« 竹田城跡訪問 下~ 「天空バス」と「はまかぜ」臨時停車 | トップページ | つつじバス近況 »

2014年3月25日 (火)

誤読しそうになったニュースタイトル(3)

 こんなに早く三回めの記事になるとは思っていなかった。このネタはいい鉱脈なのかもしれない。

(21) 突き落とそうと 駅で少女拘束 

 これでは、少女 が誰かをホームから誰かを突き落とそうとして逮捕された、としか読めないのだが、そうではない。
 成人男性が少女を殴って捕まえ、駅まで無理やり引きずって行った という事件であった。男性が少女をホームから突き落とすつもりだったのである。ホームでの二人の様子が異様なので気づいた他の乗客によってすんでのところで止められたのである。
 少女 しか登場人物がいないので、それが主語だと思ってしまい、そこまでの想像ができない。小学生も 少女 なら十九歳も 少女 である。
 この記事もまた、翌日になって下のように見出しが差し替えられていた。分かりにくい、とクレームがきたか担当者が自分で気づいたかだろう。

(21)’ 突き落とそうと 小3を殴り拘束

 前よりはよくなったが、どうも 拘束 という語は警察による身柄の拘束という意味でよく使われるもので、殴り拘束 までが男(相変わらず登場していないのだが)の行為だということがなかなか分かりにくい。

(22) 生徒踏みつけ 教諭処分の方針

 ひとを 踏みつけ にする、というのは、比喩として使われる語なので、そういうことかと理解したのだが、記事を読んでみると、この教諭は本当に生徒を靴で踏んづけたらしい。これはよろしくない。
 比喩としての用法かどうかが微妙な表現というのがよくある(泣く泣く とか 骨が折れる など)ので、何かこれは比喩だよとか比喩じゃなくて直説だよとか簡単な記号で現せると便利かもしれない。誰か考案してくれないか。

(23) 「便器なめるか選べ」高1逮捕

 高校1年の子がいじめられた、または、先輩か先生からのしごきを受けた、という話かと一瞬思ったが、だったらなんで 逮捕 されるのか。実は高校1年の子が先輩をいじめていたというのだ。
 先輩を、という部分がこの事件の特異な点だと思うのだが、そのときの科白の方が採られている。

(24) 小5飛び込み「みんな大好き」

 このタイトルだけだと、周囲の仲間が大好きだ、という気持ちを表現するために、小学五年生が飛び込み(プールへの)演技を披露した、というような、いい話なのかと思ったら、違った。
 五年生の子が、自分の通う小学校の統廃合に反対し、自分の命と引換えに中止してほしい、と遺書を遺して鉄道自殺した、という後味の悪い事件が先に報じられていた。そんなことと命を引換えにしてはいけないのだが、ともかく、それを踏まえて解釈しないといけないタイトルだった。遺書には鍵括弧内のような語句も書いてあったのである。

 どうもあちこちで学校が大変なことになっているが、ここで学校を離れてみる。

(25) 暴風雪 父が守った娘に激励

 これも、吹雪の中で道を見失った父子が道端に避難し、父が娘を抱いてうずくまって守り、自身は凍死した、という話が既に報じられていたのである。
 それでも、父が がどこまで係るか、ちょっと解釈に迷ってしまった。実際は 守った にだけ係っているのであり、娘を 激励 したのは、ニュースを聞いた第三者である。父に守られた娘 にすればすっきりするが、字数が不足する。

(26) 愛媛で車が海転落し両親死亡

 両親 が唐突だ。そもそも車にどういう顔ぶれが乗っていたのか、予備情報がない。
 家族が乗っていたうちの 両親 のみが亡くなった、という事態を、この表現だけから推測せねばならないようだ。難しい。子供の年齢によっても事故の印象は変わってきそうである。

(27) 犬5頭脱走、名大生かまれ重傷

 犬の話なので、目が勝手に 名大 のところを 名犬 と読んでしまった。その 名犬生かまれ って、噛まれるのに生や焼いたのやがあるのか知らないが、血統書付きの犬や偉業をなした犬とかが脱獄した不良犬のグループに絡まれて生キズができたたのか、と思ったらこれも違った。
 噛まれたのは名古屋大学の学生だったのだが、このニュースに通っている大学の名は必要なんだろうか。

(28) 印集団レイプ 運転手が首つり

 印集団 って、印半纏を着た男たちの群れを想像しなくもない。それが一斉にレイプに向かうのはなかなか怖いものがある光景だが、 はインドのことであった。
 彼らレイプ男集団が貸切バスをチャーターしてレイプ場(?)に向かった、後から事件に加担したことを知ったバスの運転手が、良心の呵責に堪えかねて…、という事件かと思った。
 レイプ集団メンバーの一人が自殺し、その男の職業がたまたま 運転手 だっただけである。この事件の展開そのものにその職業は特段の意味はない。ならば、乏しい字数でその情報は要るのか。

(29) 震災2年「鉄人」の母親に報告

 震災鉄人 と並べられると、神戸の人間であるわたしは、新長田駅前の鉄人28号像を思い浮かべてしまう。アトムはともかく、あのロボットに 母親 の設定はあったっけ、と首を捻ったし、そもそも何を 報告 するのかも分からない。 
 実は、母親と一緒に苛酷な登山に挑むことを習慣としていた男性が、東日本大震災で命を落としたその母親に語りかける、というエピソードが紹介されていた。母親自身が 鉄人 だったのである。

(30) 87歳殺害、置き手紙に(笑)

 人殺しをしてしまったことを置き手紙で告白したまま失踪したのだろうか。なんでそれが笑い話になるのか、だいたいたとえ笑えるような話だとしても、ニュースタイトルに(笑)なんて付けるのは、軽すぎるのではないか、と思った。
 87歳の女性を殺害したのは新聞集金人をしていた若い男性である。疎外されていた(と感じていた)家族に迷惑をかけてやりたくて犯行に及んだのだという。家族に宛てた置き手紙に、迷惑かけてすいません(笑) と書かれていたのである。自分の犯したことの重みが分かっていない愚かさを強調するための(笑)だったわけだ。
 これもまた、誤解される、あるいは不謹慎だという声もあったのだろうか、翌日を待たず、その日のうちに次のように差し替えられた。

(30)’ 87歳殺害、手紙に「(笑)」

 まあほんとにこういうタイトルを考える人は、時間に追われてもいるのだろうし、気の毒だと思う。苦心して十四字に嵌め込んだタイトルも、分かりにくいとか不適切だとかつっこまれるうえに、わたしなどにネタにされるのだから。
 本当にお疲れさまだと思うが、わたしもこれはまだ続けると思う。申し訳ないです。

※ このカテゴリーの記事のように、まるよしの楽しい日本語の話を満載した本、ぜひお手に取ってお読みくださいね。

 『まるごと とれたて 日本語談義 -ラジオ番組『高専ライブ』で語ることばの話-』
 桐島周 2016 勝木書店 定価1500円(税込)
 
ISBN: 978-4-906485-09-3 
 (桐島周は、まるよしのペンネームです)

 勝木書店のホームページでご注文いただくのがご便利かと思います。
  http://www.katsuki-books.jp/ (書籍検索から)
 Amazon・楽天などでは購入できません。

167071880

|

« 竹田城跡訪問 下~ 「天空バス」と「はまかぜ」臨時停車 | トップページ | つつじバス近況 »

5.0ことば」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/129332/56951524

この記事へのトラックバック一覧です: 誤読しそうになったニュースタイトル(3):

« 竹田城跡訪問 下~ 「天空バス」と「はまかぜ」臨時停車 | トップページ | つつじバス近況 »