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2014年1月14日 (火)

スヌーピー展に出かける

 スヌーピー が登場する漫画は、『PEANUTS』というタイトルだが、あまり知られているとは言えない。
 これの日本語表記がまた、『ピーナッツ』が現在は主流なのだが、わたしが子供の頃には『ピーナツ』が普通だった。こういうのは、最初に入ってきたとおりにしか頭にインプットされないものなので、『ピーナッツ』という字面を見ても、あの漫画の気がわたしはしない。だから、頑迷に『ピーナツ』と書かせていただく。

 昨年10月から今月にかけて六本木ヒルズで開催された『スヌーピー展』も、本来『ピーナツ展』であるべきだが、これはもうしかたがないことだろう。

 小学三年生の頃から、『ピーナツ』の漫画そのものに魅せられてきた。イラストやぬいぐるみといった「点」的な魅力ではなく、漫画のストーリーと人物造型を読み取る「面」的な関わり方を、最初からしていたのである。初めは従姉がスヌーピーファンだったのが、わたしに飛び火したかたちである。
 当時は、ちょうど マーシー が初登場した頃であった。『ピーナツ』の円熟期に差しかかった時期と言ってもいいだろう。日本では『SNOOPY』というタイトルの月刊誌が刊行されていた。単一の漫画作品で月刊誌が発行されていたという例は珍しいのではないか。
 この月刊誌では、科白の日本語訳はもちろん谷川俊太郎氏、コマの外側に原語(英語)の科白が書いてあって、対照することができたし、訳、特に意訳せざるを得なかった箇所の解説も付されていた。

 個性豊かな登場人物たちのなかで、わたしが特に感情移入したのは、ライナス である。彼は、知識や思考力には優れているが、ちょっと偏屈な面があり、しばしば場のムードを壊してしまう。そういうところがわたし自身によく似ているからだろう。
 例えば、野球チーム監督である チャーリー=ブラウン が、チームへの訓話で「大切なのは1位になることだ。2位のチームがどこだったかなんて誰も覚えていない」と言うと、途端に ライナス が口を挟み「僕は覚えてるよ」と、大リーグ歴代の2位チーム名をすらすらと暗誦し、チャーリー の話の趣意を台無しにする。チャーリー の話の腰は、ルーシー その他の意地悪な女子群によって折られることもしばしばである。が、ライナス は全く悪意なくこれをやるのだ。
 こういうところが、わたしも身につまされる。もちろん、安心毛布に象徴される彼の捨てきれない幼児性も、わたしと共通している。
 彼が信奉する「カボチャ大王」は、ハロウィンに降臨して子供(というか、ライナス )に贈り物をもたらすはずの存在である。これを待つため、ライナス は「いたずらかおごり」(と当時訳されていたが、要するに「トリックorトリート」のこと)にも参加せず、夜通しカボチャ畑に坐り込む。
 周囲からの非難や揶揄にめげない拘泥も ライナス らしいし、サンタクロースもちょっと角度を換えてみれば、これほどばかばかしいことなのだ、というシュルツ氏のシニカルな風刺が利いている。聡明な ライナス が、こんな空想に身を預けてしまうところがまた可笑しい。

 ルーシー の精神分析も、小学生の頃はよく分からなかったのだが、長じるにつれ、そのばかばかしさが理解できてきた。
 子供が道端のスタンドで一回5セント(冬季は7セント)の精神分析を商売している、という設定自体が強烈なギャグである。アメリカにはこういうのがあるのか、と小学生の頃は思っていた。

 谷川氏の訳で、「sigh」が「※タメイキ」になっていたりするのは、不自然にも思えたが、往時は「はあ~ぁ」などという訳は漫画に馴染まなかったのだろうか。
 ともかく、そういうことも含めて、谷川氏の訳に慣れきっているので、後の他の方の訳を見ても、なかなかしっくりこない。

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 今回の『スヌーピー展』は、なかなか充実した内容だった。これほどのまとまった展示は、わが国では多分過去にはなかったであろう。
 いろいろな時期の原画や、それ以前の構想段階のラフスケッチなども、豊富に展示されていたので、見応えがあった。
 『ピーナツ』の歴史、特に作風の変化などは、これまでの書籍類で解説されていたとおりである。

 帰りには、ヒルズの地下にあるアメリカンレストランで、協賛メニューをテイクアウトした。
 まず、ハンバーガー。この時期だけ、スヌーピー が焼印で押されている。具はチーズを含んだボリュームあるものだった。

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 さらに、チャーリー=ブラウン らのお弁当のお決まりといえば、ピーナツバターサンドである。独りベンチに坐ってこれを食べながら、赤毛の女の子に思いを馳せる チャーリー の姿には、哀感が漂う。
 これにも、表面に スヌーピー がいる。挟まれているのは、ピーナツバターだけではなく、クリームチーズとブルーベリーがたっぷり入っていて、その味の融合がなかなかよかった。

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 そして、ドリンク、これは何といっても、スヌーピー が撃墜王の扮装をしたときによく飲んでいるルートビアを合わせるべきだろう。
 これはノンアルコールの炭酸飲料だが、もともとは薬用の飲み物だったらしく、コーラの味を濃くしたような感じがした。「飲むサロンパス」と渾名されているのが、納得できる。

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 いろいろな意味で『ピーナツ』の世界に浸った一日だった。
 こういう体験が、期間を限定してしか味わえなかったのは残念だが、アメリカには記念館があるということなので、ぜひ訪れてみたい。

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