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2005年12月28日 (水)

「いなほ」脱線事故

※当記事の内容は、公開時点のものであり、最新ではありません。また、運賃・ダイヤなどについては各鉄道会社の公式サイト(JR東日本 など)をご覧ください。

 
 脱線事故から三日めになった。鉄道を愛好する者には辛い事故である。

 風が盛り土に沿って吹き上げたのが原因ということになってきているようだ。現場は、風速25メートルで徐行、30メートルで運転停止、という規制がかけられているそうである。この数字は、十分に余裕をもった値なのだろうか。相手は風なのだから、つかみどころがない。瞬間的に、風速計にあらわれない突風が吹く可能性は十分考えられるし、風の吹き方によっては風速計が捕捉できないような局地的な風速の上昇もあり得る。だから、これ以上吹くと脱線の可能性あり、という単純計算の値に比べ、かなりの余裕をみた、恐らくは半分くらいの値を規制の基準にしなければならないはずだが、さてそうなっていたのかどうか。よく分からない。

 この区間は、福井から鉄路北東北・北海道方面に向かうときの順路だから、何度となく通っている。数年前の厳冬期、寝台特急「日本海3号」青森行に乗って秋田に向かう途中、やはり最上川橋梁を渡った。

 この時も、強風のため運転規制がかかっていて、最上川橋梁の両側で列車が詰まっていた。風が弱まった時を見計らって、一本ずつ列車を渡しているのであった。前後には単線区間もあるため、「日本海3号」も一駅ずつ進んでは停まり、を繰り返す。やっと順番が来て最上川橋梁に出ると、川面には白波が立ち、河原の草は風に圧されて地面に吹き倒されている。雪が間歇的に窓にぶつかり、車体が揺れる。さすがに恐ろしくなり、さっさと渡り終えてほしいが、速度を上げると煽られやすくなるので、時速十五キロでそろそろと渡っている。線路の両側にはトラスがあるから、脱線したとしても川の中に転落することはないだろうが、不気味さにかわりはない。

 しかし、あれほど用心深く規制しているのに、現実にこんな事故が起きるとは思っていなかった。鉄道事故のときはいつも同じことを書くが、鉄道事故が珍しいから大きく報道されるのであって、クルマの事故に比べて鉄道事故による死傷者数は問題にならぬほど少ない。こういう事故が起こったからといって、鉄道という交通機関の安全に関する優位がいささかも揺るぐことはないのである。

 ここがそれほどまでに風に弱いのなら、いかに対策を施しても、事故の再発やダイヤの乱れによる輸送の障害は今後も完全には避けられない。抜本的には、妙な所に地下鉄を敷く暇に、ここの川底をくぐるトンネルを掘るしかないのではないか。あるいは、鉄橋とその前後の区間をすっぽり鉄の囲いで覆うことはできないのか。

 事故発生以来、特急「いなほ」も南はあつみ温泉、北は酒田で折返しとなっており、代行バスも運転しているが、この方面への旅行は控えてほしい、とJR東日本は呼びかけている。寝台特急「トワイライトエクスプレス」「日本海」なども運休したままだ。ここを通るのは真夜中なので、折返し運転というわけにもいかない。余目(陸羽西線)新庄(奥羽線)秋田、と迂回すればいいのではないかと思うが、そうしないのは何か不都合があるのだろう。

 上越新幹線~羽越線は、山形県沿岸部の中心都市酒田へのメインルートである。酒田の手前が不通というのは痛い。山形新幹線の新庄から陸羽西線というルートでも酒田へ行けるが、これも現場を通るルートなのでだめである。鉄道による迂回ルートは、秋田新幹線の終点秋田から南下する方法しかない。

 もっと深刻なのは貨物列車である。北前船の流れを汲む関西~東北・北海道間のコンテナ列車が多数走るルートだから、影響は大きい。恐らく新潟地震の時同様、東海道~東北線に迂回しているのだろうが、そちらも過密ダイヤだし、本州だけで五社の路線に跨がるルートとなるため、思うに任せないと想像される。正月用の食品の輸送に支障を来してはいないだろうか。

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