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2007年6月 4日 (月)

羽田健太郎さんを悼む

 けっこうベテランのような気がしていましたが、やっと還暦といったところだったのですね。

 羽田さんには、一方的にお世話になりました。十数年前にNHK教育の趣味百科シリーズで放映された『服部克久のピアノでポップスを』をずっと観ていたからです。

 中学生の女の子と小学生の男の子、それに二人の両親という四人家族の家に、服部さんがピアノを教えに来る、という設定の番組でしたが、そこに、なぜか滅法ピアノの上手な隣のおじさんとして乱入していたのが羽田さんです。同番組の課題曲は服部さんと羽田さんが分担して編曲・指導しておられました。
 わたしも幼稚園の頃にちょっとだけピアノを習ったことがあるので、指の動かし方の基本の基本ぐらいは身についていたのですが、バイエルも終わっていないのでは、弾けるうちに入りません。まして、クラシック曲など及びもつきません。しかし、指が覚えている味気ない練習曲では飽き足らないので、ちょっと洒落た曲でも弾けたら楽しいのになあ、と思っていた頃に、具合よく放送された番組でした。早速ピアノ、というわけにもいかないので、キーボードを購入してこの番組を観はじめたのでした。
 番組の課題曲のなかでは、わたしは羽田さんの編曲した曲のほうがしっくりと指に馴染む気がしました。恐らく、羽田さんは、初心者がちょっとやってみたいこと、苦手なこと、つまずきやすい所など、そのあたりの心理を慮るのが上手かったのでしょう。最小限の音と易しい指遣いで、最高にかっこいいサウンドを創り出してくれていたのでです。服部さん編曲の曲では、ちょっと小難しいテクニックなどが使われていて、わたしにはとっつきにくい感じがしました。もちろん、それはそれで中級の人にはよかったのかもしれませんし、番組全体の柔らかなムードを演出してくださっていたのは、服部さんでしたが。
 ともかくそれで、何曲かのレパートリーができて、セオリーに縛られることなく、楽しんで弾けるようになりました。課題曲以外にも、自分で好きな曲を我流で弾いてみようという時に、やはり羽田さんのお洒落な編曲のしかたが参考になりました。ちょっと和音から外れた音やリズムを外した音を加えるだけで、曲全体が華やかになるのです。
 同番組の最終回のエンドマークが出た時、わたしはごく自然にテレビの両講師に向かってお辞儀をしていました。

 そういう意味では、羽田さんが務めた『題名のない音楽会』の司会の仕事は、音楽のジャンルを超えて底辺を広げようという同番組のコンセプトを考えると、ぴたり適任であったと言えましょう。一流のプレーヤーでありながら、素人の見る目を忘れない音楽家は、貴重な存在です。もっと活躍を続けてほしい方でした。

 ご冥福をお祈りします。ありがとうございました。

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