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2018年6月10日

神戸市バス平成30年度乗りつぶしと新・共同運行

 今年度からの新路線開設を受け、神戸市バスの完乗タイトルを防衛・奪還をしたかったのだが、なかなかできなかった。というのも、新路線には平日のみ運転の系統が含まれるからだ。なかなか平日の休みがなかったのだが、代休などでやっと確保できた。

 初めに、31系統の新たな分岐である。通常の31系統は、JR甲南山手~渦森台の路線だが、西岡本7丁目へ分岐する便ができた。

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 ところがこれがまた、朝のJR本山駅前行と夕方の西岡本7丁目行とが各一本ずつ、それも平日のみの運転なのである。
 西岡本7丁目は山の中腹にある住宅地であり、朝の便に乗るには、上り坂を西岡本7丁目まで歩いて登ることになりそうだ。ものぐさなわたしは、夕方の便に乗って、下り坂を歩くことにした。薄暮ではあるが、外が見えないほどの時間ではない。

 本山駅前の停留所で時刻表を見ると、見事に平日一本だけの西岡本7丁目行が記されている。18時36分発である。

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 愛嬌ある顔をしたポンチョがやって来た。二分前に渦森台行が出たばかりなので、乗るのはまさに西岡本7丁目に行く客だけである。本山駅前で八人乗り込んだ。ポンチョの収容力を考慮したダイヤだろう。身軽な小型だし途中乗降はないしで、岡本9丁目で渦森台行に追いついてしまった。
 そこからは分岐して狭隘で曲がりくねった道を昇っていく。なるほど小型でないと無理な道である。
 住宅街の小さな公園を三角に廻る道で方向転換した所が終点である。ポールではなく、歩道の手摺りに架けられた看板が停留所の印である。そして、ここは以前から周辺住宅街の「ターミナル」であったと見える。公園の脇に、客待ちのタクシーが停まっている。

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 当然、わたし以外の客は周辺の住民であろう。それぞれの住処に散っていく。採算はともかく、運行する意義は十分にありそうである。利用状況によっては増便されるのかもしれない。
 回送で戻っていくバスを追うかたちで、坂道を歩き下っていく。住吉川沿いに出ると、38系統(阪神御影~渦森台)が通る観音橋の停留所がある。従前はここが西岡本7丁目地区の最寄り市バス停留所であった。一方通行の道路が住吉川を挟んでいる区間で、対岸に渦森台行の市バスが見える。みなと観光の「住吉台くるくるバス」が、市バス路線の間隙を埋めるように運行されており、この道を通るが、付近に停留所はない。
 わたしは38系統でJR住吉駅に出た。

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 日を改めて、JR甲南山手駅に降り立つ。
 今度は、30系統(JR甲南山手・JR本山駅前~深江浜町)の深江浜町西への新設分岐に乗る。これは、平日朝の深江浜町西行、一便しかない。9時20分発という中途半端な時間帯は、通勤用でもないようだ。とにかく乗ってみるしかない。
 ここは通常のワンステップバスが来た。JR甲南山手で乗り込んだのはわたし一人である。

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 発車するとすぐにJRのガードを潜って国道2号に出た所が森、さらに南下して阪神深江に停まると、ここでジャンパーなど羽織った作業員風の男性が二人乗った。
 そして埋立地への長い橋を渡り、東部市場前を通過する。その次の東部市場南そこで深江からの二人は下車し、またわたし一人になる。右側にはまだ卸売市場が続いている。ここは、かなり昔は「新神戸大プール」という停留所名で、比較的長い間終点であった。その後南へ、少しずつ延伸されたのである。
 この時間では通学の生徒もおらず、東灘高校前も通過し、右折する。従来の30系統は直進して深江浜町で終点になる。が、この便だけは深江浜町には入らない。工場の間を、トラックの路上駐車を前提とした中途半端な道幅を、大型車と譲り合いながら走り、深江浜町西に着いた。
 到着する便しかないのだが、西岡本7丁目に比べるとはるかにちゃんとした「おりば」のポールが立っている。「キューピー工場前」の復称が付いているとおり、左側は工場に面しているが、この時間帯だから通勤の客はない。というか、工場への通勤は各工場が運行する送迎バスの利用が多いはずである。

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 逆方向のバスがないので、帰りは阪神深江まで歩くしかない。バスは南→西→北と進んで終着したので、ショートカットすれば、五分ほどの徒歩で東部市場南まで戻れる。おそらく、新神戸大プールの跡地であろう、ショッピングゾーンがそこそこの賑わいを見せている。

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 歩く道の左(西・北)側は、集合住宅が建ち並ぶ。ちょうど工場と住宅の境目にあたる。深江浜町西は、この住宅街の足ともなり得る立地なのだが、このダイヤでは使いようがない。結局、乗ってみても、なんのために開設されたのか分からないルートであった。
 二十分足らず歩いて戻ってきた阪神深江駅は、高架工事が進んでいて、下り線だけが高架ホームになっていた。高架橋と踏切が共存する過渡期の姿を見られたのは、貴重であった。

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 阪神電車で神戸三宮まで行き、今度は地下鉄三宮駅前から90系統中突堤方面行に乗る。
 従来、90系統は三宮から西進、大丸前の元町1丁目を経由してメリケンパークに至っていたが、4月からはまっすぐ南下して、税関前から新港町を通るようになった。税関前までは29系統(三宮~摩耶埠頭)が従来から運行しているが、新港町前後の区間は新路線ということになる。

 地下鉄三宮駅前は、かつて市電の電停がそうであったように、JR・阪急のガード下に移設されたので、鉄道からの乗換えには便利になった。
 港町の雰囲気を象徴する神戸税関の前を通って、第一・第二突堤の根元を過ぎる。新港町の上には浜手バイパスの高架が通っていて、海上をメリケンパークへ短絡しているが、バスは通ることができないので、一旦北上して京橋交叉点から海岸通りを少し西進する。ここを市バスが定期運行するのは、臨時迂回などを別にすれば、かなり久しぶりである。メリケン波止場前交叉点から左折して、従来の経路に戻る。 

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 中突堤に入って、ポートタワー前の中突堤停留所まで往復、終点の中突堤中央ターミナルに着く。バスは折返し運行となるので、すぐに石屋川行の方向幕が出た。
 すぐ西側はハーバーランドであり、観光利用もできる系統だ。

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 しかし、折返し待ちの時間が二十分余りあるので、わたしは歩いて税関のあたりまで戻って、石屋川行のバスを見ることにする。
 神戸の街は、扇港の異名があるように、港を要とした扇状に拡がっている。だから、東西の移動はなるべく浜側を歩くのが楽に行くコツなのだが、今はまさに海沿いだから、距離が短くていい。ハーバーランドは神戸駅、中突堤は元町、税関は三ノ宮が最寄り駅だが、海沿いに行けば徒歩圏内なのである。
 第三突堤の交叉点で待ち受けると、やがて新港町の方から折返しの石屋川行がやって来た。この道は、神戸駅と神戸空港とを結ぶ神姫バスも通る。この路線は他線の間合いで運行されているらしく、見ていると、路線バスタイプとか高速タイプとかいろんな型のバスが来る。
 そして、この交叉点を北へ折れると、国道174号である。距離が最短の国道として知る人ぞ知る存在だが、90系統をはじめ、各社局のバスが繁く通り抜けて行く。

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 改めて、中突堤中央ターミナルから後の石屋川行にも乗った。石屋川行は中突堤とメリケンパークを経由しないので、次が新港町となる。だから乗りつぶしには往復乗らないといけない。
 新港町停留所付近は、広々してクルマも少ない。右手にはハーバーランドが見えている。

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 今回の経路変更は、同じ石屋川方面から来る92系統との差別化や、神姫バスしか運行していなかった新港地区への参入などの意味があるのだと思うが、いかんせん、90系統の本数が少ないのが残念だ。シティー・ループと競合するからかもしれないが、せっかくハーバーフロントの観光地を通るのだから、もう少し本数や運行時間を増してほしい気がするし、東行便も、中突堤やメリケンパークを経由して、観光の足にもしてほしい。
 なお、そのシティー・ループは、中突堤中央ターミナルに戻る際に利用してみたが、乗降方式が変わり、前扉乗車の前払い(運転士に支払う)で、ICカード類も使えるようになっていた。そうなってもツーマン運行で、女性車掌によるガイドは健在である。

 これで乗りつぶしは完了した。他にも、通学専用便の新設もあるのだが、昨年度と同様、それらは乗りつぶし対象から省くことにしている。
 ただ、ちょっとした変化として、市バスの一部系統で、新たに民営バスとの共同運行が始まっている。これまでも、経営合理化の一環として、一部営業所の民間委託が実施されてきた。しかし、共同運行の拡大はこれまでにないケースだ。その様子も見ておく。

 神戸駅前のターミナルで、7系統を待つ。7系統は、新開地、夢野2丁目、山本通、三宮などを経て市民福祉交流センターまでいく路線であるが、これの一部便を、神戸交通振興が運行するようになったのだ。
 前を神戸交通振興のバスが通過していくので、これなのか、と思ったが、これは山手線に運用される車輌のようだ。ドア脇に「NOT!! CITY LOOP BUS」というステッカーが貼られている。観光ループバスの元祖のようなシティ・ループと同じ塗色なので、誤乗する外国人がいるのかもしれない。

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 やっとやってきた7系統のバスを見て、わたしは思わず噴き出しそうになった。 

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 これは市バスではなく、交通振興の車輌である。全面に、市バスと同じ塗りわけのバスマスクを取り付けているのである。共同運行をアナウンスしているのだから、そんなに偽装しなくても、と思う。何か卑屈な感じがするが、交通局が100%出資したいわば子会社だし、路線バス用の車輌も交通局から払い下げられているので、こうなるのだろう。
 車内自動放送も、市バスと全く同じものが使用されていたし、乗車券類も共通で使用できる。ただし、路線名は「神戸山麓線」という独自の名称を付けている。

 主に須磨区を運行する71(須磨一の谷~北須磨団地)・75系統(須磨一の谷~妙法寺駅)でも共同運行が新たに始まったのだが、こちらの相手は純粋な民営である神姫バスであるから、また様相が異なりそうだ。
 わたしは、須磨駅前から75系統に乗ってみることにした。住宅団地を通っていく系統なので、待つ列も長い。神姫バスは少数派なのだが、もう共同運行開始から一カ月以上経っているからか、あるいはアナウンスが十分にいきわたったのか、神姫バスの姿を見て驚いたりとまどったりする様子の人はいない。
 しかし、ここ須磨駅前の国道2号に神姫バスの定期路線バスが走るのは、いつ以来なのだろう。第二神明道路が開通する前は、神戸から西脇方面などの急行便もこの国道2号を通っていたはずだが、半世紀ほどぶりではないのだろうか。
 それ以来、市バスの牙城だった須磨駅前にオレンジの車体を迎えるのは、なかなか感慨もあるのだが、バスは坦々と走り、妙法寺駅に着いた。こちらは、さすがに一部の乗車券類が使えなかったり、割引が適用されなかったりする。

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 なお、7月からは、さらに2系統(元町1丁目・三宮神社前~青谷~阪急六甲・JR六甲道)でも神姫バスとの共同運行が始まる、と報じられている。これまでの共同運行は、郊外や新市域(垂水・北・西区など)で、元々民営バスのエリアだった所に市バスが後から進出したようなケースがほとんどだったが、旧市街の真ん中で共同運行が実施されるとは、驚きを禁じ得ない。
 2系統や7系統という若い番号でも分かるように、市バスのなかでも歴史の深い幹線系統である(71系統も、昭和52年の再編前は6系統という番号だった)。収益の状況も比較的いい。だからこそ参入する民営側にもメリットがあるのだろうが、時代は変わったものだ。

(平成30年5・6月乗車)

 

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