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2013年8月20日 (火)

『あまちゃん』にも『夫婦善哉』にも

 まだまだ『ちりとてちん』がブログ記事のネタになることは驚きである。それだけ影響力がある朝ドラだったのか。
 凝りもせず『あまちゃん』、そして新ドラマ『夫婦善哉』について。

(『あまちゃん』と『ちりとてちん』を対照した考察・前記事

 『あまちゃん』の人気が止まらない感じなので、記事もつい繰り返してしまうのだが、何が止まらないといって、『ちりとてちん』の影を追う度合いが加速する感じなのだ。

 『あまちゃん』における繰返しのシンクロは、単に 春子アキ がともにアイドルを目指す、という前記事で述べたかたちにとどまらない。このシンクロはさらに緻密で、さらに重層的なのだ。

 すなわち、春子 があまりに音痴な 鈴鹿ひろ美 の「影武者」として声だけレコードデビューした経緯は、宿命として アキ の身にもふりかかることになった点である。これが「緻密」さだ。
 アキ はその人気の覚束なさから、所属事務所から解雇の憂き目に遭いつつも、周囲の人々の取りなしや脅迫により、何とかグループ「GMT5」の一員としてCDデビューにこぎつけ、レコーディングまで済ませたタイミングで、脱退・退職となってしまう。そのような仕儀に持ち込んだのは 春子 である。「GMT5」にはすぐに代替メンバーが補充され、それが アキ のパートを口パクで歌っている。アキ もまた「声だけ」CDデビューしたのである。
 そして、 の過去も明らかになった。 は昔北三陸を訪れた 橋幸夫 とデュエットしたことで、一時期北三陸のアイドルとなった。元祖アイドルは だった、というのである。
 さすがの『ちりとてちん』にも、ここまで手の込んだシンクロ、三代のシンクロはなかった。『ちりとてちん』の進化形がここにある、と言っていいだろう。

 さらに、『あまちゃん』はアイドルものだけに、今昔のヒット歌謡が数多く挿入されるのであるが、少なくとも画面に顔の出る芸能人については、ドラマ独自の架空の人物であった。
 その諒解が崩れたのが、件の 橋幸夫 登場である。実在の歌手が実名で登場、しかも実際のヒット曲である「いつでも夢を」を とともに歌う。
 これはもう、『ちりとてちん』における 五木ひろし の登場をオマージュしているとしか思えないではないか。『あまちゃん』の演出が『ちりとてちん』を踏まえているらしいことが、ここでもまた明らかになった。

 『ちりとてちん』との一つの差異を掲げるとすれば、今後東日本大震災が描かれることが、既に予告されていることだろうか。
 『ちりとてちん』の作品世界の時間経過に、阪神淡路大震災の発生した平成7年1月は当然含まれている。しかし、被災地に近い土地での話であるにもかかわらず、劇中震災には全く触れられていない。どころか、その時期はちょうど 喜代美 の内弟子修業が順調に進んだはずの期間ということで、ストーリーとしては飛ばされている。
 これはやはり、落語というお笑いの世界を描いた洒落満載のドラマに、震災という陰のある話題がふさわしくないため、意図的に避けられたものであろう。
 『あまちゃん』も、笑う要素が詰め込まれたドラマで、アキ によるナレーション自体が「バカみてぇな展開」と自虐的にストーリーを評していたりするのだ。そこに震災がどのように組み込まれるのか。
 バカみたいなムードから違和感なく震災に移行することが可能なのか、あるいは震災さえも(被災した視聴者を不快にさせることなく、もしくは、不快にさせることも厭わず)笑い飛ばしてしまうことになるのか。朝ドラとしては挑戦となろう。

 
 さて、『あまちゃん』とは別に、『ちりとてちん』を確実に受け継ぐであろうドラマの放送が発表されている。それが土曜ドラマ『夫婦善哉』で、脚本が『ちりとてちん』の藤本有紀さんなのである。
 そうでなくても、院生時代の先輩に織田作之助を研究している人が二人もいたもので、『夫婦善哉』にも親しんだから、観ずにはいられないが、藤本さんとなればなおさらだ。脚本家としての力量は、『平清盛』でも十二分に見せてもらったので、安心である。
 草々 役だった青木崇高さんや 草原 役だった桂吉弥さん、その他、歴代の朝ドラで重要な役どころを務めていた名優が数多く登板している。主演は森山未來さんと尾野真千子さんという若手実力派コンビである。

 8月24日(土)21時~21時58分が第一回、連続四回なのがもの足らぬくらいだが、頑張って観ようと思う。

(↓解題本『『ちりとてちん』に救われた命』は、平成26年末をもって、書店・Webでの販売を終了します)  

 

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