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2009年6月 3日 (水)

『国語年鑑』の刊行が終了

 こういう刊行物が、他の学問領域であるのかないのか、既にWebに移行したのか、詳しいことは知らないが、日本語学界の年間の歩みをまとめた年鑑が、『国語年鑑』(国立国語研究所・編 大日本図書)である。
 これが、とうとう刊行を終了することになった、と通知が来た。なかなか感慨深い。

 独立行政法人を再編合理化する計画の一環で、この10月から国立国語研究所が独立行政法人から大学共同利用機関法人の下部組織に編入されることとなった。この法人では、情報の蓄積と提供を全てWeb上で行う方針であるため、書籍としての『国語年鑑』の刊行も取りやめることとなる。
 『国語年鑑』は、毎年12月の刊行となっており、組織再編のタイミングが悪く、「次号で最後」というかたちをとれなかった。昨年12月に既刊行の2008年版が最後となる。

 日本語学研究に関する情報を網羅した書籍なので、わたしもほぼ毎年購入してきた(校費だったり私費だったりいろいろだ)が、何といってもまず開くのは、巻末の「国語関係者名簿」である。
 ここに名前が載っているのが、一応一人前の日本語学者と認められた者と言っていいであろう。原則として、一定の業績があり、かつ研究機関に常勤で在籍しているまたはしていた、というのが、掲載の条件であると推測される。だから、修業時代は、ここに名前を載せることが一つの目標であった。
 一度掲載されれば、原則として死ぬまで外されることはない。そして、前号の刊行以降に死去した者は、名前に黒い下線がひかれたかたちで掲載され、その次の号から名前が外れる。それで、お世話になった先輩や先生の消息も確認することができる。
 もちろん内容の主軸は、「国語関係者名簿」よりも「文献」の部分、すなわちこの一年間に発表された日本語学関係の書籍や論文のリストである。わたしも、「文献」を参照するという実用的な使い方をしないわけではない。しかし、やはり「国語関係者名簿」というものに、自分がプロの研究者として日本語学の末席を汚している、という自覚を刺戟されるのである。

 「国語関係者名簿」にせよ「文献」にせよ、今後はWeb上で確認することはできる。しかし、本の形で手に取れなくなるのはやはり淋しい。
 世の中には、とっくにWebで全面的に代替が可能であるのに、本の形で刊行され続けているようなものは少なくない。『時刻表』などもそうだし、多くの漫画雑誌などもそうだろう。そう言いだせば、文学雑誌などもそうなのかもしれない。
 その一方で、「Webに移行」で検索すれば、紙媒体での刊行を中止して完全にWeb化された雑誌もいくつも出てくる。
 紙媒体で発行を続けるか否かの基準はどの辺にあるのだろうか。需要や採算という点だけでは測れないような気がする。大体学問関連の書籍類は、公費で一定の冊数が購入されることが分かっているので、採算はとりやすいのである。本の形で手に取りたい、と思わせる何かがあるのだろうが、何かの正体が、いま一つつかめない。

 『国語年鑑』はいつまでこの名前なのだろうか、と気になっていた。日本語学界の基幹学会たる国語学会が、日本語学会に名称変更して、それまでの国語学という領域も、次第に日本語学と呼びかえられるようになっているからである。しかし、その答が出ないうちに廃刊。この点でもちょっと残念だ。
 下に最後の『国語年鑑』の画像とリンクを示しておく。

 (下の画像は、「楽天ブックス」内の商品ページにリンクします。購入もできます)

 
 国語年鑑(2008年版)

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