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2009年9月30日 (水)

自転車を活かす走り方

 自転車を愛用している。自転車自体が特に好きというわけではないが、クルマ(この汎用は嫌いだ。自転車も電車も荷車も車なのに、自動車が「車」の語を独占している)に乗れないのだから、自然な選択として、日常の移動には自転車を使うことが多くなる。
 横着なわたしは電チャリに乗っている。もう三台めである。指を怪我してからは、くらぶ生に右のブレーキの握りを浅くしてもらって、快適に乗っている。

 しかし、自転車に対する風当たりが強いのもまた事実である。クルマを運転する人が自転車を忌み嫌うのはなぜか、と思ったが、東京あたりの大都会に行くとよく分かるし、先頃読んだ『自転車の安全鉄則』(左は、「楽天ブックス」の該当書ページにリンクしています。購入もできます) という本をみても、よく分かる。

 東京では、渋滞気味の道路をクルマの列を縫うようにして、右へ左へと走る自転車をよく目にした。それもかなりのスピードである。あれは危ない。クルマが怖がるのも無理はない。クルマにクラクションを鳴らされようものなら、睨みつけたり、嫌がらせのようにクルマに接近して走ったりする。接触事故になれば大抵クルマが悪いことになるから、当たれるもんなら当たってみろ、てなところである。
 こんな手合いがいるのでは、自転車乗り全体が白眼視されてしまう。やめていただきたいものだ。

 しかし、クルマにも酷いのはいる。以前の記事でも書いたが、自転車で車道を走っているだけでクラクションを鳴らしたり、幅寄せしてきたりする厭なクルマに、月に何回かは出会う。こちらがマナー違反をしているならまだしも、普通に走っているだけなのだ。
 クルマからみて自転車がうっとうしいのは分かる。いない方が走りやすいだろう。しかし、それは自転車からクルマをみても同じなのである。お互いさまだ。車道はクルマだけのものではない。自転車が歩道を走ることのデメリット(自転車にとってだけではない)は、以前の記事で述べたとおりだ。

 もう一度確認しておく。自転車は車道左端を走ることになっている。この原則を守るだけで自転車は安全かつ快適に走れる、というのが前掲書の主旨だが、わたしも全く賛成である。もちろん、自転車歩道通行可の標識が立っている箇所では、歩道を走ってもいい。走ってもいいのであって、走らないといけないのではない
 道路の右側を走ったり、右側の車道の路側帯を走ったり、通行可でない歩道を走ったり、無法な自転車が多いのは遺憾だ。自転車が憎まれるのは、ある時は車輌になり、ある時は歩行者のふりをする、という気儘さゆえであろう。そんな不埒な走り方をしなくても、自転車は十分に速くて便利なのだ。それは速さを追求しだせばきりがないだろうが、クルマと同じく、ルールとマナーの制約を受けるのはしかたないことだ。
 珍しく、自転車は車道を走る、ということをしっかりアピールしているのが京都市である。右の写真は京都市バスに掲示されているポスターだ。95311565小さくて見にくいが、「自転車は車道」「車道の左端」と書いてある。法律どおり、正しい啓蒙である。

 加えて前掲書では、歩道(もちろん通行可区間)を走る場合、あるいは、自転車レーンが設けられている道路でそこを走る場合も、道路の左側のそれを走るべきだ、と提言する。これにも賛成である。
 わたしはそのように実践している。通行可区間以外では絶対に歩道を走らないし、車道の逆行も絶対にしない。もちろん、歩道の中でも車道寄りを走る(そう決められている)。そして、進行方向に向かって右側の歩道や自転車レーンは極力走らない。
 後段が「極力」とトーンダウンするのは、理不尽な構造の道路も少なくないからである。やむを得ず右側を通らねばならない時は、なるべく降りて押していくことにしているが、あまり距離が長いと嫌になる。

 片側一車線であっても、このように両側に十分な幅員の歩道があり、歩道は自転車通行可になっているこのような道路なら、走るのに不安はない。
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と思いきや、この道路を進んでいくと、突如こうなるのである。

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橋が架かっていて、ここからは、向かって右側にしか歩道がない。さてこの場合、このまま左側の路側帯を行くべきか。それとも、右側の歩道に渡るべきか。
 右側の歩道を走るべきではない、というのは、同じ歩道に両方向の自転車が通るのは危険で煩わしいからである。また歩行者も、どっちから自転車が来るのか分からないのでは怖いだろう。自転車の擦れ違いの際にも歩行者に迷惑をかけてしまう。せめて片方向にしたい。それで、自転車は左側の歩道を走るという原則が定着すればいいのに、と思っている。
 しかし、写真のような道では、左側の路側帯が申し訳につくってあるだけで、自転車一台分の幅がない。なぜこういう橋の造り方をするのかと思う。わたしは構わず路側帯を行く。クルマには嫌がられるが、クルマと歩行者、どちらへの配慮を優先するかと言えば、それはより弱者たる歩行者であるべきだと思うからである。
 交叉点でも、「自転車通行可」の標識は、両側に歩道がある箇所であっても、大抵が左側の歩道に立っている。自転車は左側の歩道を走るのが原則、という意識は公安にもあるのではないか。

 ところが、そうやって意を決して左側を進んでも、間もなく次なる難関が待っている。

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何ということだ。道路はここで直進する旧道と緩やかに左へ分岐するバイパスとに分かれるのである。左側の路側帯を走ってきた自転車が直進するのは至難の技である。
 というのも、ここは右方向への分岐がないため、バイパスへ左折するクルマは信号フリーパス(赤信号の時は常に左矢印)なのである。だから左折車は途切れることなくやってくる。その車線を斜めに横断しないと、直進できない。
 逆に、右側の歩道を走ってきたとすると、直進はできるが、左折してバイパスに入ることができない。
 だから、ここで直進するか左折するかを予め決めておき、さっきの橋の所でどっちを通るか選ばないといけないのだ。右の歩道という節を曲げた選択をしなければならない場合があるのが忌まわしいが、それだけではない。というのは、橋からこの分岐までの間に、右側から信号・横断歩道なしで合流する道が二本あるのだ。それらの道から出てきた場合、選択できない。どこかしら危険な通り方をするか、回り道するか、いずれかとなる。

 この分岐の向こう側から、左側の歩道が復活するのだから、意地が悪い。
 どうにかしてこれを直進して先へ進むことにする。暫くは走りやすい歩道だが、そのうちこんな歩道になる。

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 こういう歩道がこの区間だけ拡幅もガードレールの設置もされぬまま放置されているのには事情はあるのだと思う。が、それならそれで、自転車通行可は止めるべきである(医院の看板が後ろにあって見えにくいが、ご丁寧にも自転車通行可の標識が立っているのがお分かりだろうか)。この歩道で自転車が歩行者と擦れ違うなど、曲芸である。しかも、ここは今度は右側の歩道がいつの間にかなくなっている。

 そうかと思えば、これは別の道路だが。

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こんなに広々と整備された、人通りも少ない歩道があるのだが、この道路は自転車の歩道通行が許可されていない。従って、車道の端のせまーい路側帯を走らないといけないのだ。

 また別の道で、せっかく自転車レーンがリザベーションしてあるのに、こんなことになっている所がある。

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歩行者レーンと自転車レーンを隔てる植込みが剪定されていない上に、わざわざ植込みで狭くなった所にプランターが置かれている。これでは自転車が自転車レーンを通れない。
 あげくはこれである。

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 自転車レーンを塞いでいるのは、沿道の店の出前用スクーターである。呆れて言うべき言葉がない。このスペースが何のためにあるかが沿道の住民に意識も周知もされていないのである。仏作って魂入れず、とはこのことだ。

 最初の道に戻ろう。あの曲芸歩道からさらに進むと、うって変わって自転車レーン付の走りやすい歩道が両側にあらわれる。

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 これなら安心、と思っても、油断はできない。こんな箇所もあるからだ。

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 後から歩道を拡幅すると、こうなるのであろう。電柱を建て直すのが大変なのは分かるが、トータルに道路をデザインできなかったのだろうか。

 一本の道路を数キロ走っていくだけで、こんなにころころ様相が変わるのだから、落ち着いて走っていられない。この道路が特に酷いのでなく、全国に同様の例はいくらもあろう。

 これも別の道路だが、やはり左側の歩道を信じて走っていくと、突然なくなるばかりか、車道も自転車通行不可だという。手前の交叉点まで戻って右側歩道に渡り、押して坂を上らないといけない。

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 どうか、自転車の通行ルールとマナーを確立するため、早く自転車走行を想定した道路の標準企画を定めて、新たな道路はそれに基づいて造ってほしいものだ。自転車はCO削減の鍵にもなり得る乗物なのだから。
 ともあれ、多くの人にこの『自転車の安全鉄則』をお読みいただいたうえで、自転車のあるべき通行方法について考え、認識を深めていただきたいものである。 

(下の画像は、「楽天ブックス」の該当書ページにリンクしています。購入もできます)

 
『自転車の安全鉄則』

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