« 房総半島縦断 上~ 小湊鐵道からいすみ鉄道へ | トップページ | グリーン車二題~ 臨時快速上り「SLばんえつ物語」・特急「いなほ8号」 »

2014年10月14日 (火)

看板つっこみ(47)~ そば屋素朴例 

 前回に続いて、そば屋の掲示を見る。
 そば屋もまた、このシリーズのネタの宝庫らしいのである。昔からの庶民的な軽食を伝統的に扱う店ということで、あんまり最先端の表現は使わないのだろう。ちょっと時代とずれてきていたりする表現とか、無頓着な表現もある。

 今回もまず、あるそば屋で見たのを二つ。

148261580

 蕎麦どころと言われる県にあるそば屋である。
 好みざる というのを見て、打消の助動詞の連体形 ざる に接続するなら 未然形 でないとおかしいから、好まざる の間違いではないか、と一瞬考えてしまった。しかし、それがなんで掲示してあるのか、と思って、これはメニューの名称か、と思いなおす。
 この地方には、孫渡し とか 送りがに とかいう独特の用言・体言の接続のし方をした用語がいろいろあるので、これもそういう流れのなかにある名称だろうか。
 ふつうは お好みざるそば か何かになるものだろう。

 同じ店にはこんなメニューもある。

148261590

 これは、メニューの名称は分かるのだが、括弧の中の おそばかうどん が一瞬分からなかった。おそばか(遅馬鹿?) といううどんの種類は聞いたことがない。出るのが遅すぎて、バカにするな、と客が怒るほど手間をかけて作るのか、一体何が具になっているのか、と考えかけて、お蕎麦か饂飩 であることに気づいた。
 全て平仮名で書いていること、蕎麦には を付けて饂飩には付けていないこと、などが分かりにくさの要因だろう。後者は蕎麦どころゆえの差別か。

 下は、別の店で全く別の趣向だ。これは、ショッピングセンターのフードコート的な役割を兼ねたそば屋で見た。

148281583

 立地上、そういうワンカップを持ち込もうとする客も入ってくるらしいが、上で 飲酒 を禁じた以上、わざわざ 酒盛り を禁じる必要はないと思うのだが、酒盛り の定義は何か、と考え始めると、わけが分からなくなる。 今の時代、ノンアルコールの酒盛りというのもあり得るかもしれない。

 駅の立食いそばになると、いよいよ素朴な例が多くなる。以下二枚は同じ店である。

149051461b

 文がねじれている。のだが、何だかあまり悪い印象を受けない。増量 が特大フォントになっているからかもしれない。一番要望の多かった 増量そば・うどんの麺を 増量増量 いたしました とそれぞれ独立した係り受けとして読めばいいのかもしれない。
 そして、

149051460b


 冷やし始めました だと、冷やし始め が複合動詞、つまり今冷蔵庫に入れた、ということかと、文脈がなければそう思ってしまうが、これまた不思議に、冷たいそばやうどんのメニューを始めた、という意味は伝わる。冷やし をカッコで括るか、後ろにスペースを入れるかした方がいいとは思う。といっても、訪れたのは9月上旬ではあるが。
 ついでに言うと、小さな字の説明も、購入 が同じ文のなかで違う意味で使われているので、前半を 冷やしうどんをお召し上がりの方は に直した方がいいと思うが、このままでも意味は通じるからいいのだろう。

※ このカテゴリーの記事のように、まるよしの楽しい日本語の話を満載した本、ぜひお手に取ってお読みくださいね。

 『まるごと とれたて 日本語談義 -ラジオ番組『高専ライブ』で語ることばの話-』
 桐島周 2016 勝木書店 定価1500円(税込)
 
ISBN: 978-4-906485-09-3 
 (桐島周は、まるよしのペンネームです)

 勝木書店のホームページでご注文いただくのがご便利かと思います。
  http://www.katsuki-books.jp/ (書籍検索から)
 Amazon・楽天などでは購入できません。

167071880
 

|

« 房総半島縦断 上~ 小湊鐵道からいすみ鉄道へ | トップページ | グリーン車二題~ 臨時快速上り「SLばんえつ物語」・特急「いなほ8号」 »

5.2.2   看板つっこみ」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/129332/60238823

この記事へのトラックバック一覧です: 看板つっこみ(47)~ そば屋素朴例 :

« 房総半島縦断 上~ 小湊鐵道からいすみ鉄道へ | トップページ | グリーン車二題~ 臨時快速上り「SLばんえつ物語」・特急「いなほ8号」 »