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2012年5月 5日 (土)

まるよしくらぶと観る「ジェミー 地球壊滅を救え!」 上

 標題は、テレビドラマ『パイオニック・ジェミー』のサブタイトルで、二回続きのものである(『バイオニック・ジェミー』の概要については、記事「バイオニック・ジェミー」をご参照いただきたい) 。

 まるよしくらぶの24年度初め総会で、これのDVDを鑑賞した。
 学生たちのパソコン・ネットワーク観とわたしのそれとの深層部分でのギャップは、わたしが子供の頃にこういうドラマなどで植え付けられた「コンピューター」観が拭えないからではないか、と思ったもので、今の世代でパソコンを使いこなしているくらぶ生の眼にこの作品がどう映るのか、興味があったのである。

 好戦的な人類の行く末に絶望したマッドサイエンティスト・クーパー博士が、巨大コンピュータを構築・プログラムした。どこかの国が核実験を行ったら、すぐに地球滅亡のシナリオを実行するようになっているのだ。博士は、全世界のテレビ電波をジャックし、警告のビデオを放映するが、多くの人は何かのいたずらだと考え、気に留めない。
 やはり博士の警告を、単なる脅し、発展途上国に核を持たせまいとする先進国の陰謀、と考えた中東のある国が核実験を強行してしまい、博士のシナリオは自動的に始動してしまった。研究所の地下深くで、地球の生物を全滅させる力を持った(放射線が拡散するらしい)大爆発を起こすのである。
 そこで、OSI(CIAをモデルとするらしい架空の諜報機関)から送り込まれたジェミーが、実質単身で巨大コンピュータに闘いを挑み、地球滅亡を阻止する、というのがこの話である。

 後編の冒頭には前編のダイジェストが含まれるので、後編だけ観ることにする。

 オープニングの「イカワ ゴクヒジョウホウ サイコウキミツ…」というコンピュータの声と、順次表示される英字からして、もうくらぶ生たちにウけている。

 こういう平板なアクセントの音声が「コンピューター」を表す、という約束事が、くらぶ生にはもう通用しないのである。文字の現れ方も、彼らから見ると、懐かしくも厄介な「コマンドプロンプト」のそれである。
 わたしにしても今となっては、「ショクギョウ キョウイン」には大いに違和感をおぼえる。軍基地付属の学校とはいえ、OSIのスパイ活動と教員の職務とが両立するとはとても思えない。ジェミーは小学校高学年くらいのクラスを担任しているのだが、潜入捜査となると数日から数週間に及ぶこともあるし、外国出張もしばしばだ。
 しかも、ゴールドマン局長らOSIの主要人物は、しばしばジェミーの学校に姿を見せる。なんとも無防備である。そこは、ドラマですから、の世界だろう。

 さて、巨大コンピュータ…「アレックス」という名のそれは、砂漠や渓谷に囲まれ、鉄壁の防衛システムに守られた広大な軍事基地のごとき研究所、その中心を占める建物にある、と言うより、地下が数百メートルに及ぶらしいこの建物とその周辺の施設全体がアレックスなのである。
 ともあれジェミーは、防衛システムを持ち前の超人的能力でかいくぐる。レーザーガンがジェミーが走る後ろ後ろを撃つばかりで、さっぱり命中しないのは、お約束と言えよう。
 遂にアレックスに潜入したジェミーだが、博士は病で既に虫の息であった。ジェミーはアレックスを止めるよう懇願するが、博士は応じぬままこと切れる。

 博士が鎮座していたコントロールルームには、側壁狭しと表示パネルが設置されている。パネルには、さまざまな色の照明が無意味に(と見える)明滅している。操縦席(と言いたくなるほどの席)には数えきれないボタンやスイッチがある。これはヤマトの艦橋や999の機関車と通じる、この時代に熟した「ハイテク機器」のイメージである。
 アレックスは自然言語を操るばかりでなく、意志をも有しており、クーパー博士から受けた命令を遂行する使命感を強固に有する。反面、感情らしきものはなく、自分の生みの親である博士が死んだことにも、特に感慨は示していない。
 そして、アレックスはその「視覚」と「聴覚」とで、ジェミーがどこで何をしているか、逐一把握する。アレックスの声は男声だが、アクセントは平板ではなく、駅の自動アナウンスのような感じである。
 これが1970年台の「近未来コンピューター」像だったわけである。ネットワークという発想ではなく、個々のコンピューターが多機能=大型化していく、というイメージなのだろう。

 アレックスは、ジェミーを透視解析し、バイオニックのしくみと性能を読み取る。そして、ジェミーを殺そうとあの手この手を繰り出してくる。通路に消火用の泡を充満させて窒息させようとするが、ジェミーは辛くもそこを抜け出す。しかし、ジャンプした際に自動ドアに挟まれ、バイオニックの足を壊してしまう。
 修理しないとまともに歩けない。無感情なアレックスの声に苛立つジェミーは怒鳴り散らし暴れる。ここはうまくコンピュータと人間の対照が描かれている。

 途方にくれるジェミーがふと前を見ると、なぜか都合よく「電子部品検査コンピューター」と書かれた小型(と言っても、箪笥くらいある)のコンピュータがあった。このドラマシリーズでは、この種の偶然にジェミーが救われることが少なくないから、これもお約束である。
 ジェミーはこの小型コンピュータとキーボードで(もちろん超人的な速さでのタイピングである)会話しながら自身の足の修理を試みる。小型コンピュータはアレックスの内部にあるので、現代の感覚で考えると、アレックスの手先(端末)ということになるはずだが、実際はアレックスとは一応独立した存在で、独自の自我と意志をもつらしい。

ジェミー: アレックスの記憶装置からバイオニック分析を読み出せるか?

 さっき読み取られた自分のデータを、修理に利用しようというのである。
 わたしは、この時代に既に 読み出す という訳語があったんだなあ、と感心する。

小型コンピュータ: イエス。調査するため一時アレックスにつなげ。そして単独回路に戻せ。(小型コンピュータの発言は、ディスプレイに表示されるとともに、平板な音声で読み上げられる。以下同じ)

 あれ? 独立しているのに、何らかの形でつながってはいるのだ。そしてジェミーは、「LINK TO ALEX」と書かれた四角のボタンをぱちっと押す。ボタンが点灯する。このボタン(の存在)も、くらぶ生にはウけた。
 間抜けなことにこの時、アレックスはジェミーが何のために自分の記憶装置にアクセスしているのかが、まだ分かっていない。小型コンピュータへの入力やその回答の内容は、アレックスには認識できないのである。
 接続がなされると、いかにもこの時代のコンピュータらしい現象が起きる。

につづく)

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コメント

失礼します。
その時居合わせた一人として一点だけ申し上げますと、
「平板なアクセントの音声=コンピュータ」のステロタイプはまだまだ通用しております。
もっとも、それは「使い古されたベッタベタのお約束」として捉えられており、
あーあるある、やっぱりこういうのなんだね、といった感じの笑いだったように思います。

投稿: Holy | 2012年5月 7日 (月) 23時02分

 なるほど。それが大まじめにドラマに用いられていたのを初めて見た、ということですね。

投稿: まるよし | 2012年5月 8日 (火) 06時41分

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