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「北陸中京新幹線」の現実策とFGT

 先月の半ば、福井県知事が、「北陸中京新幹線」の構想とその推進をぶちあげたもので、地元ではちょっと話題になった。
 北陸中京新幹線は、米原と敦賀を結ぶ新幹線である。北陸と東海地区を迅速に結ぶことを目的としているのである。

 北陸新幹線が小浜廻りになることがほぼ決定したので、鉄道網から米原~敦賀間が中途半端に浮いてしまうことは、確かに問題だ。北陸新幹線の全通さえ迂遠な先なのに、今それを提唱するか、というのはあるにしても、この区間のこともいずれは考えねばならない。
 しかし、ここに新たに新幹線を建設することは、あまりに無駄だという気がする。

 米原~敦賀間は在来線で45.9キロ、ノンストップの特急で二十八分ほどである。直線距離は40キロほどになるが、直線で新幹線を敷くとすると、琵琶湖上に長大橋梁を架けねばならないから、あり得ない。多少迂回して42キロ程度になろう。すると、両駅に停車するとして、新幹線の電車で十五分くらいか。
 敦賀での乗換え時間も節約できることにはなるが、十数分の短縮のために、新たな複線を建設(トンネルも長いのを掘らねばならないだろう)するのは、費用対効果比としてどうなのだろう。
 敦賀は新幹線同士の分岐となるので、大宮や高崎にあるような大がかりな立体交叉も必要になる。それに、現在の「しらさぎ」には長浜に停まるものもあるが、当然この新幹線には長浜に駅はできないだろうから、長浜の便が悪くなる。

 この程度の距離なら、新線の建設は最小限にし、在来線の改良で対応した方がいいのではないか。
 北陸新幹線の大阪開業の頃には、いくらなんでもフリーゲージトレインもしくはそれに替わる技術は実用化されているだろうから、それを導入するのもいい。

 フリーゲージトレインについて、メッセンジャーやFacebookで冗談交じりに話していたことである。

 フリーゲージトレインは、なかなか実用化(営業運転)の目途が立たず、各整備新幹線などの将来計画にも影響しているようである。
 わたしなど、なんでそんな軌間変更のややこしい機構を作る必要があるのか、などと以前から思っている。そんなことをしなくても、異なる軌間の線路を直通運転することは簡単にできるではないか。

 車輌に、最初から二種類のゲージの車輪を備えておけばいい。一本の車軸に、二種類の軌間の車輪四枚を付けることに、何か不都合があるのだろうか。
 こうしておけば、車軸にピンなどを着脱してその長さを換える必要もない。だいたいピンの着脱など、そのピンが何かの拍子に外れたりしたら忽ち脱線事故になるわけで、なんとなく物騒である。それなら作り付けの車輪で対応する方が安全だろう。
 線路の側も、軌間切替え部に特別な形状のレールは要らない。両軌間が並行する四線軌条をある程度の長さ(といっても数十メートルくらいだろう)にしておけば、それでよい。こうすれば、それほど減速せずに通過できるのではないか。
 特別な技術が要らないこの方法は、実用化も早いのではなかろうか。

 このように、メリットをどんどん思いつくのだが、もちろん、デメリットも生じることは分かる。 

 ポイント(分岐器)を通過するときに、使っていない方の車輪が邪魔になるのがおそらく最大の問題だと思う。
 が、その車輪のフランジが通れるように、レールに溝を刻んでおけばいい。それではポイント通過時の衝撃が大きくなる、ということなら、ポイント切替えに連動してその溝を埋めるようなしくみを備えればよい。新幹線のポイントに使われている可動式ノーズのようなしくみである。

 もしかしたら、一本の車軸に使わない車輪を二枚もぶら下げるのは、それが死重と化して、車軸に負担をかけるのだろうか。それなら、一つの台車に四本の車軸、すなわち、狭軌用と標準軌用の車軸をそれぞれ二本ずつ装備すればよい。
 そんな不恰好な台車があるか、と言われそうだ。しかし、DMVは鉄道用の車輪と道路用のタイヤの両方を備えていて、両方ちゃんと駆動できるようである。そんなことができるんなら、鉄道用の車輪のみ二種類備えることは、さらに簡単にできそうに思うのだが。

 車輪は磨耗するから、四枚の車輪が不等磨耗を起こすと、乗り心地が悪くなってしまうが、考えてみれば、半径が揃っているべきなのは同じ軌間の車輪同士二枚ずつでいいわけだし、従来の技術で対応できそうである。

 と、いろいろとデメリットも考えるのだが、どれも致命的ではないように思うし、メリットの方が大きそうである。
 こういう誰でも思いつくような簡単な方法が採用されないのは、わたしが工学について素人ゆえ、何か大事なことを見落としているんだろうと思う。
 しかし、わたしの周囲には工学が専門の人や「鉄」の人が数多い。それらの方々にこのアイデアを話してみたら、面白い、盲点だった、いい発想だ、と皆感嘆してくれたのである。
 何かこれが採用できない決定的な理由があるなら、知りたい。なぜ軌間可変の車軸を備えることがそもそもの前提になっているのかが、わたしはよく分からないのだ。 

   (閑話休題)

 まあ、そのような方法が可能ならともかく、フリーゲージトレインとなると、米原と敦賀でたて続けに軌間変換を行うのも忙しないし、時間もとる。米原駅の立地から考えて、相変わらず同駅での方向転換は避けられそうにない。

 よく考えてみれば、名古屋方面と北陸とを結ぶ直通列車が、米原駅に入る必要はないではないか。
 東海道新幹線は、米原の東側で大きく北に膨らんで、北方から米原駅に入っている。それなら、米原手前、米原市に入ったあたりで東海道新幹線から分岐して、北陸線の田村駅に至る2キロ足らずの連絡線だけを造ればよい。そうして、田村~敦賀間の北陸線を標準軌(正確には、狭軌と標準軌の単線並列)化するのだ。
 本当は、長浜~近江塩津は標準軌のみの複線にしたいところだが、貨物があるので、狭軌の線路も残さねばならないだろう。狭軌側は新快速と貨物、標準軌側は新幹線列車がそれぞれ毎時二~三往復程度だろうから、河毛を除く各駅に各々交換設備を設ければ(用地もありそうだ)、じゅうぶん捌けるのではないか。

 長浜に新幹線列車の一部を停め、新快速などと相互連絡する。その他の駅にも適宜新幹線列車を停めればいい。
 新疋田~敦賀は、もちろんループ線の方が狭軌で、新快速と貨物列車は上下ともループ線を通る。ループの途中に駅(新西敦賀?)を新設して斜行エレベーターで小浜線と連絡するのも一興である。そして、敦賀には北陸新幹線に合流するスロープを造る。

 こうしておいて、ミニ新幹線車輌で東京・名古屋~長浜~富山に直通列車(仮称「こしひかり」)を走らせれば、米原付近のショートカットと折返し時間の節約で、十分近くは短縮できるだろう。
 その頃にはリニア中央新幹線も全通していると思いたいが、そうなれば東海道新幹線のダイヤにも余裕ができるから、そういう運転系統も可能だろう。
 万一、東海道新幹線が現状どおりと仮定するなら、現在の米原停車「ひかり」を、「はやぶさ/こまち」と同様の編成にして、岐阜羽島で「のぞみ」待避の間に解結することになろうか。米原停車「ひかり」は現状でも米原での乗降がかなり多いから、岐阜羽島~新大阪が10輌程度になっても、なんとか対応できそうだ。

 これだってそれなりの経費はかかるが、わざわざ新たにフル規格の新幹線を敷くより安く上がるし、こうするのか現実的ではないかと思う。
 フル規格を造ると、米原~敦賀間の在来線が第三セクター化される可能性が高くなるが、それもしなくていいのだ。

「「北陸・中京新幹線」に戸惑いの声 「北陸新幹線に全力を」」福井新聞記事https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170615-00010000-fukui-l18

 

(平成29年7月執筆)



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