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2007年5月 2日 (水)

スポーツ特待生

 うーん、これは難しいね。是なのか非なのか。野球はだめで他の競技はいい、というのも変な話である。入試での優遇と入学後の奨学金の問題が複雑に絡んでくる。

 ただ、確かに言えることはある。

 営利企業であるプロ野球球団が、まだ学生である選手やその家族に、何らかの約束をして金銭を渡す。これはよくないだろう。企業の論理を教育の場に持ち込むということには反対である。しかしこれと、学校が自分とこの生徒や学生に、教育方針に基づいた優遇をする、ということとは、全く違うのである。

 今はAO入試というのも珍しくなくなった。スポーツ特待生もその一角と位置づけられ、部活動などの実績をもとに合格させる、ということは問題ないだろう。
 問題は、奨学金の支給を約束して勧誘すること、ということになる。入試の合否と入学後の奨学金受給の有無とは、切り離すべきである。しかしそうはいっても、入試の合否基準も奨学金受給資格の基準も、その学校の方針に基づいて決めるものだし、両方の基準をすり合わせれば、いくらでも実質的に奨学金を約束できることになる。特に入学年度の奨学金は、前の学校での実績をもとに支給するかどうかを判定するだろうから、結局入試の基準と重なってしまう。

 入学後、クラブ活動で実績を上げていれば、ろくに授業に関する勉強をしていなくても進級・卒業できていくのだとすれば、これもまた問題である。昔の六大学野球のスター選手は、試験に名前を書けば合格になった、という真偽は知らないがそんな伝説もある。が、これがまかり通るようではいけない。やはり、学業をおろそかにしてクラブ活動に入れ込んだ者が無事卒業できるのは学校としては本末転倒であって、正規の課程をきちんと修めてこそ卒業できるのでなければならない。
 しかし、これにも抜け道はあって、大学で卒論やゼミが名目上は授業単位になっていたりするのと同様の感覚で、現在は高校でも比較的自由に選択科目の設定ができるから、クラブ活動の部分を選択科目扱いにして、必修科目の負担を減らしてやる、という操作はある程度可能である。

 こうみてくると、なかなかこれは規則で縛ったりするのは難しいことである。各校の教育方針とモラルに頼るしかなく、そういう制度をよろしくない運用をしているような学校は、長い目でみれば、教育が崩壊していき、生徒や学生が集まらなくなっていく、というかたちの自然淘汰を期待することになるのではないか。
 わたしも、スポーツ特待生制度が全面的にいいものとは思わないが、今回のように、高野連が一律に排除するというかたちで現場の教育に介入するのも、ちょっと行き過ぎではないかと考える。

 わが校においては、ものづくりに関する実績をあげた中学生には、通常と別枠の推薦入試制度を設け、優先して合格させている。奨学金は入試とは関係なく、成績と家庭の経済状況などの所定の条件のみで支給の可否を決めるし、課外活動の実績と成績・進級の判定も無関係である。まあ国立だから当然といえば当然だ。
 学生会役員や新年度行事の実行役に選ばれれば進級させてもらえるのではないか、と仄かな期待を抱いて、勉強よりもそちらに選ばれることに力を注ぐ学生もいるようだが、実際にはたとえそういうものに選ばれても、成績が悪ければ当然留年させている。ただ、選ばれたことで、どうしても進級しなきゃ、と思って年度末の勉強に猛然と取り組む、というケースもみられ、これはまあ微笑ましい。
 ということで、わが校の実態は、どこに出しても恥ずかしくないようではある。

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