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2012年5月19日 (土)

まるよしくらぶと観る「ジェミー 地球壊滅を救え!」 下

「まるよしくらぶと観る「ジェミー 地球壊滅を救え!」 上」 からつづく)

 リンクのボタンを押すと同時に、あちこちでシースルーになったアレックスのディスクが回りはじめ、あちこちのパネルがちかちか七色に光るのである。こういう反応も、この時代のコンピューター観そのままと言えよう。データ一つ読み出すのに、大騒ぎなのだ。
 しかし、ジェミーは バイオニック分析 としか入力していないのに、よくお目当てのデータが正しく読み出せたものである。このへんのいい意味での曖昧さは、現代でもまだまだ実現されているとは言えない。ファイル名を正確に入力しないといけない。

 アレックスがジェミーの意図に気づいた時には、既に小型コンピュータにデータが読み出されていた。ジェミーが小型コンピュータの「LOCAL」とあるボタンをぱちっと押して単独回路に戻すと、完全に接続は遮断されてしまった。
 アレックスはもはやデータを取り戻すことも破棄することもできない。これほどマルチな機能をもちながら、自分で小型コンピュータとの間の回線をコントロールできないようだ。

 このあたりの「接続」のされ方が、現代のネットワークに慣れた者からすると、違和感がある。接続したり切断したり、という操作は、かなり物理的になされているらしい。

ジェミー: 直接会話できるか?
小型コン: イエス。「オーディオ」ボタンを押せ。

 「AUDIO」 と書かれたボタンをぱちり。個々の機能に対応したボタンが全て本体に取り付けられているらしいのである。ここもくらぶ生は大ウけ。
 ここからジェミーは音声入力である。現実の現代では、まだ音声入力は不完全で、ましてコンピュータと自然に会話するというところまではいっていない。そして、キーボードと音声入力との過渡段階に、ウインドウ表示とマウス操作、もしくはタッチパネル等がとりあえず実用的なものとしてあるわけだが、そこはすっとばされている。音声会話システムの完成はもっと早い、と思われていたのかもしれない。

 バイオニック修理の工程に入る。

小型コン: まず小型カメラで傷口を映せ。

 小型カメラは長いケーブルが付いていて、本体前面から引き出せるようになっている。くらぶ生らは、「親切なコンピュータだ」と苦笑している。修理に必要なピンレーザー(自動瞬間ハンダ付け、という感じ)も、同様に引き出し、断線したケーブルを繋ぐ。他にも、引き出して用いるらしいいくつかの補助機器が先っぽだけ出て並んでいる。
 ところが、ジェミーの足の部品が交換しなければならない状態にあるのが見つかる。

小型コン: クリスタル周波モジュレーターが故障。交換せよ。
ジェミー: 交換せよ、ですって? あん、そんな物がここにあるわけないじゃないの。

 絶望するジェミーである。が、いちかばちか訊いてみる。

ジェミー: あなたはその、クリスタル何とかって、持ってる?
小型コン: イエス。パネルに付いている。左側を開けろ。

 なんと、これも都合よく、ここにストックされていたのだ。そんな物がここにあるわけないじゃない と言うのを聞いて即座に持っていることを伝えるほどの気は利かないようだ。それはコンピュータの性能というより、日本語と英語の性質の違いか。

ジェミー: よかったー。持ってんの? あーなんて素敵なコンピューターなんでしょう!
小型コン: ありがとう。

 ここは爆笑になった。「カッコいい」と言う者もいる。現代のソフトにも、ここまでの処理能力はないだろう。

ジェミー: お兄さんのアレックスは意地悪だけど、力を合わせてやっつけちゃお!

 これには、小型コンピュータは答えない。アレックスへの「遠慮」があるのか。なかなか濃やかな配慮ができるのである。
 ジェミーは、ケースの中にある夥しい種類にわたるストック部品から、名前も知らなかったクリスタル周波モジュレーターを、なぜか瞬時に見つけ出し、傷口から中に取り付ける。と、足の機能は完全に恢復する。

 ところが、修理が成った直後、アレックスは、「さよならジェミー!」の声とともに、天井から錘のような物を二人(?)の上に落としてくる。ジェミーは素早く飛び退いたが、小型コンピュータはひしゃげて潰れてしまう。敵地でようやく出会った友を失ったジェミーである。視聴者も、小型コンピュータに感情移入しはじめたところで、アレックスの冷酷さを思い知らされる。
 恐怖と怒りに震えるジェミーはしかし、アレックスのこれまでにない洗煉されぬ攻撃法に不審を抱く。アレックスもここまで来られる者はいないと考えてこの先防衛システムは用意していないのだろう、とジェミーは推測する。それをアレックスに質すが、それには答えず、アレックスはこれまでにも散々言ってきたジェミーへの脅しの言葉を再び口にしたのみである。
 アレックスもまた、「都合の悪い質問をされると話を逸らす」という高度な会話能力を有しているようだ。ジェミーが説得しようとしても、「私は勝つようにプログラムされている」と誇り高く繰り返すアレックスであった。

 ジェミーが階段を降りていくと、スプリンクラーから水が滴っている。それをアレックスに指摘すると、スプリンクラーはもう使っていない、と言う。ここでも、電子機器の塊になんでスプリンクラーなんか付けるんだ、とくらぶ生が笑う。大きな建物の防火には、とりあえずスプリンクラーを設備する、というのが基本だったのだろう。さきほどの消火泡は後から追加装備したのかもしれない。
 この後、なんとアレックスが独り言を言う場面もある。何のためにそんな機能があるのだろうか。

 ジェミーがアレックスの心臓部である地下8階に到達してみると、そこにあるはずの爆破装置はなく、クーパー博士による平和を願うメッセージが彫られた碑文があるのみだった。彼は本気で地球を滅亡させようとしたのではなかったのだ。

 ところが、アレックスはあくまで、他の方法で地球を壊滅させる大爆発を起こす、それが自分の使命だから果たすまでやめない、と豪語、ジェミーへの攻撃を続けるとともに、妨害電波を出してOSIを混乱させる。実際、この研究所に貯蔵されている物質を利用すればそれは可能だ、と言うのだ。しかも、心臓部が破壊されようが、至る所にバックアップがあって、アレックスは生きつづけるらしい。
 この巨大なアレックス全体を一気にダウンさせなければ、地球の安寧は訪れないのだ。はたして、ジェミー単身でそんなことが可能なのか。

 もちろん、ジェミーが勝つようにプログラム(番組)は作られているから、ジェミーはその妙案を思いつき、実行するわけである。「さよならアレックス!」の科白とともに。
 いかにしてアレックスの息の根を止め得たかは、DVDをご覧いただきたい。

 近未来を予測したSFを、その予測された時代になって観るのは愉しい。そのためにも長生きはしたいものだ。
 いろいろつっこみながら観ているが、『バイオニックジェミー』が痛快で上質なドラマであり、ジェミーがチャーミングなおねえさんであったことに変わりはない。わたしも繰返しDVDを観つづける。

(了)

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