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2006年6月 3日 (土)

歯医者復活

 今週の初めごろから歯が痛みだした。
 これは今までになかったことだ。わたしは虫歯というものにほとんどなったことがなく(特に永久歯は皆無)、歯はけっこう丈夫な方なのだ。歯医者には四半世紀ほどかかっていない。
 歯茎が痛むことはよくあった。歯と歯茎の隙間に入った食べ物から菌が繁殖するのだろう。これは歯並びが悪いからだと思われる。たいていほっとけば数日で治る。ちょっと化膿したりすると厄介だが(四半世紀前に歯医者に行ったのはそのため)、殺菌作用のある歯磨き粉で付け根を中心に磨くようにしているので、それほどひどくはならない。
 しかし、今回の痛みはいつものと明らかに違う。歯茎は腫れていない。歯そのものが痛んでいるようで、痛みの種類がずきずきではなくどよーんという鈍痛だ。周囲の顎や頬の骨にも痛みが反響している。これってもしかして虫歯なのか? 虫歯になったことがないから分からない。今まで罹らなかった虫歯にこの歳で急に罹ったりするんだろうか。
 とにかく分からないのは不気味なので、医者に診てもらうことにし、昨日出かけた。

 長い間歯を専門家に見せてないわけで、大分汚れてるのではないかと思い、ちょっと恥ずかしい。四半世紀前も、歯の裏側の歯石だか歯垢だかをついでに掃除してくれたように思う。とにかく歯ががたがたなので、隙間に汚れが溜まりやすいのだ。今回もこれを機会に歯をきれいにしてもらおうと思う。

 何で歯医者だけは予約が要るのか、未だに釈然としない。今歯が痛いのだが、助けてはくれないのだ。数日おいといても命に別条はない、ということだろうか。とにかく一昨日予約して、昨日診てもらうことができた。
 衛生士さんに歯をチェックしてもらい、レントゲンも撮ってもらった。指示された被告席のような椅子に坐り、言い渡しを待つ。恐ろしげな記事が書かれたポスターしか読む物もない。
 戻ってきた衛生士さんによれば、左下の親知らずが酷い虫歯になっている、という。
 そう言われれば心当たりがある。半年ほど前、おかきを食べているとき、その親知らずの天辺が少し欠けたようなのだ。それで、その歯に舌で触っても分かるほどの大きな窪みができた。どうしてもそこに食べ物が溜まってしまう。歯を磨けば取れるが、そうそう日に何度も磨いてもいられないから、いかに歯が強くてもそこで菌が繁殖しやすくなっていたのだろう。窪みの奥で少しずつ虫歯が進行していたようだ。
 衛生士さんは、もうこの歯は抜く方がいい、と勧めてくれた。しかし、下の歯を抜くとあとあと痛みが残るので、今すぐでなくても、よく考えてからでいいですよ、無理に抜いたりはしませんから、と言ってくれた。さらに、歯肉炎を頻発する一つの原因が、噛み合わせが悪くて左上の親知らずの先が常に歯茎に当たっていることにあるようだったので、こちらも抜いた方がよい、これは今からでも大丈夫、と言う。
 そこで、わたしも腹をくくり、上の歯を抜いてもらうことにした。家を出るときはこんなつもりは毛頭なかったのだが。

 先生に代わって、局部麻酔をかけてもらい、椅子に仰向けになる。恐怖心をあおらぬためか、ここからは先生も行程を説明してくれなくなる。麻酔が利くのを待つ間、さきほどわたしの歯から採取したプラークとやらを顕微鏡で見せてくれる、というので席を立った。ちょっと頭がふらつく。
 顕微鏡の映像では、二種類の細菌がうごめいているのが見えた。いずれも槍は持っていなかった。見せられただけで椅子に戻らされた。口の中の細菌を見せることで、衛生の意識を高めようという狙いらしい。
 口の左側が痺れてきた頃を見計らい、先生が戻ってきた。いよいよらしい。何やら歯を摑んでごそごそしているらしいことは分かったが、全く痛みもなく、あっけなく歯は抜けていた。神様にもらった体を傷つけてしまってよかったのか、と整形手術でもしたような気分になる。先生が、抜いた歯をお持ち帰りになりますか、と訊いてくれたが、辞退した。

 下の歯を抜く日を予約して歯科を辞した。こんなに簡単に抜けるんなら、どんどん抜いてもらっていいような気になるから、不思議だ。不恰好な前の出っ歯も抜いてもらおうか、と思うほどだが、調子に乗ってはいけない。
 先生は、麻酔は一時間ほどで切れ、血は三十分ほどで止まる、と説明したが、二時間経っても違和感と鉄分の匂いが口の中に残った。食べ物の味もよく分からない気がする。麻酔は解けたが、なんとなく体の左半分がふわふわしてる感じが当日夜まで続いた。さらには、翌日の今日になると何と、抜いたはずの歯に物が挟まっている幻覚に悩まされておる。こういうのは抜いた当座より、後々のほうが厄介なようだ。

次回はどうなる。

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9.6  傷病と生き方」カテゴリの記事

コメント

歯を抜いた後のなんともいえない違和感、私も体験したことがあります。私は歯医者さんで、「ちょっとチクッとしますよ」といわれて激痛だった経験があるので、歯医者さんにはなかなか好印象をもてません。たしか古文でも歯を抜く話があったと思います。長年付き合う歯ですから大切にしてやりたいものですね。次の歯の時もがんばってください。

投稿: かわやん | 2006年6月 3日 (土) 20時38分

 どうも激励ありがとうございます。
 歯を抜いたり差したりするのは、最古の人体改造かもしれませんね。ここまで頑張ってくれた歯に感謝しながら、次回に臨みます。

投稿: まるよし | 2006年6月 5日 (月) 18時46分

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