡ってこなかったが、やっとラウンジを使うことができた。東北・北海道新幹線の全線を初めて乗り通すことになり、それならグランクラスで贅沢してみよう、と思ったのである。

 一歩ラウンジに入り、入口ドアが閉まると、もう東京駅の喧騒とは別世界になる。大きな荷物はフロントカウンターで預かってくれ、ラウンジ内は身軽に動ける。
 土曜の朝だから混雑しているかと思ったが、先客は一組だけである。利用条件の厳しさゆえか。席に着くと、すぐに女性係員がおしぼりを持ってきて、ドリンクの注文を訊いてくれる。
 すぐトイレに立ったが、トイレももちろん高級感と清潔感に溢れていた。喫煙室も設けられている。
 そして壁面には、東京駅や東北線に関する史料の写真がパネルとして飾られていた。東京駅なのに東北線? と一瞬は思いかけたが、東海道線でなく東北線なのは、JR東日本の施設だからだろう。
 東北線は上野駅、というイメージも根強いが、考えてみれば、本来東北線はこの東京駅が起点なのだし、東北新幹線の列車も東京駅始発となって久しい。東北・上信越方面の「上野発」という息の長い流行はもはや終わったということだろう。今や、上野発や上野行は、むしろ湘南電車のイメージにシフトしつつある。 

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 注文したアイスカフェラテといっしょに、今月のお菓子、といった感じのストロベリーショコラを持って来てくれる。まろやかな苦みと甘さなので、チョコレートが苦手なわたしにも、すんなりいただくことができた。
 そのうえ、お土産のお茶、として、緑茶のペットボトルを袋に入れて持たせてくれた。

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 壁際にはカウンター席もあり、パソコン用のコンセントも備えられている。そういう席があるということは、それなりに満席に近くなる日もあるのだろう。

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 発車前のひととき、すっかり落ち着いた時間を過ごしてしまい、また騒がしいコンコースに出て列車に乗るのが億劫になったほどだが、気を取り直し、ホームに上がる。

 当然、グランクラスがわたしを待っているわけだが、東京駅での新幹線折返し列車は、発車二~三分前にならないと乗車扱いしてくれないのが常である。グランクラスのような座席に乗るのだから、もう少し発車前ののんびりした時間を味わいたいものだが、ホームのやりくりが苦しくて、そうも言っていられないのだろう。それを補うためのラウンジである。
 空港のラウンジと違って、発車間際までくつろいでいられるのは、ありがたいことである。荷物検査や便ごとの改札がないのは、物騒と言えば言えるが、列車の気楽なところだ。

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 向かい側には、「やまびこ」「つばさ」併結列車が停まっている(写真の右側)。列車の繋ぎ目は常に人気があるが、わたしが乗ろうとする「はやぶさ」(写真の左側)は、「こまち」が付かない単独運転のタイプである。グランクラスの10号車が先頭となる。

 グランクラスは、「新幹線内地縦断日着の旅」の時に初めて利用したが、その時と大きくサービスは変わっていないようである。それで、簡単に述べておく。

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 洋食または和食の軽食が、一食のみ供される。飛行機の上級席と違って、食事時間帯に限って、などということはないのは嬉しい。もっとも、東京~新函館北斗間は四時間余りかかるので、大抵の列車がいずれかの食事時間帯にはかかるが。
 この弁当があるので、今日は朝食は食べずに来た。

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 ドリンクは、アルコールも含め無制限なので、わたしは弁当用の熱い緑茶、食後のホットコーヒー、それに昼食時のアップルジュース、といただいた。熱い飲物は、こういう専用のグラスに淹れてくれるのがいい。
 ただし、このグラスはなぜか係員がテーブルに置いてくれず、自分で把手を取るように言われる。わたしなど手袋をしていて、手が不自由なことは分かると思うのだが、免除してくれない。

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 なお、昼食にしたのは、自分で持ち込んだカツサンドで、これは東京駅で買ったものである。青函トンネルに入ってから開けたが、弁当から三時間しか経っていない。弁当は量も少なくあっさりしているので、胃にはもたれておらず、こういうときは助かる。

 無事新函館北斗に着いて、ラウンジからグランクラス、という上級の旅は終わった。到着側には上級席の特権はなく、普通車の客といっしょに「はこだてライナー」のロングシートに乗るだけである。
 こういう明白なアクセス列車には、グリーン席を設けて、新幹線のグリーン車利用客はそのままグリーン席に坐れる、というようにしてもいいのではないか。たかが二十分、されど二十分である。

 それはともかく、「トワイライトエクスプレス」などの寝台列車も廃止された今、ツアー列車は別にして、新幹線のグランクラスが最も豪華な北海道への足ということになる。わたしなど北陸に住んでいるから、北陸・北海道両新幹線のグランクラスを梯子する、という散財も、しようと思えばできる。
 今後、新幹線が延伸されたら、敦賀発新函館北斗行(ゆくゆくは札幌行)の豪華新幹線列車を走らせられないものか。「トワイライトエクスプレス」を再現するような、食堂車・ラウンジ付の編成とする。どうせなら寝台車主体として夜行にすればよい。敦賀を夕方に出発し、夜に大宮で折返して東北新幹線に直通、主要駅で乗車を扱う。新青森あたりで0時~6時の間待機して、7時半頃に新函館北斗着、9時前に札幌着、とすれば、ダイヤもほぼ「トワイライトエクスプレス」をなぞることになる。現在の金沢発では難しいが、敦賀発となれば関西の客を呼び込めるし、もちろん大宮では首都圏の客が乗り込める。その場合は、敦賀や大宮、札幌などの駅にもラウンジがあるとよい。
 好評なら、もっと遅い時間に出発して仙台や青森で朝下車できるダイヤの列車や、上野発の列車なども走らせればよかろう。

 そんな夢想と皮算用をしてしまったグランクラス旅であった。

(平成29年5月利用・乗車)

 

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