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2018年4月16日

淡路交通の2ドアエアロバス

 淡路(あわじ)交通には変わり種の車輌がある。2ドアエアロバスと呼ばれるもので、ちょっと見たところ、よくある高速バスの車輌だ。

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 こういうタイプのバスは、運転席左側一カ所にだけ乗降扉があるのが当たり前だ。と思うだろうが、実は淡路交通に一台だけ、これの2ドアバージョンが在籍している。

 元々はもっと多数いたのだが、現在は一台だけになった。これを珍重するファンもいるので、淡路島をほぼ縦断する舞子(まいこ)・福良(ふくら)線でダイヤを限定してこの車輌が運行されており、淡路交通のサイトでも告知されている。 

  http://www.awaji-kotsu.co.jp/news/2016/01/02/post-1.php

 今年6月で運行終了ということだ。

※4月19日補足 
 最近まで、淡路交通の公式彩図内に上記案内ページがありましたが、その案内が4月中旬に消えてしまいました。
 消えた案内(のキャッシュ)によると、高速舞子発 11:55 および ★15:55、福良発 7:05 および ★14:16 で6月末まで運行、とのことでした(★は平日のみ運行、車両整備などにより車両が変更になる場合もある、とのこと)。
 ページが消えた以上、この内容にも保証はありません。ご注意ください。

 わたしは以前、この型の車輌に、舞子・津名(つな)線という路線でよくお世話になったものだが、同線は利用不振だったようで、どんどん減便されてしまった。この車輌に出会うこともなくなった。
 今、せっかくこのように広報までされているのなら、お別れ乗車するのもいいだろう。

 3月の平日に休みがとれ、神戸に滞在したので、福良発14時16分の高速舞子行に乗ってみることにした。同じ道を往復するのは面白くないから、往路は一般道路の路線バスで福良に向かう。

 明石(あかし)港から、ジェノバラインの船で岩屋(いわや)港に渡る。この船は、いつからか、Edyなどの電子マネーで切符が買えるようになっていた。券売機でなくカウンターに申し出ると扱ってくれる。
 廃止の危機にも見舞われたこともある航路だ。が、自転車の航送を含め、気軽な海峡の足として多数利用されていることは、到着便から降りてくる客の数で窺える。わたしが乗る午前中の岩屋行は、大きな流れとは逆向きなので、空いていた。

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 岩屋からは、国道28号を行く縱貫線のバスでまず洲本に向かう。
 縱貫線は、かつて淡路交通の最重要幹線であった。島の本州側玄関である岩屋から、洲本(すもと)・福良方面に頻繁運転されていたのだ。明石海峡大橋開通前は、岩屋から洲本市街中心部に入らず福良へ直行する特急便も運転されていた。
 しかし、大橋ができると、本州との連絡の役目は本四高速を経由する高速バスに譲り、縱貫線はローカル輸送に徹するようになった。現在では全ての便が各停となったうえ、岩屋~福良を直通する便もなくなった。全て洲本で乗換えを要するのである。直通の需要は、まさにこの後乗る舞子・福良線が引き継いで満たしている。縱貫線の便数も、かつての約二十分間隔から一~二時間間隔に開いている。

 これだけ減便されたということは、ほとんど乗る人もないのか、と思ったが、洲本に近づくにつれて客が増え、ほぼ全ての席が埋まった。
 洲本で昼食をとり、今度は福良行の縱貫線に乗る。バスセンターにあった自販機で、淡路産牛乳を使ったコーヒー牛乳を買い、満腹を落ち着かせる。

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 今度は洲本から離れるほど客が減り、終点福良のバスターミナルでは十人ほどが降りた。

 自販機で高速バスの切符を買って乗り場に出ると、ちょうど高速舞子行2ドアエアロバスが入って来た。

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 一般路線バスと同様、後乗り前降り、料金も後払いである。
 太川陽介さんと蛭子能収さんの番組でも、路線バス乗継ぎの途中でこの車輌に遭遇、「このバスに後扉があるとは…」と絶句していたものである。わたしも、舞子・津名線で初めてこのバスが来た際には、よもや後乗りとは思わず、前扉の前でじっと待っていたりした。よそのバスでもあまり見たことがない。
 ここでも、入口をブースに合わせて、かなり前に出て停車しているのに、女の子が一人、間違って前から乗ろうとした。

 車内は前から見ると普通の高速・貸切バスと同様に見えるが、よく見ると左側の席が一列とんでいる。そこが後扉である。
 ノンステップバスが主流でツーステップ車さえ見かけることが少なくなった現在、スリーステップの乗車口はいよいよ珍しい眺めである。中から見ると、前扉部分をここにコピー&ペーストしたようにも感じる。

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 とはいえ、最前列に坐ってしまえば、当たり前の高速バスだ。
 福良のバスターミナルは、淡路人形浄瑠璃を上演する淡路人形座と隣接している。バスが前に出ている分、目の前にそれが見える。

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 定刻になると、静かに後扉のプラグドアが収納され、発車した。陸の港西淡(せいだん)までは一般道路を走る。
 前に掲げられた料金表は、最近の車輌に多いカラー液晶画面でなく、ブラウン管タイプである。このあたりにもこの車輌がもはや旧型であることが現れている。先のサイト記事によると、平成13年式だそうだ。

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 西淡三原(みはら)インターから高速に入るが、高速上でもかなり小刻みに、停留所ごとに停車する。福良からの高速バスは、高速舞子行のほか三(さん)ノ宮(みや)行もあるが、各停になるのは高速舞子行だけである。しかも、特にクローズドドアなどは行われておらず、途中どこでも乗れるしどこでも降りられる。やはり旧縱貫線特急の代替という位置づけなのだ。

 しかし、高速道路は必ずしも縱貫線すなわち国道28号に沿ってはおらず、勾配を避けるためもあり、島内を大きく蛇行している。北淡(ほくだん)インター付近では、播磨灘側の西浦にかなり近づく。
 以前、真夏にこの本四高速を通る福良方面行に乗った時、薄着の家族連れが運転手さんに、「いちばん海に近い所で降ろして」と頼んで、ここで降りていたのを思い出した。無計画な海水浴だな、と思ったものだが、大きな街もない西浦は、水もきれいで、込まないだろう。
 こうして西浦側にも高速バスの便が行きわたったため、岩屋から西浦を縦断する路線バスも廃止され、洲本と結ぶ路線だけが残った。
 そこからはまた大きくカーブし、じきに大阪湾に面した東浦側に出る。淡路島は北へ行くほど細長いから、この辺まで来ると横断はすぐなのだ。ちょっと沖縄の那覇~名護(なご)間の高速バスに近い雰囲気でもある。 

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 やがて、淡路ハイウェイオアシスの観覧車、その向こうに明石海峡大橋が見えてきた。淡路縦断の旅も終わりに近い。

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 橋から西側の海を見下ろすことができる。対岸の明石市街もはっきりしてきた。渡りきったところが終点の高速舞子である。

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 全ての客を降ろして、垂水ジャンクションにある折返し待機場へ回送されるバスを見送る。
 プラグドアが収納された状態の後扉部分は、ちょっと見ただけではそこが扉であるようには思えない。

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 このように、高速バスのような一般路線バスのような、中間的な路線はわたしの好みである。そしてそれに相応しい車輌が使用されていることも、好ましい。
 大橋開通後、こういう路線が多くなると予測されたからこそ、淡路交通がこの車輌を特注したわけだが、次第に中途半端な存在になってきたものと思われる。今後こういう車輌が再登場する可能性も低かろう。

 面白いタイプのバスがまた一つ使命を終えるのは、趣味的には惜しいことだが、いたしかたない。

(平成30年3月乗車)

 

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