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2011年7月 2日 (土)

エスカレーターの流儀

 『週刊文春』誌の連載「ホリイのずんずん調査」(堀井憲一郎)が6月23日号をもって突然終了となった。最終回は一応見開き2ページのスペシャル版ではあったが、近頃の連載にそんな予兆は全く読み取れず、相変わらずACのコマーシャルを模したイラストがタイトル部にあったりしたので、唐突に感じた。

 その事情はわたしなどには分からないが、どうでもいいことを長期間にわたって詳細に調査、データ化して示してくれるこの連載が大好きだったので、惜しい。文章も軽妙でギャグが効いていた。
 一回分のための調査に半年から三年くらいもかけていることもあり、いったいいくつの調査を並行しているのか、と思うし、連載が終了すれば、やりかけで終わる調査もあるのでは、と心配にもなる。

 それはともかく、今思えば最終回近くであった790回(6月9日号)は、「「エスカレーターは右に立つ」は大阪方式だ」というタイトルである。東海道・山陽線と関西各地域の習慣を調べているのだ。面白いのでとり上げてみる。

 大まかに、東京は左に立ち、大阪は右に立つ、ということは知られている。左と右の境界線はどこか、ということになり、それをエスカレーターのある(ありそうな)駅に降りては調査している。
 こんな調査を聞くと、『探偵! ナイトスクープ』における「全国アホ・バカ分布図」の調査を思い出す。語彙も東京と大阪で異なるので、その境界線を調べたのである。あちらでは、東京のバカ圏から中京のタワケ圏を挟んで、関ヶ原以西がアホ圏、岡山まで行くとまたバカになる、という結果だった。
 エスカレーターも、ちょっと似たような結果なのだが、左と右の境界は、アホ・タワケよりも西にずれ、京都になる、ということである。つまりそれより東の滋賀県内は、関西でありながら東京式の左立ちが定着しているのだ。

 大阪はもちろん右立ちで、兵庫県内の姫路まではずっと右立ちだが、岡山は左立ちに戻る。以西、広島・博多も左立ちだそうである。
 これを堀井氏は、右立ちは大阪独自の文化、と解釈し、「日本対大阪」の図式を結論づけている。

 ただ、関西で駅にエスカレーターが普及していくその時期に育ったわたしとしては、ちょっと実感的なみかたが異なる。
 そもそも関西で、というか、日本で初めて動く歩道が使われたのは、大阪万博の会場内であろう。そこで歩く人がどの程度いたかは分からないが、もしいたとすれば、外国人観光客流の右立ちに倣ったのではないか。世界標準は右立ちなのだ。英国に行った時も右立ちだった。
 恒久的な動く歩道は、阪急梅田駅のムーヴィングウォークが最初だと思う。そこでは明確に、
「お歩きの方のため、左側をお空けください」
 という自動アナウンスをエンドレスで流していたのだ。現在は、その種の設備はそもそも歩くようには作っていない、というメーカーの意向もあって、そういう呼びかけを積極的にしなくなっているが、普及しはじめた頃、関西人は大阪のど真ん中にあるこのムーヴィングウォークで反復教育されたのである。

 かくして、大阪との結びつきが強く、直通の電車も走る関西一円に、駅のエスカレーターが作られていくとともに、自然に右立ちが普及した。兵庫・奈良・和歌山も右立ちとなった。
 ところが、京都の駅にエスカレーターができる頃には、既に東京圏にも駅のエスカレーターがかなりできていた。京都は新幹線で東京圏からたくさんの観光客が運ばれてくるので、左立ちが優勢になってしまった(地元や大阪方面からの客が多くなる平日などは、一時的に右立ちになっていることも見うけられる)。そして、京都と近接した滋賀県にも波及していくのだ。米原も、新幹線の乗換客が多いので、左立ち優勢である。その間の駅も両端に倣うかたちで、左立ち主流で右立ちもあり、要するに前の人に従う、という感じではなかろうか。
 つまり、関西圏は右立ちで、京滋地区のみ例外的に東京方式が混入した、ということになる。関西以外の各地方は、意識的にせよ偶発的にせよ、東京方式が主流として定着したのであろう。
 福井県などは、駅にエスカレーターがあるのは福井駅だけで、それも数年前にやっとできたのである。前述の事情で、駅側はもうどっちに立てとは全く誘導していない。その結果、ここに発着する特急で最も本数が多いのが「サンダーバード」(大阪~金沢・富山・和倉温泉など)であることから分かるように、大阪方面との交流が多いものだから、右立ちが優勢である。が、「しらさぎ」(名古屋・米原~金沢・富山など)が発着する前後の時間は左立ちになっている。

 東京で左立ちが定着した事情はよく知らない。やはりどこかの駅で呼びかけたのだろうか。それにしても、なぜ世界標準に合わせなかったのか、と思う。東京駅の京葉線ホームに行く通路、恵比寿のガーデンシティ、羽田空港のターミナル内、いずれも動く歩道は左立ちである。
 もっとも、東京でエスカレーターを歩いて昇ろうという人は、大阪ほど多くはないようである。混雑度や気質の違いだろう。

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