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2007年1月28日 (日)

環境に優しいライダー

 仮面ライダーというものは、バイクに乗るからこそライダーという名がついているのだと思っていた。実際歴代の仮面ライダーは、変身の前後を問わず、救いを求める人を助けに行くにせよ、怪人を追うにせよ、その移動手段はなべてバイクであった。
 ところが、このほど放送開始となった新シリーズのヒーロー、仮面ライダー電王は、史上初めてバイクに乗らない仮面ライダーである。これには驚いた。思わずまるよしくらぶに緊急連絡を流したほどだ。では何に乗って移動するのか、というと、わたしがわざわざ記事にとり上げていることと、「電王」という名前から嫌な予感がしている読者も多いだろうし、多分その予感は当たっているわけだが、乗る物が変わると、当然ながらキャラも変わる。

 このライダーの変身前を演じるのは史上最年少17歳の俳優さんだそうで、自然と設定もそういう年齢となる。どちらかというと男臭さで暑苦しいほどだった1号の藤岡弘、さんのイメージとは似ても似つかぬしゅっとした美少年である。発達途上の高校生の年頃ということもあり、これまでの典型的なヒーロー像に反して、自分に自信がなく、追い詰められると気を失う癖があるのだそうだ。戦う相手はショッカーの怪人というような分かりやすいものではなく、不可解なことに形のない精神存在のようなものらしく、どう戦うのか見ものである。

 ヒーロー像の変化というと、ウルトラマンシリーズでも、数年前に放送された『ウルトラマンコスモス』では、「非暴力」を旨とするウルトラマンが誕生したのを思い出す。怪獣を投げ飛ばしたり光線で爆破したりせず、説得によって地球から退去させる、という画期的なウルトラマンであった。
 時代が変わっていくにつれ、ヒーローもその姿を変えていかざるを得ない。子ども向けの番組の主人公は、時代時代で望ましいとされる教育を子どもに施す使命を帯びているからだ。地球、というか、日本の世情の変化に即応してそれに見合ったタイプのウルトラマンを次々派遣してくるとは、M78星雲のマーケティングリサーチは的確であり、また人材も豊富であるようだ。
 もっとも、ウルトラマンコスモスの場合は、非暴力キャラにもかかわらず、主演俳優が暴力沙汰で訴えられて放送継続が危ぶまれる、という笑えぬ事態も起こった(結局無実につき不問とされ、放送は継続した)が。
 それに、実際には、説得といっても、怪獣が抵抗・反論しようとすると、光線で苦痛を与え抑えつけては説得を続ける、という傍目にはいじめともとられかねない方法だったので、非暴力と言っていいかどうか、疑問は残る。

 さて、仮面ライダー電王だが、高校生ゆえに、400ccのバイクまでしか乗れないし、多分学校でも免許取得が禁止されていよう。そういうわけで、普段の移動手段は自転車である。排気ガスと騒音を撒き散らすバイクは、この個人主義と環境保護の世にあって、ついにカッコいいものではなくなってきたのであろうか。
 そして変身後に精神存在と戦いにいくときの移動手段は、なんと電車なのである(もちろん、自分で運転するとかではなく、客として乗る)。シリーズ史上初めての、公共交通機関を利用する仮面ライダーの誕生である。ただし、この電車はわれわれが日常乗る電車とは違い、時空を超えて走る「デンライナー」と呼ばれる特殊なものだそうだが、それでも電車は電車だ。しかもその電車の車掌を演じるのは、『世界の車窓から』のナレーションで知られる石丸謙二郎さんだというオチまでついている。あるくらぶ員の意見では、痴漢冤罪事件に巻き込まれたり鞄の中のノートパソコンやサンドイッチがつぶれることにおびえながら電車通勤しているプロデューサーの思いつきではないか、ということである。
 また、別のくらぶ員では、次の代になると、素顔で戦うようになるのではないか、と心配する者もいたが、それだと「仮面」ではなくなるので、いくらなんでもそうはならないだろう。電車に乗るのも動詞はrideであろうから、「ライダー」という名前がはずれているわけではないのである。
 それにしても、自転車と電車を駆使し正義を愛する繊細な若手イケメンヒーローというキャラは、まるでわたしそのもので親近感をおぼえるので、久しぶりにこの番組を観てみようかななどと。

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