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2009年6月19日 (金)

サッコと三木たかし先生

 三木たかし先生を抜きにしてサッコさんを論じることはできない、というほど縁が深い方である。

 シングルのうち、最初の二枚である「ひまわり娘」と「夢みる頃」は、シュキ・レヴィさんの作曲であるが、それ以降のシングルヒット曲は、ほとんど三木先生の手になるものだ。
 殊に、サッコさんを世に知らしめることに大きく貢献した曲も、三木先生作曲であるから、伊藤咲子というアイドルを成立させるにあたっては、阿久悠先生と並ぶキーパーソンであったことになる。その曲とは、もちろんあれである。 

 「木枯しの二人」。今でもサッコさんが、最もヒットした曲としてトークする曲である。わたし自身がサッコさんを認識したのも、この曲が最初である。
 発売が昭和49年12月であり、だいたい季節を先取りして発売するのが歌謡曲の常道のところ、まさに冬の始まりに合わせての発売だったのである。その季節感の合致がよかったのか、オリコン5位までいく大きなヒットになった。

 昭和50年に入ると、レトロ調ポップスの「青い麦」、スケールの大きなバラード「乙女のワルツ」、同様に切ない心を歌った「冬の星」とシングルが続く。
 昭和51年には、うって変わって「きみ可愛いね」「いい娘に逢ったらドキッ」と、正統派アイドルポップによるヒットが続いた。実力がないと歌いこなせない「想い出のセンチメンタルシティイ」が締めくくりとなった。
 昭和52年に入って、「青い鳥逃げても」「愛のシルフィー」と、ちょっと大人びたアイドルの路線になっていく。「何が私に起こったか」では、かなり大人の女性のムードが出てきた。

 サッコさんのシングルが連続して阿久悠・三木たかしコンビで作られたのはここまでである(この後、昭和55年の「未完成」で一度だけこのコンビが復活する)。このサッコさんの曲だけみても、よくぞこんなバラエティーに富んだ曲想を次々編み出せるものだ、と感服する。この他、アルバム収録曲にも三木たかし作品は多い。

 もちろん、三木たかし先生の作品は、サッコさんに限られているわけではない。
 女性アイドルだけみても、あべ静江さん・清水由貴子さん・片平なぎささん・わらべの皆さんの代表曲は、三木先生の作曲である。
 男性アイドルだと、何といっても西城秀樹さんのヒット曲が多い。アイドル全盛時代よりも、後期の男っぽい力強い曲である。
 さらに演歌では、石川さゆりさんの「津軽海峡冬景色」など一連のヒット曲、西川峰子さんのデビュー曲「あなたにあげる」、森進一さんの異色曲「北の螢」などが数えられる。
 まさに多才である。

 訃報に続いていろいろと語られた内容をきくと、どうも三木先生はなかなかの艶福家でもあったようである。しかし、豊かな人生経験が多くの人生の局面に見合った曲を生み出したのだとすれば、それを責めることはできないだろう。
 『週刊文春』の5月28日号には、「三木たかし「遺作」を奪い合う「女の闘い」」という記事が載っているのも、そんな三木先生の一面があらわれているのだろうか。
 三木先生「最後の傑作」だという遺作が、テレビ愛媛アナウンサーの大下香奈さん、弟子の歌手保科有里さん、そして三木さんの実妹の黛ジュンさんと、三人の歌手による競作となっている、というのである。この過程で、いろいろと音楽ギョーカイでふむべき手続をふんでいない、というようなことでいろいろな人の想いが交錯しているようである。
 しかし、これも三木先生の曲のすばらしさによるもの、と好意的に解釈しておきたい。魅力のない曲を、歌手が奪い合ってまで歌おうとはしないだろうから。
 黛さんはインタビューに、「兄が最後に作ったいい曲なのでもっといろいろな人に歌ってもらいたい」という気持ちを答えている。それならサッコさんも、と思ってしまうが、タイトルが「さくらの花よ泣きなさい」だと聞いて、ちょっと考えてしまった。サッコさんには似合わないかもしれない。

 6月16日の『NHK歌謡コンサート』(特集・三木たかしの世界)では、演歌系中心のラインナップだったが、そのなかにあって、サッコさんの「きみ可愛いね」はひときわ明るく元気な曲として、異彩を放っていた。科白入りバラードの「みずいろの手紙」(あべ静江さん)とともに、三木先生の守備範囲の広さを印象づけるのにはいい選曲だった。
 なお、この番組で歌われた曲では、五木ひろしさんの「凍て鶴」がよかったと思う。失礼ながら、五木さんの歌を聴いて感動した、というのは初めてである(五木さんの歌がどうとかではなく、好みの問題だ)。曲もいいし詞もよかった。そして五木さんも思い切り感情を込めた歌唱だった。

 サッコさんの、三木先生にいただいた曲を大切に歌い続けたい、という熱意を応援していくのが、わたしたちにできることであろう。 

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1.0サッコ」カテゴリの記事

コメント

遠方の我々にとってはNHKホールで直接応援できないのは残念ですね。
でもテレビ出演が増えてきて嬉しいことでもあります。
「凍て鶴」練習しましょう♪

投稿: プリンゼ幸夫 | 2009年6月19日 (金) 22時17分

> 「凍て鶴」練習しましょう

 もちろん、そのつもりです。
 学生とのカラオケでは、渋すぎて歌えないかもしれませんが。 

投稿: まるよし | 2009年6月19日 (金) 22時24分

happy01いやあ。わたしゃあオヤジ声で”きみかわ”を歌いますか。。長野で凍て鶴を歌ってしまうとホントに凍ててしまうんで辞めときます(爆)

投稿: はっちゃん | 2009年9月16日 (水) 19時06分

●はっちゃんさん
 雪国の歌ですからね。「きみ可愛いね」はオヤジ声でも十分いけると思いますよ。わたしもよく歌います。

投稿: まるよし | 2009年9月16日 (水) 20時31分

shine次お会いする時は『凍て鶴』練習曲入りですね(笑)。

投稿: はっちゃん | 2009年9月17日 (木) 21時17分

 はい。プリンゼ幸夫さんも交えて、「凍て鶴」合戦をいたしましょう。

投稿: まるよし | 2009年9月18日 (金) 21時35分

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