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2007年5月22日 (火)

私的解題(encore) 「乙女のワルツ」

 では、アンコールにお応えして(笑)、もう一回私的解題をやることにしよう。

 前回に続いて「乙女のワルツ」がタイトルに挙がっている。もう一つ別の曲を期待した読者には申し訳ないが、このシリーズは、私製MD『サッコ フェイバリット』に収録した曲をその順に紹介していく、というコンセプトになっている。このMDの最後には、「乙女のワルツ」が二回繰り返して入っているのである。いつもいつも「乙女のワルツ」を聴いた後、もの足りなくてもう一度聴きたくなるのが常であったため、最初から二回入れておくことにしたのである。

 以前の回で、サッコナンバーには有名な曲のアンサーソングと思われるものがある、と述べたことがあった。この「乙女のワルツ」がそれである。では元の曲は何か。

 実は、院生時代にベストCD『なんてったってアイドルポップ』を買い、改めて「乙女のワルツ」を聴いたときにふと思いついたのだ。当時指導を受けていた修論指導教官の愛唱歌であった「ゴンドラの唄」(作詞:吉井勇 作曲:中山晋平)に感じがとても似ているのではないか、と。
 試しに、サッコナンバーなど一曲もなかった当時のレーザーディスクカラオケで、「ゴンドラの唄」の伴奏をかけて「乙女のワルツ」を歌ってみると、けっこう違和感なく歌えてしまった。それで、「乙女のワルツ」は「ゴンドラの唄」のアンサーソングだとわたしは勝手に決めつけることにした。歌詞もオトメ(「ゴンドラの唄」は「少女」の表記で「おとめ」と訓ませる)つながりで呼応している。恋をしなさいよ、と呼びかけられたオトメが恋してみたら、こんなことになっちゃった、という感じ。「ゴンドラの唄」の歌詞は、検索すれば見られる彩図が多数出てくるので、引用は省略する。

 「ゴンドラの唄」は、元々舞台『その前夜』(ツルゲーネフの小説が原典)の劇中歌として作られたものである。ロシアの良家に育ったヒロインが革命家の青年に惹かれ逃避行に出るが、その途中ベネチアで青年が病気で斃れ、ヒロインがはかない恋を唄うのだ。ベネチアだからゴンドラがタイトルになっているが、歌詞にゴンドラは出てこない。この曲は元の劇を離れ、恋を唄った一つの歌として大正時代を代表するヒット曲となり愛唱された。その後、昭和27年の映画『生きる』(監督:黒澤明 主演:志村喬)の劇中歌にもなったため、世代を超えたスタンダードナンバーとなっている。
 「ゴンドラの唄」と「乙女のワルツ」との曲としての共通点は、ワルツであることと、ヨナ抜き音階であることの二つだが、そういう曲はジャンルを問わず数多く見うけられる。この二つを満たして曲を作ろうとすると、メロディの流れ・コード進行・曲構成などのパターンがどうしても限られてくるのだろう、どれを聴いても似たような感じに思えてしまう。五木ひろしさんの「千曲川」のカラオケ伴奏でも「乙女のワルツ」が歌える、という話をひまわり隊員から教えていただいたこともある(かつてサッコナンバーがカラオケになかった時代が長かったため、ファンは何とかして歌おうと苦心を重ねてきたのだ)。
 わたしの感覚では、「テネシーワルツ」~「ゴンドラの唄」~「乙女のワルツ」~「都忘れ」~「千曲川」~「早春賦」~「琵琶湖周航の歌」の順で類似の連鎖があるように思う。「都忘れ」は谷村新司さんの曲だが、最初と最後の二小節半がまるきり「乙女のワルツ」と同じである。
 なお、これらの曲のなかでは、「テネシーワルツ」「早春賦」にはファが、「琵琶湖周航の歌」にはシが出てくるので、厳密なヨナ抜きではないが、基本的にはヨナ抜き音階風である。

 ヨナ抜き音階とは、「蛍の光」の話でも紹介したが、相対音階で「ファ」と「シ」の音が出てこない音階のことである。「ド・レ・ミ・ソ・ラ・ド」と歌ってみると、それだけで和風の響きがする。必ずしもこれが日本特有の音階というわけではないようだが、たまたま日本で親しまれている曲にヨナ抜き音階のものが多いため、この音階は日本人に懐かしさを感じさせることが知られている。
 また、やはり以前紹介した「ラソミの法則」にも、「乙女のワルツ」はあてはまっている。日本の童謡・唱歌に多い「ラソミ」というメロディはこびがまた、日本人を惹きつける力をもっているわけだが、「乙女のワルツ」は1コーラスに実に八回ものラソミが含まれる。
 このように、「乙女のワルツ」には何度も聴きたくなる依存性(笑)が内蔵されていたのである。

 「乙女のワルツ」はシンプルなメロディだけに、その盛り上がり方は非常に分かりやすく、メロディが高音域にいくところが、声も張られて感情が高揚するのである。前回も引き合いに出したが、

それで愛が哀しく 消えてしまった

から 哀しく のところでメロディはオクターブ上がる。ここの昂りの心準備をしていると、愛が が下がりきらず音程を外してしまいがちになる(前記事の麺類部ドリーム例会でも歌ったがその時もそうだった。動画公開期間は終了しました…笑)。
 レコードで聴くアイドル時代のサッコさんの歌も、多少そんなところがみえるのだが、現在の歌唱ではそんなことも気にならず、声のコントロールがきちんとできているのが分かる。やはりこの曲も多くの人にライブで聴いてほしい。

 昨年4月の越谷らぽ~れ昼の部ライブのトーク中、客席のあちこちから「乙女のワルツー!」とリクエストの声が飛んだのを思い出す。マニアと一般のお客さんとでは、曲の評価にギャップがあるのが常だが、「乙女のワルツ」だけはどちらにもウケがよい。曲と歌唱の完成度の高さとインパクトの大きさがよく分かる。

 ああ、二回かかって「乙女のワルツ」を語っても、わたしのこの曲への想いはうまく言葉にできない。自分でも分かっているのだ、この二回、表現が陳腐になっていることが。しかし、常套句以外に的確な言い表しようがないほどストレートな愛情なのである。語れば語るほどもどかしさが嵩じてきそうなので、いい加減にしておこう。

 さて、一年以上にわたってお読みいただいた私的解題シリーズ、今回で正真正銘の完結である。シリーズは終わっても、サッコさんの歌にはずっとずっと魅せられつづけると思うし、皆さんにもそのすばらしさを語りつづけたいと思う。サッコさんの存在がどれだけわたしの生きざまを豊かにし、支えてくれていることか。感謝と感動を空に向かってまっすぐに叫びながら、シリーズのおひらきとさせていただく。 

 サッコさん最高! サッコソング永遠に! ひまわり隊万歳!
 
ご笑覧ありがとうございました。

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