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2008年7月27日 (日)

日本一の図書館

 先日は、富山県舟橋村に出かけてきた。図書館の私的視察を兼ねた文献調査である。わたしも国語教員なので、図書館に関わる分掌を担当することが少なくない(かつては勤務先の図書館の副館長も務めた)。現在は直接の担当ではないけれど、後学のために、見学しておきたいと思った。

 というのも、ここの村立図書館、ただの図書館ではないのだ。

 何と、人口あたりの利用数、そして貸出冊数が日本一を誇っている。舟橋村は、現在のところ、日本で最も面積の狭い自治体であるが、人口増加率はなかなか高い。富山市近郊なので、ベッドタウンなどとしても発展著しいものがあるのだろうが、それにしても、都市部ではなくこんな所に日本一がある、というのは意外性があり面白い。そこで、この図書館の人気の秘密が那辺にあるのか、見定めたかったのである。

 利用が多い理由の第一は、駅と直結、というか、一体となっていることである。ホームの壁が即図書館の建物である(写真右)2001114 だから、村民だけでなく、電車で通勤通学する人が途中下車して立ち寄ることも多いのだという。富山地鉄電車で富山から十五分ほどなので、手頃な距離だ。
 駅舎と一体になった図書館は、敷地面積は狭いが、三階建てでうまくスペースを使い、よく手入れ・清掃されているのが分かる(写真左)2001102 玄関は全くもったいぶっておらず、初めての人でも入りやすいムードだ。靴を脱いで裸足(靴下)のままで入館するのはユニークだ(スリッパの備え付けはない)。
 入ってみると、カウンターは入ってきた人と同じ側を向いていて、それでいて一階全体を見わたせ、二階に上がるにはカウンターの前を横切ることになるので、係員が出入りする人のチェックをすることはできる。でも、利用者は監視されているというプレッシャーは感じなくて済む。
 冬は床暖房もきかせるフロアリングなので、子供などは床にぺたんと坐って本を読んでいる。そうしても、スリッパがそのへんに散乱しないのがよい。また、そんな子供がいても通りやすいよう、本棚の間隔は十分にとってある。子どもが多いにも関わらず、館内は私語も少なく静かなのだ。スリッパがないのは、足音をさせないためでもあることに気づく。
 本の並べ方も、書店のように、話題の本やぜひ読んでほしい本が、上段に表紙が見えるように平並べしてあり、手に取りやすい。
 設備は個別の机や大机、ソファやスツールなど、いろいろな利用形態に対応できるバラエティーがある。もちろんビデオやパソコンのコーナーもあり、設備に関しては、大都市の図書館にもひけをとらないものだ。それなのに、親しみを感じさせて、居心地がよい。学校帰りの高校生や受験生も静かに勉強している。

 わたしも、二時間ほど滞在していろいろな文献を調査したけれど、ものすごく快適に本を読んだり調べ物ができたりするのである。こんなに落ち着きかつ仕事の能率が上がる図書館を他に知らない。もっと自宅の近くにこういう図書館があってほしいくらいである。

 設備だけではなく、ここでは昼間に利用する子どもの名前を係員が覚えるようにして、常に声かけをするのだという。これは小さな村ならではのことであろう。
 あらゆる図書館のいいとこ取りをしたような感じで、利用が多いのは当然だと思われる。学ぶところ大だった。
 そして、図書館のどこにも、日本一であることをひけらかすようなポスターや掲示類が一切ないところも好ましい。

 さて、そんな日本一の舟橋村立図書館に、最近また話題が加わった。テレビのニュースで観た方も多いと思うが、先頃、カモシカが自動ドアを開けて入ってきたのである(産経新聞の記事・地元の北日本新聞の記事)。これに関する新聞記事の切り抜きは、玄関付近にたくさん貼ってあり、カモシカ向けの貼紙までしてあった(写真右)2001104
 他にカモシカが入ってきた図書館の話など聞かないから、ここはカモシカ来訪数日本一の図書館でもあることになる。随分悪さをしたようだが、怪我人が出なかったのは幸いであった。

※ この記事のように、まるよしの楽しい国語教育の話を満載した本、ぜひお手に取ってお読みくださいね。

 『まるごと とれたて 日本語談義 -ラジオ番組『高専ライブ』で語ることばの話-』
 桐島周 2016 勝木書店 定価1500円(税込)
 
ISBN: 978-4-906485-09-3 
 (桐島周は、まるよしのペンネームです)

 勝木書店のホームページでご注文いただくのがご便利かと思います。
  http://www.katsuki-books.jp/ (書籍検索から)
 Amazon・楽天などでは購入できません。

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