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2007年2月28日 (水)

二次創作なのか盗作なのか 上

 二次創作という語を初めて聞き、そういうものを論じるための臨時一語かと思ったのだが、 検索してみるとけっこう出てくるし、知らない間に人口に膾炙している概念のようだ。この概念の外延がどのへんまで拡がっているのかは当然よく知らない。わたしがこの語の字面を見てまず思いついたのは、一次創作である文学などの文章に対して、感想文章や書評がそれにあたるのかな、という国語教師らしい発想である。しかし、そうではなく、普通は、一次創作されたものの設定や世界観などの枠組を借りて、新たなストーリーなどを編んだもの、外伝的であったりパロディ的であったりするようなものを指すようである(ただ、そうと知った後でも、わたしは感想文章や書評をも含めていいのでは、と考える。通常そういうものを「創作」とは見なさないから含めないのだろうが、わたしは、そうした文章にも多かれ少なかれ創作の要素はあると思うからである)。

 この記事は、ブログ『∀∀'s daily life』中のエントリー「「描きたい私たち、読んでほしい私たちの二次創作同人」について思ったこと」にトラックバックしています。

> 少なくとも俺は、読み手として一次創作か、二次創作かというだけで
> 優劣をつけず、どちらも楽しませてもらっていることに感謝しているし、
> どちらの作り手も尊敬しています。極端な話、ネタを他人が楽しめる
> レベルにできたら、一次創作か二次創作かなんて属性の一つに
> 過ぎないんじゃないかとも考えている。
> いい作品から派生が生まれるのは自然なことで、それは想像の余地
> みたいなものであり(作者が想定したものも想定していないものも
> ありますが)、楽しめる人がいるならそれはいいことではないでしょうか。

と∀∀さんは言う。
 わたしは少々違って、二次創作単体の価値が一次創作を超えることは本来的にあり得ない、と考える。二次創作をいかに楽しめたとしても、それは一次創作の枠組が存在し、さらにそれがかなりの知名度を有しているからこそ、楽しめたものだからである。暗黙のうちに当然のものと考えておく背後の設定、というのは一次創作の力があって初めて追及ないしつっこみを免罪されるのである。一次創作か二次創作かは、並べ論じるべき二つの属性ではないと考える。
 まあそれでも、結論としては∀∀さんと変わらないわけではある。二次創作が、ベースとする一次創作を尊重しつつ極力それに近い質を保つよう気を配りながらつくられる限り、「楽しめる人がいるならそれでいい」と思う。もっとも遺憾ながら、素人の二次創作にそんな質のもの、少なくとも不特定多数の人が楽しめるようなものが、ほとんどないこともまた容易に想像できる。それに、二次創作の作者が後ろめたさを感じるのは自然なことだし、一次創作者への敬意はもつべきだろう。そして、二次創作された作品に対して、一次創作に負う部分に限っては一次創作者に発言の権限があると思う。

 わたしは、川端康成の『雪国』のかずかずの文体パロディ群作を大学時代に書いて、友人に回し読みして一部の方のバカ受けを得た(その群作には評論、もちろん大ボケ評論だが、それも含まれていたし、実はこの評論が最も大笑を誘った)。無論、これは『雪国』という作品が超有名であり、冒頭部の一節は多くの人が暗誦できるほど知られている、という前提のもとに、ギャグが成立したのである。これを最近になって現役の高専生にも読ませてみたが、やはり床にぶっ倒れて大笑していた。
 こう書くと、その群作を読みたい、という読者もいるだろうが、これをこのブログなど公の場に掲揚する気はない。仲間内で回し読みしているうちは差し支えないのだが、同人誌にして売るだとか、Web上に公開して不特定多数の目に触れさせる、となると、たちまち著作権の問題があらわれてくる。そして、二次創作物の著作権の捉え方に明確な共通理解が成立しているとは思えないからである(しかし、『まるよし電車区』の「わたしの一筆書き」シリーズはどうなるのであろうか。宮脇俊三氏の『最長片道切符の旅』に触発された旅であり、文体も影響を受けている。でも、違う人間が違う時期に旅しているのだから、当然内容も異なる。こういうのは二次創作に入るのだろうか。そう考えると、曖昧な概念だ)。

 これが、著作権が金に直結するメジャー界の場合、さらに事態は昏迷することになるが、長くなった。メジャー界の事例は記事を改めてみることにしよう。
 明日もまた、見てくださいねー。んーが、くっくっ

(つづく)

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