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2006年6月21日 (水)

学習・教育目標アンケート雑感 上

 JABEE委員であるもので、年度初め恒例の、学習・教育目標に関するアンケートの処理をわたしを含む委員二名で担当した。

 選択式の設問は機械的に統計処理できるので、こちらはパソコンの使用に長けた、ペア相手の委員にお任せし、わたしは記述式設問の分析処理に挑んだ。これをするのは今年度が初めてである。昨年まではコメントは書かせっぱなしだったのだが、これでは学生さんも手応えがないだろう、ということで、今年度は全てのコメントにJABEE委員会としての回答を返すことにしたのである。この回答はほどなく本科四・五年の各クラスルームと専攻科棟のしかるべき場所に掲出されることになる。

 しかし、コメントを読んでいくうち、大丈夫なのかうちの学校は、と思わされることも多かった。

 気になるのは、コメントを書いている学年が、半数近くが本科4年であり、学年が上がるほどコメントの数が少なくなっていることである。専攻科2年のコメントなど、数えるほどしかない。もちろん本科と専攻科とでは学生数も違うから、専攻科の方が少なくなるのは自然でもあるのだが、JABEEプログラムを実際に受けてきて、間もなく修了しようか、というなかで、学習・教育目標についての実際的な批判や提言がもっとあってもいいのではないか、と思う。

 本科生の多くが、学習・教育目標が授業に反映していない、これではとても達成できない、という不満や不安を漏らしている。これは無理もないことであり、35の小項目のうち、それを主な到達目標にする授業が専攻科で初めて出てくる、という小項目が10ほどもあるのだ。特別研究の中でのみ涵養されるような小項目も少なくない。だから、本科ではそれらの小項目を達成しつつある、という実感が湧かないのであり、これについては、専攻科修了までには全ての小項目が達成できるようなカリキュラムになっているんですよ、ということをもっと明確に説明する必要があろう。
 小項目を見て、現実とかけはなれた理想を語っているのでは、という指摘も本科生から多かった。しかし実際に、小項目の全てが達成されなければ専攻科修了を認めていないのであり、現実から遊離しているわけではない。これも説明によって理解を求めるしかないだろう。
 専攻科生からのコメントが少ない、というのは、JABEEへの諸対応に対する実感的な理解が深まってき、学習・教育目標についても妥当なものと考えてくれている、と解釈していいのだろうか。それとも、日々の研究とJABEE修了要件を満たすための勉強に忙殺されて、目標など意識し考える暇もない、ということなのだろうか。あるいは、JABEEに対しすっかり諦観して、今更何を言ってもしかたがない、と考えているのだろうか。このあたりの本音をもっと訊いてみたいものである。

 学習・教育目標の文言に関する指摘もあるが、具体性に欠けるので、言いたいことがよく分からない。日本語として変だ、ということを書いている本科生もいるが、小項目に関しては、練りに練ったうえで、最終的にわたしが表現の調整を行って、自然で理解しやすい日本語表現にしたから、断じて変ではない。五箇条の大項目のことを指して変だと言っているのだとしたら…、以下ノーコメント(大項目はわたしのチェックは入っていない)。もっとも、漢字が多い、などという指摘もあったから、要するに学校の目標などという公の言葉の最たるものに要求される品格というものが分かっておらず、そういう言葉に触れたことがないので、異界の言葉に見えるのだろう。日常会話のような表現で学校の目標を書くわけにもいかない。これは学生の言語感覚が鈍く偏狭なだけである。
 小項目C(1)に関して、意味が分からない、と書いている学生もいた。C(1)は、中学生でも理解できる語彙しか使っていないし、構文も全く単純だ。文字どおりの意味ではないか。

 まあそれにしても、コメントの書き方というのもあるというものだ。次回はそのへんをさらに詳しく。 

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