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2007年1月26日 (金)

マンガ家は大学で育つ

 いろいろと凄惨なニュースが多いわけで、被害者の方にはまことにお気の毒で、ご冥福をお祈りしたいのだが、それはそれとして、ニュースの本筋と異なるところが気になったりもする。

 大学にマンガ学部というのができていたのだなあ。しかも、マンガを研究するのではなく、マンガ家になろうという学生が入学するのだなあ。それも、大学にまで行ってマンガをやろうというから、オタクっぽい感じを想像していたら、語られる被害者学生の人間像がなかなかの好青年であるのも意外である。

 この学部の彩図で組織やカリキュラムを見てみると、学部は三つの学科に分かれている。マンガ学科、マンガプロデュース学科、アニメーション学科、と何か片仮名ばかりで目がちかちかする感じだが、おそらく被害者の学生はマンガ学科なのだろう。この中はさらにカートゥーンコースとストーリーマンガコースとに分かれる。いずれも、徹底したデッサンの訓練からシナリオ作法までをみっちり学ぶようである。
 ただ、やはり問題になるのは卒業後の進路であろう。卒業生が全員マンガ家ととして独り立ちできるわけもなく、どういう所に就職させるのか、苦労するのではないだろうか。

 やはり、違和感を覚えるのは、ある職業のための技能習得というのが、はたして高等教育機関の果たすべき使命なのか、という根本的な疑問である。これは今までいろいろ形と場所を替えて問うてきたことである。
 わたしは教員養成系の学部を卒業しており、そこで行った教員になるための諸技能の習得、殊に授業や生活指導の技術の訓練などは、もちろん現在とても役に立っているのであるが、それは「大学」でやるようなことなのだろうか。戦前の師範学校のような専門学校でやるほうが理に適っているように思えてならない。
 ましてマンガとか美術とか音楽とか、プロの表現者を目指す人は、大学という場で中途半端に学問に足をつっこむより、専門学校のような場所で切磋琢磨するほうがふさわしいのではないのか。いくら技術や知識を習得しても、きりっと光るセンスがなければプロにはなれないのだし。

 しかし、単にマンガ家を目指す、と言うと親や周囲に反対されるが、大学のマンガ学部に行く、と言えば、風当たりは和らいだりするのだろうなあ。そう何でも大学に使命を持ってこないでほしいんだがなあ。
 マンガ学部という非常に分かりやすい名称も幸いしたのだろう、マンガ学部が非常に高倍率である、と漏れ聞いて、考えさせられる。実際に就く職業は、イラストレーターだったりデザイナーだったり美術の先生だったりするんだろうけど。わが高専も、ロボット科とかゲームプログラム科とか家造り科とかいう名前にした方がいいのだろうか。

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コメント

漫画を学問することと,漫画家になるための修行をすることはまったくべつものですよね.
同じように高専でも,資格を取ることは学問ではないと思いますし.

投稿: 真面目な軟派師 | 2007年1月26日 (金) 23時00分

 そうなんですよ。国文学科に小説家になるために入る人はいないわけで(個人的にそういう野望をもってることはあるだろうが)、学問を修めることと知識や技能を習得することとは、全く関係ないわけではないが、同じでもない。そうなると、「工学」とは何か、という根本的なところが問われますけどね。

投稿: まるよし | 2007年1月27日 (土) 06時59分

 工学は,純粋な学問領域と生活とを結びつけるインターフェイスのようなものだと思っています.
 物理や数学の数式であそぶだけでは生活の役に立ちませんが,その数式を利用して生活を豊かにするのが工学の役割ではないかと.
 だから僕のイメージでは「理学」は学問だけど「工学」は学問ではありません.

投稿: 真面目な軟派師 | 2007年1月27日 (土) 19時17分

 そうですよね。卒研発表とか、高専の紀要などを見ていても、工学で研究論文を書くのはなかなか困難だな、という気がします。実験レポートは書けますけどね。敢えて論文を書けば、それは物理学になってたり数学になってたり哲学になってたり。だから何でもありでリベラルではあるんでしょうが。

投稿: まるよし | 2007年1月27日 (土) 22時58分

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