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2010年2月14日 (日)

指その後(3)~ 義指の完成度

 さて、今日はわたしが指先を失ってちょうど一周年となる記念の日である(註・当記事は、昨年12月19日公開予定で書いたものです)

 義指が完成し、この間から着けている。ただし、いろいろな事情があって、ずっと着けていられるわけではない。

(指切断事故・義指関連の記事は、概ねこの「傷病と生き方」カテゴリーに所属しています。まとめてお読みになりたい方は、カテゴリーページをご覧ください。記事最下段・右サイドから)

 義肢製作の業者はたくさんあるが、それらのサイトをいくつか見るに、指などよりも、もっと大きな義手や義足を作るのが主であって、義指は余技という感じの所が多いように見うけた。
 そのなかにあって、今回お願いした業者さんは、かなり義指に力を入れていて、義指の品質も非常に高く、アフターサービスも充実していることがうかがわれた。それで、この製作所に決めた。

 
 初めてはるばる業者さんを訪ねた日、労災の扱いなどについてもいろいろと教えていただいた。わたしは病院では、義指に労災はきかない、と聞いていたので、自費で作る覚悟をしていたのだが、そんなことはなく、ちゃんと手続すれば労災が適用され、製作時の自己負担が軽減される、そのうえ今後の修理や再製作については自己負担実質ゼロで一生いける、ということであった。特に、今年度から義肢に関する労災の制度が替わり、有利になっているそうだ。
 過去の事故であっても遡って適用されるので、労災事故で指を失くして、自己負担額を考えて義指製作を諦めている向きは、一度労働基準監督署か職場の担当部署に相談されることをお勧めする。

 
 その日のうちに指の型を採ってもらった。右手の義指を作るのだが、型は左手の健常指で採る。どのように型を採るかは、企業秘密かもしれないので、詳しく書くことは控えるが、とにかくこちらに時間的にも体力的にもそれほどの負担はなかった。念のため右手の罹患指のほうも型を採った。
 おそらく反対側の指の型をパソコンに取り込んで、それを裏返しにして改めて型を作るのだろう、と思うが、確かなことは分からない。仕上げの参考にするために、指の写真も撮ってもらい、その日は辞した。

 
 数週間後、指ができた、という連絡を受け、また業者さんを訪ねてみる。シリコンのような材質の義指は、裾の部分が薄くなっていて、装着すると、指との境目がぼやけるようになっている。
 指のサイズぎりぎりに作ってあるので、そのままでは装着しにくい。そこで、義指の内側にハンドクリームを塗り、潤滑油にすると、スムーズに指が入っていく。ハンドクリームが指の皮膚に吸収されれば、義指がぴったりと指に密着する寸法である。
 外すときは、そのままでは無理なので、義指の先を曲げて、空気を外に押し出すようにすると、裾に隙間ができる。そこからそっと外していく。逆に言えば、装着して使っている時にも、そう簡単には外れない、ということでもある。
 それにしても、型はかなり精密である。指の皺やささくれ、指紋まで、鮮やかに再現されている。そこに、できるだけ指と同じ色あいに見えるよう、色付けをし、それを焼き入れして定着させる。そういう調整作業を繰返し、二時間ほどで完成品となった。

 
 袋に入れて三本の義指を渡されたが、こんなのに入れられると、証拠物件のようだ(笑)。

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 一本ずつの指を見ても、リアルさが分かる。

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 そして、装着した状態をお見せしよう。どの指のどこからが義指か、お分かりになるだろうか。

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  比較のため、左手の写真を反転させたものもお見せしておく。

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 とにもかくにも、今の技術はここまできているのである。
 ただし、この義指は、あくまで見た目を改善するだけである。義指にはもちろん感覚もないし力も入らないので、不自由なことにかわりはない。しかし、わたしの場合特に、授業などで学生の前に出るようなときにはこれを装着する。技術系の学校なので、機械が怖いというような感情をもってもらっても困るからである。
 それと、縫合してもらった指先や中途半端に残っている爪の部分が何かに触れたり、最悪ぶつけたりした時の痛みと違和感は相当なものであり、義指で保護することで、それを防ぐこともできる。
 板書は義指でチョークを持っても何とかなるが、ペンで字を書いたり採点したりする時は、義指を着けると却ってやりにくい。動かせない指先が邪魔になるのだ。
 何より、常に指をしめつけるので、長時間装着したままだと鬱血してしまう。だから、義指と従来どおりの手袋とをうまく使い分けていかなければならない。

 
 なお、どこの業者で作ったか、についてはお教えすることはできない。義指を作る会社の数が限られていることもあって、例えばかつてテレビで紹介された製作所に、問い合わせが殺到して、業務に支障をきたしたような実例もあった。せっかく良心的に対応してくれた業者さんとそこの顧客の皆さんに、迷惑をかけたくないのである。ご諒承願いたい。
 コメントやメールでのお問い合わせにも応じない。義指をお作りになりたい向きも、ご面倒でも、ご自身で検索・比較して業者をお選びいただきたい。 

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