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2012年10月24日 (水)

対話ことばの効用

 こういう彩図などを利用しているとつい忘れがちだが、やはり対面で話すことは大切である。当たり前のことなのだが。

 文字のやりとりには限界がある。ニュアンスも細かくは伝わらないし、相手の呼吸に合わせて表現するわけではないから、どうしても独善的になる。これは技量の問題ではない。書きことばの宿命的・構造的な性格である。どんな文章の名手であっても、克服できない。
 つぶやきの類は、対話に近くはあるけれど、文字は文字である。

 この夏、高校時代からの親友に会った。遠く離れて暮らしているので、なかなか会えない。直接顔を見て話すのは数年に一度になる。
 彼とは以前から語り合っている夢があって、そういうのを共有していることも紐帯を保つ方便ではあるのだが、それはちょっと漠然として迂遠な夢でもあるので、メールなどでやりとりするだけでは実現に近づいていなかった。というより、なんだか気恥ずかしくてメールでそんな話を書きにくかった。「そのうち」「いつか」…、そんな言葉が重なっていった。
 しかし、会って話せば、たちまち学生時代に戻って、羞恥の念も消える。目を輝かせて夢を語り、実現に向けてのプランが一気に具体化した。実行時期やより詳細な内容も決まったのである。
 何割かは酒の力もあろうし、歳も歳だから、残りの人生を無意識に指折りしはじめているのかもしれない。
 しかし、やっぱり対話ことばの底力を感じた。

 職場でも、この夏季休業期間、暫く話していなかった同僚と、久しぶりに直に話した。わたしの職場は、どうもここ十年ほどひどく慌ただしくなり、じっくり話す機会が失われてきた。
 お互い矮小な誤解ではあるが、顔を見て話さなかったがために誤解し合っていたこと、あるいは遠慮しあっていたことが、ちょっとずつほどけた。
 特にわたしの場合、病気や怪我などもあったので、周囲がわたしの回復具合に懐疑的であったりもし、腫れ物に触るような扱いをすることが今でもしばしばであり、わたしもそんな気遣いが分かるから、強く自分を主張できずにいたのである。
 こういうことも、対話だと、意志が疎通できる。

 対話ことば・語りことば・書きことば(この三分類は、早川勝広氏の用語をお借りしています)。それぞれメリットデメリットがあって、うまく使い分けていかねばならない。そんなことは表現論をかじっているわたしには常識以前のことだし、他人にも教えていることなのだが、自分の生活のなかで忘れがちになるのは、恥ずかしいことである。

 学生とのコミュニケーションも、学級通信やメールももちろんいいのだが、対話を疎かにはできない、とそう改めて悟ったのだから、夏季休業の成果はあったということか。
 自分への戒めも含め、ブログに書きとどめておく。 

※ このカテゴリーの記事のように、まるよしの楽しい日本語の話を満載した本、ぜひお手に取ってお読みくださいね。

 『まるごと とれたて 日本語談義 -ラジオ番組『高専ライブ』で語ることばの話-』
 桐島周 2016 勝木書店 定価1500円(税込)
 
ISBN: 978-4-906485-09-3 
 (桐島周は、まるよしのペンネームです)

 勝木書店のホームページでご注文いただくのがご便利かと思います。
  http://www.katsuki-books.jp/ (書籍検索から)
 Amazon・楽天などでは購入できません。

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