« 最後の授業 | トップページ | そもそもなぜ女性天皇論 »

2006年2月 8日 (水)

紅白出場と皇位継承

 秋篠宮紀子妃殿下がご懐妊とのニュースが伝えられ、大変悦ばしいことだ。 昨今の論議に影響があるのでは、との懸念もあるようだが、わたしはそれがよく分からない。

 一連の女帝論議を聞いていて、わたしがなぜか連想するのは、『紅白歌合戦』であった。

 『紅白歌合戦』のもつ力でも触れたことだが、継続していることに価値があり、それをもって存在感が他を寄せつけなくなっている番組である。これが天皇制と重なるのである。やめたらどうか、大きく変えてはどうか、という議論が常になされ、何かと批判もありながらも結局は続いているところも似ている。議論や批判がかまびすしいということ自体、度はずれた存在感の証である。『サブちゃんと歌仲間』(テレビ東京)を今後どうしていくべきか、なんていう議論が公の場でなされたという話を聞いたことがない。
 かつて『紅白歌合戦』に出れば歌手のギャラが一桁跳ね上がる、などと言われた時代があった。演歌歌手などは今でもそうなのかもしれないが、そういう権威は今の紅白にはない。まさにその年の歌謡界の「象徴」のような存在である。立憲君主制から象徴天皇制に変質したようなものだ。

 紅白が時代に従って変質せざるを得なかったなかで、出場歌手の傾向も移り変わってきた。そこに賛否両論もあった。そして、今ふり返ると何だか意味の分からない出場歌手もいるわけである。
 書籍『怪物番組紅白歌合戦の真実』に載っている歴代紅白の出場歌手一覧表を参照してみよう。いずれも初出場の歌手だ。

第38回(昭和62年) 佐藤しのぶ/金子由香利/竜童組/チョー・ヨンピル/谷村新司 他

 紅白が方向を見失うことになるのはこの年からだ。クラシックが紅白のような種類のお祭りに相応しいとは思えないし、クラシック界を代表するのがなぜ佐藤しのぶなのかも不明だ。金子由香利も同じ。芸能界にファンの多いシャンソン歌手と前評判は高かったものの、初めて生放送で聞いた歌は酷いものだった。シャンソン歌手というよりは、シャンソン歌手の物真似が上手な芸人、という感じであった。それを確認できたのは収穫だったが。チョー・ヨンピル谷村新司はそれまでに多数のヒットがあって遅きに失したほどで、谷村はその後常連として定着しているのでまあ納得だろう。竜堂組は全く意味不明。
 視聴率は大きく落ちた。もっとも、この年の「名曲紅白」路線はわたしは好きである。この年の歌唱曲の半数以上がわたしのレパートリーになった。

第40回(平成元年) キム・ヨンジャ/由紀さおり・安田祥子/パティー・キム/伊藤多喜雄/アラン・タム/市村正親 他

 38回の不評は方針の発散からくるもの、と後からみれば分かるのだが、巻き返しにとさらに外国勢を増やしたりジャンルを拡げたりしている。そりゃ市村正親はミュージカル界を代表する人だが、紅白にねえ。本人も、「出場決定を知らされた時どっきりカメラかと思った」とコメントしていた。

第41回(平成2年) オユンナ/シンディ・ローパー/宮沢りえ/EVE/福士りつ/鮫島有美子/吉田栄作/ガリー・バレンシアーノ/アレキサンドル・グラツキー/ポール・サイモン/G-クレフ 他
第42回(平成3年) ライマ/サラ・ブライトマン/スモーキー・マウンテン/ザ・ベンチャーズ/とんねるず/アンディ・ウイリアムス 他

 もういちいちコメントするのも面倒、という感じになってくる。ポール・サイモンアンディ・ウイリアムスというワールドクラスに一気に跳ぶなら、その途中に他にも出すべき人はいるだろう。G-クレフの音楽は滑らかに心地よいけれど、「歌」合戦じゃなかったのか。
 この次の年あたりから紅白は正気を取り戻していくことになる。が、最近になっても、わけのわからぬユニットとか、お笑い芸人を無理やり歌手に仕立てたりしたような、本道を外れて説明不能な人選が毎年問題になる。

 こんなにふらふら落ち着かないだけの紅白なら、こんなに続かなかったろう。紅白にはちゃんと「本筋」があるのだ。四半世紀前、第32回(昭和56年)の出場者には、こういう人たちがいる。

川中美幸/石川さゆり/小林幸子/細川たかし/森進一/五木ひろし/北島三郎 他

 こういう「本筋」が変わらず守られていることが継続と伝統を支えているわけである。単に、これらの個々の人たちが現在も常連である、ということよりも、こういう層が紅白のなかで果たす役割が確固としてある、ということが大切なのだ。

 さて、廻り廻って皇位継承。女性天皇はあくまで寄り道だったのである。男系男子という本筋があったからこその皇室の尊厳なのだ。それを否定して天皇制でもないだろう。

(この話題、続く) 

|

« 最後の授業 | トップページ | そもそもなぜ女性天皇論 »

7.2.1  歌謡」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/129332/8570144

この記事へのトラックバック一覧です: 紅白出場と皇位継承:

« 最後の授業 | トップページ | そもそもなぜ女性天皇論 »