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2012年3月 9日 (金)

土電点描

※当記事の内容は、公開時点のものであり、最新ではありません。また、運賃・ダイヤなどについては各鉄道会社の公式サイト(JRおでかけネット JR四国 土佐電鉄 など)をご覧ください。

 昨秋、学会出張で高知を訪れた。また土佐電鉄のお世話になり、あちこちを写して来たので、それをご紹介しよう。

 土佐電鉄は、高知市街中心部ではかなり頻繁運転をしており、運転本数だけなら大阪や東京のJR電車区間にもひけをとらない。そういう活気からみて、経営状態も良好なのだろう、と思っていたが、夏には、もはや会社として路面電車を維持することが困難、ということで、公有民営化の提案がなされた、と聞く。その議論の動向によっては、一部または全部の区間を廃止する、という選択肢もでてこよう。
 しかし、この土電は、歴史が古いだけに、簡単に廃止するには惜しい情景がふんだんにある。昔ながらの情景だから翻せば現代に合っていない、ということでもあるが。
 そういう所を見て回ろうと思う。

 仕事が退けてから高知に向かったので、深夜に近い時間帯の特急で瀬戸大橋を渡った。指定を取ったら、アンパンマンシートになった。

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 まず、市内中心部を見てあるく。経営難を頭に置いて見れば確かに、次々やっては来る電車は、いずれも数人しか乗っていないようでもある。

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 東端の後免町(ごめんまち)に向かう電車に乗ってみる。
 高知市街では街路の中央に敷かれていた線路は、市街をはずれると、片側一車線の国道に隣接するかたちに変わる。国道側になる東行は、国道の路側帯から直接乗り降りする所も多い。そのような、車道と仕切られていない乗り場に近づくと、
「ノーガード電停ですので、お降りの際は自動車にご注意ください」
 という放送が入る。なるほどノーガード電停とは分かりやすい言い方だが、初めて聞く。そういう電停は見ていても危なっかしい。安全地帯を設けようにもスペースがなく、如何ともしがたいのは分かる。写真は文珠通(もんじゅどおり)電停に停車しようとする後免町行電車内から写したものである。ここまでは電車の本数がかなり多い区間で、電停の先にある渡り線で、大多数の電車が折返す。

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 その先には、清和(せいわ)学園前という電停がある。これは昭和60年に開設された、比較的新しい電停で、名のとおり通学生の便を図るための請願駅である。しかし、その次の一条橋(いちじょうばし)電停がすぐそこに見えている。両電停間の距離は公式には0.1キロとなっているが、実際はもっと近くて、歩いても一分とかからない。なぜこんな電停が必要なのか、と思うが、やはり国道に接した電停であり、通学生を僅かな距離でも歩かせたくない路側なのであろう。ともあれ、ここがわが国で最も短い鉄道駅間なのだそうだ。
 清和学園前の一つ手前の領石通(りょうせきどおり)、そして一条橋にも、折返し用の渡り線があり、需要に応じて各所で折返す便がきめ細かく設定されている。

 さて、一転して西の終点、伊野(いの)付近にやってきた。
 伊野にはJRの駅もあるが、土電には伊野駅前・伊野の両電停がある。伊野駅前から終点の伊野までもけっこう近く、そこに見えている。
 下の写真は、左が伊野駅前電停から伊野を望んだところ、右が待合室まで備えてなかなか整った設備の終点伊野電停である。

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 なお、伊野電停の東側から、路面電車としては珍しく、長めの引込線が出ていた。この先にはかつて小規模な車庫があったのだが、使われなくなった。引込線は既に本線につながるポイントが撤去され、架線も外されていて、完全に廃線跡となっているのだが、レールだけは残されている。路地、というより畦道に近いようなさりげない道に軌道が敷かれている光景は、今となってはシュールである。
 そんなのを眺めていると、電車が到着した。伊野線の大半の区間が単線で、ほぼ終日21分間隔でしか電車が来ない。半端な間隔だが、行違い設備の都合でそうなる。この伊野も、一応二本の線路が敷かれているが、通常はホームに面した線路だけを使い、着いた電車がすぐ折返す。

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 ここまでにもちょこちょこ出てきたが、市内区間をはみ出して郊外まで運行する便については、そのことを明示するために、前面に菱形の大きな方向板が取り付けられている。これも土電の名物である。上の右の写真の「いの」(伊野行を示す)もその一つだ。
 下の写真は、左が「朝倉(あさくら)(高知大学前)」、右二つが「ごめん」(後免町行を示す)の方向版を付けた電車である。この「ごめん」は、いつ見てもユーモラスである。

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 学会会場の高知大学の前も、狭い旧街道に軌道が敷かれている。ちょっと見ただけではとても電車道には見えないが、ちゃんと線路がある。これもまたシュールだ。
 以前の記事「高知駅前電停移設と朝倉の路地」で紹介した区間の近くだが、それらの電停も、やはり「ノーガード電停」と案内されていた。

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